1月4日、朝日新聞の天声人語。
雪だるまのような遊びは世界中にあり、英語ではスノーマン。その姿によく似た小天体
に近づいたと、米航空宇宙局が発表した。地球から離れること64億km、無人探査機が
写真を撮影した。大小二つの球がくっついている姿は可愛くもある。
天体の名前は「ウルティマ・トゥーレ」、最果ての地を意味する。太陽系の端っこにあり、
人類が探査機で観測したなかで最も遠い天体だ。太陽系がどのようにできたか、ヒントが
得られるかもしれないという。
2019年1月1日、NASAの探査機「ニューホライズンズ」は、カイパーベルト天体
「ウルティマ・トゥーレ」への最接近(フライバイ)に成功、地球から65億キロも離れた
天体の探査に成功しました。
人類史上はじめて、カイパーベルト天体の直接探査に成功したことになります。
そして、人類史上最も遠い、天体の直接探査を成功させたことになります。
カイパーベルトとは、海王星の先に広がる領域で、この領域に冥王星を含めたやや大きめの
天体が多数存在することが、1990年代以降観測により実際に確かめられ、太陽系の誕生の謎
などとの関連で注目を浴びてきました。
今回このカイパーベルトにある天体を直接探査することで、これまで望遠鏡でも点にしか
みえず、正体が謎とされてきたカイパーベルト天体を解明できるのではないかと期待されています。
ニューホライズンズ探査機が,3,500km以内に接近して撮影した画像からは,ウルティマ・
トゥーレは,32km×16kmの瓢箪型に見えます。
プレスリリースでは”ボウリングのピン”と表現しています。
ニューホライズンズは、これから数日から数か月かけて画像やその他のデータをダウン
ロードし続け、全ての科学データを地球に送り終わるには20ヶ月(2年弱)かかる予定です。
ニューホライズンズが打ち上げられたのは2006年。当時はアメリカの大統領はジョージ・W・
ブッシュ氏(子どもの方のブッシュ氏)であり、打ち上げ当時は目的地であった冥王星はまだ
「惑星」でした。
そして打ち上げから9年後の2015年、ニューホライズンズは冥王星への最接近(フライバイ)を
果たし、世界的な話題となりました。
そして打ち上げから13年後の2019年の、カイパーベルト天体への最接近。
ニューホライズンズチームは、遅くとも2021年までに、次のカイパーベルト天体の探査を行う
ことを計画しています。
またより多くのカイパーベルト天体の探査を行うこともチームでは考えているようです。
ニューホライズンズの「偉大な旅」はまだまだ、最終章を書けそうにはありません。