国宝土偶展(10年2月21日まで東京国立博物館)に立ち寄りました(12月17日)。出品されているのは67点、うち国宝3点(縄文のビーナス、合掌土偶、中空土偶、国宝に指定されている土偶の全て)重文が23点(有名なのが遮光器土偶、ハート型など多数)。大英博物館で「土偶パワー」という展示会が10月まであって、その流れです。しかしこれだけ質の高い集成はこれまで、おそらく将来もないので、東京でも開いた次第とか。こうもったいぶって聞かされるとミーハーな私は気がそぞろになる。開催2日目で早速足を運びました。確かにすばらしかった。「代表的な土偶を見たい、土偶とは何を現しているのか」など初歩的ミーハー質問疑問に応えてくれました。しかしまだ疑問が残った、それもでっかい疑問が。
さて分かった事は、
私も混乱していたのですが土偶と埴輪の差が明確になりました。埴輪とは円筒形、人型、家舟、動物などを写実的に制作し古墳墓に埋蔵されている。時代は3世紀から7世紀(古墳時代)。土偶は縄文時代、最古の土偶は12000年前に遡る、最新の物でも紀元前400年とあるのでこれは縄文時代の終焉と重なります。1万年という気の遠くなる時間で、その製作目的と形体が特定され、同一視できる精神遺物が日本にあるのです。あっと驚きです。いわば縄文人1万2000年の精神風土を知る手がかりです。と言うわけで浅はかさにも、にわか「縄文精神史探検」の冒険に追い立てられ800円を払いました。会場で分かった土偶とは、
1すべて女性、おおく妊娠の徴候を見せるので妊婦であろう
2墓、ないし人骨の発掘場所から出土している
3必ず手足、首、頭蓋など身体の一部が破損されている。
4東、北日本で発見されている。西、南の出土例はない
5これまで1万5000点が出土されている。
などが基礎情報。何の為の土偶?には諸説ありネットで「祭祀などの際に破壊し、災厄などをはらうことを目的に製造されたという説がある。また、大半の土偶は人体を大きくデフォルメして表わし、特に女性の生殖機能を強調していることから、豊穣、多産などを祈る意味合いがあったものと推定する説もある。その他、神像、女神像、精霊、護符、呪物など」(=wikiから)しかしこれでは分かりません、豊穣を祈るのか厄払いなのかでは正反対です。で私部族民的にヒラメキを見せて(無いヒラメキなので苦しいが)フレーザー(19世紀後半の英国の民族学者、金枝篇の筆者)の言う「呪術の思考」と日本人古来の信仰である「祓え」で土偶を冒険的に分析すると、
上記の1-3に注目します。これを総合すると土偶は死者の「穢れ祓え」を受けた人形に他ならない。妊婦が難産で死ぬ、死は穢れです。穢れを祓わなければ他の妊婦に感染する(これがフレーザーの主張する類感呪術=似ている物には再現性がある)。神道での祓えとは別のなにか、それも近似する物に転嫁させるために幣を振るのですが、その穢れ受けに土偶を造り一部破壊し(=死の意味を持つ)死者と共に葬った。「これで出産の死は無くなるはずじゃ」とこのように頭を巡らせました。では神道の穢れ祓えの信仰が12000年前からあったのか、これは証明できないがyesですね。精霊を否定し一神教に毒されている欧米イスラムを除いて「穢れ」という概念は多く見られる。出土の15000点は多いようですが12000年間なので、少ない。出産死の祓えという特殊用途であるとすれば、納得がいく。ここまで来てハタト頭が回らなくなった。例の国宝合掌土偶(縄文後期八戸市出土)をどう理解するのだと行き詰まった。
今回の目的はこの土偶を見るため、800円のうち790円を占めています。確かに手を合わせた祈り手で構えています。この動作を祈りとする一方の理由は、この土偶だけが墳墓での発掘ではなく、住居跡での出土。一部破損のあとが残るがアスファルトで丁寧に補修されている。と言うことはお祈りの対象に主人、女主人が居宅に置いたのか。「祈る土偶」の例は他にない。しかもこれだけは祓え受けではないようだ。では例外なのか。しかし信仰、拝礼など上部精神に属する行為でその様な例外は考えられない。信仰は一人が神を信ずると言うことはなく、広範な集団で実践されるので他に同様な例が無ければならない。分からない、しかし最高の土偶だ!
