2007年冷たい宇宙、いよいよ霊と肉の相克が始まります。
第二部では六助が人類の救世主となる運命の林太郎を発見する経緯、そして林太郎の殺害、子の死を嘆く母明子の悲しみ。悲しみのあまり乳房をさらけ出した明子が、死骸を胸に抱いて追随する人々を巡礼にひきつれます。サブロから借りた「霊メガネ」で明子林太郎の母子を透視する六助、
=幼児のはずの林太郎がすっかり青年になって、母を優しく守る僕のように、半歩の下がりでかしずく。母の肩に手をそっと当てていた。母の井田明子は霊として輝かしい女性姿を生女房の妖艶な姿に映し、柔らかい肩と背で表現していた。親子と言うより、姉弟、いや夫婦、魅力的年上の妻と若く落ち着いた夫、あるいは愛情溢れるミストレスと彼女に恋い焦がれるアマン=
林太郎は赤犬の襲撃で殺されてしまう。死骸を胸に懐く母明子。その時異変が起きた。明子は、=胸元がどうにもきついブラウスの前ボタンをはずした。引き破るようにしてブラウスを肩から脱いだ。深い胸の谷間と柔らかい乳房をささえる黒レースのブラジャーが露出した。そのブラジャーもちぎる様にしてはずし捨てた。
上半身が裸になった。それは白い肌の白い胸であった。冷たく光るマイセン肌の乳房であった。山小菜(ほたるふくろ)のような形よい紡錘形の両の膨らみがブルルンと震えた。膨らみの先の丸く赤い乳首を林太郎の口先に当て
「林太郎、母の乳を含め、お前はこれから先に食するものもない飢餓の奈落に落ち込む。旅たちの前、最後の乳を口にふくみ、餓鬼地獄の奈落の底で、宇宙の終わりまで果てしなく続く飢渇の前に、今ここで渇きを癒すのだ」
乳首は林太郎の唇を分け通った。明子は林太郎があたかも乳を吸っているかのようにあやし、さらに乳首を押しつけた。うずくまりから立ち上がった時に、かしずく従者どもがオオーッツというどよめきを立てて明子の乳房を見つめた。そのまま井田家までの行進が始まった=
イシス巡礼団が手賀沼に出現したのだ。
=これは巡礼だ、乳房の女神イシスと、女神の豊穣さにかしずくコプトの民の巡礼だ。
それまでは俘囚の足取りだった。子の死を悲しむ無辜の民の重い足取りだった。しかし明子の乳房が白日にさらけだされた事変をきっかけに、巡礼に変わったのだ。
沼の民よ、土手に忽然と現れた女神に誇りをもて、敬え、そして従え。白い胸、高く張りふくらんだ乳房、赤く丸い乳首。=中略=女神の胸の生肌のその白さに心を奪われる者、鬼灯の熟れ弾ける真っ赤な両の乳首を信じる者。巡礼者となって黄泉に向かうぞ、巡礼の流れに従え、今冥界に向かうぞ。
母イシスがホルスの屍にささやた、
「お前の前にあるのは手賀沼なんかじゃない、ここはカシワ葉町なんかじゃない。舞い輝く水面を見なさい、細波立つ瀬のたおやかな流れに目を移しなさい。ここがナイル、豊かなナイル、街はルクソール、豊穣の洛都ルクソール。神殿はお前の生まれた褥、そしてお前の旅立ちを祝うゆりかごになるのだ」
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