この土偶は大きな謎です、3000年以上前に竪穴住居の暗い居室の片隅に「祈りの人形」があった、一例だけでも日本人の信仰の起源に思いをはせるロマンがありました。(いつも長いブログで申し訳ない)
さて分かった事は、
私も混乱していたのですが土偶と埴輪の差が明確になりました。埴輪とは円筒形、人型、家舟、動物などを写実的に制作し古墳墓に埋蔵されている。時代は3世紀から7世紀(古墳時代)。土偶は縄文時代、最古の土偶は12000年前に遡る、最新の物でも紀元前400年とあるのでこれは縄文時代の終焉と重なります。1万年という気の遠くなる時間で、その製作目的と形体が特定され、同一視できる精神遺物が日本にあるのです。あっと驚きです。いわば縄文人1万2000年の精神風土を知る手がかりです。と言うわけで浅はかさにも、にわか「縄文精神史探検」の冒険に追い立てられ800円を払いました。会場で分かった土偶とは、
1すべて女性、おおく妊娠の徴候を見せるので妊婦であろう
2墓、ないし人骨の発掘場所から出土している
3必ず手足、首、頭蓋など身体の一部が破損されている。
4東、北日本で発見されている。西、南の出土例はない
5これまで1万5000点が出土されている。
などが基礎情報。何の為の土偶?には諸説ありネットで「祭祀などの際に破壊し、災厄などをはらうことを目的に製造されたという説がある。また、大半の土偶は人体を大きくデフォルメして表わし、特に女性の生殖機能を強調していることから、豊穣、多産などを祈る意味合いがあったものと推定する説もある。その他、神像、女神像、精霊、護符、呪物など」(=wikiから)しかしこれでは分かりません、豊穣を祈るのか厄払いなのかでは正反対です。で私部族民的にヒラメキを見せて(無いヒラメキなので苦しいが)フレーザー(19世紀後半の英国の民族学者、金枝篇の筆者)の言う「呪術の思考」と日本人古来の信仰である「祓え」で土偶を冒険的に分析すると、
上記の1-3に注目します。これを総合すると土偶は死者の「穢れ祓え」を受けた人形に他ならない。妊婦が難産で死ぬ、死は穢れです。穢れを祓わなければ他の妊婦に感染する(これがフレーザーの主張する類感呪術=似ている物には再現性がある)。神道での祓えとは別のなにか、それも近似する物に転嫁させるために幣を振るのですが、その穢れ受けに土偶を造り一部破壊し(=死の意味を持つ)死者と共に葬った。「これで出産の死は無くなるはずじゃ」とこのように頭を巡らせました。では神道の穢れ祓えの信仰が12000年前からあったのか、これは証明できないがyesですね。精霊を否定し一神教に毒されている欧米イスラムを除いて「穢れ」という概念は多く見られる。出土の15000点は多いようですが12000年間なので、少ない。出産死の祓えという特殊用途であるとすれば、納得がいく。ここまで来てハタト頭が回らなくなった。例の国宝合掌土偶(縄文後期八戸市出土)をどう理解するのだと行き詰まった。
今回の目的はこの土偶を見るため、800円のうち790円を占めています。確かに手を合わせた祈り手で構えています。この動作を祈りとする一方の理由は、この土偶だけが墳墓での発掘ではなく、住居跡での出土。一部破損のあとが残るがアスファルトで丁寧に補修されている。と言うことはお祈りの対象に主人、女主人が居宅に置いたのか。「祈る土偶」の例は他にない。しかもこれだけは祓え受けではないようだ。では例外なのか。しかし信仰、拝礼など上部精神に属する行為でその様な例外は考えられない。信仰は一人が神を信ずると言うことはなく、広範な集団で実践されるので他に同様な例が無ければならない。分からない、しかし最高の土偶だ!
この土偶は大きな謎です、3000年以上前に竪穴住居の暗い居室の片隅に「祈りの人形」があった、一例だけでも日本人の信仰の起源に思いをはせるロマンがありました。(いつも長いブログで申し訳ない)