蕃神義雄 部族民通信

レヴィストロース著作悲しき熱帯、神話学4部作を紹介している。

規定外への大騒ぎそして排撃 2

2020年02月13日 | 小説
前回(2月12日)に上げた1~3は天体の異変、規定外の婚姻、交接への大騒動となる。時代を超えて、それらへの反応はまさにvacarme(フランス語で大騒動)の形態である。その内実とは;
突然に勃発し不同意をあからさまにする、
村民市民の多くを巻き込む、
短期間で拡大、終息…となる。

この属性を取りまとめる言葉として連続性serialite(参加する人々が共通の判断と情緒を突如、抱いてしまう)は適切である。
フランス中世のvacarmeの発生因は、

年齢差、目的、基準から外れる婚姻を実行する組み合わせに結婚の当夜、住民等が「カネやタライを打ち鳴らして」不同意を表明する行動で、発生には「自然な」村落的連帯感が淀む。「自然な」とした意味は当事者なる誰か、例えばその花嫁を横恋慕する者の扇動があるなどの裏工作は無い。
村民、部族民の心にそうした規定外の婚姻に反対が強く湧き上がって、集団の行動に移る過程が認められる。

ウワナリ打ちは「当事者=前妻」の主導で実行されると記録される(広辞苑)けれど、そこには村落、社会単位で後妻娶りに「不同意」への共同情緒が安堵されていると思えるから、広い意味でvacarme、あるいはその変様と見て間違いではない。

そして3番目、令和での日本的大騒動の頻発を考えると;

社会から不同意を突きつけられている違反とは、規定外の交接である。対象者は芸能人など社会的に表出している方々に限られる。
それは早い話、婚外交接である。浮気、密通、姦通なる言葉と同質で、それをまとめてなぜか不倫(倫理に反する)と報道はうそぶく。具体例をネット検索すると;

1 V嬢とバンド歌手(2016年に大いに取りざたされた)
V嬢は歌手に妻がいるとは知らず交際、発覚した後も続けた。この継続が報道で問題になった。騙した歌手にお咎めはなく、騙されたV嬢はメディア(一部)にさんざ叩かれた。叩かれ理由は不倫に集約できる。誰かの夫である人との交接が倫理に反している、これがメディアの倫理感であるようだ。

正しさき交接は婚姻内のあり、婚姻外のそれは人倫に反する。まるでモーゼの太古にネジを巻き直したかの倫理である。しかしこれを正道として、錦の御旗がごとく大上段にかざすマスコミに扇動されたか、あるいはそもそも「倫理原理主義」の人々が一定の数、存在しているから、売らんが為に原理主義者におもねる報道であったのか、突然、人々(女が多いとされる、統計数値は目にしないが)が連続性を抱いてしまって、「未婚V嬢の婚外交接」が悪だと大騒動になった。

V嬢は芸能界での地位と社会立場を失っている。

2 清純派女優と若手ホープの俳優、2020年2月現在で進行形。1と同じく男は既婚、女は未婚。発覚して妻に家出された男、それでも交際を続けているとか。あるSNSから拾った反応は「清純派は男が妻子持ちと知った上での「犯行」なのだから、芸能界を退かなければならない」
ここでも人倫に反する「不倫」を咎められているのは未婚女の側である。婚姻外の交接を実行した男には「咎め」は少ない。

この風潮(不倫騒動)は「異常」と特定されている。
コメントをネットで拾うと「報道し終えれば騒動は(昔は)鎮静化したが、今はネットで炎上してしまうため雪だるま式に話が大きくなる。“無頼”な性格の人が多い芸能人にとっては生きにくく…」

騒動を形容するに「雪だるま」、「炎上」などの言葉が出てくる。

上例に限らずこの手の「不倫」騒動には一定の状況が読み取れる。突如、SNS参加者の論評の方向が一つに向かう。起因となるは婚姻外の交接であるが、

1 叩かれるのは必ず未婚女、既婚男への叩きは申し訳程度。
2 婚姻外…を実行しているのは男なのに未婚女側の行為が「人倫」にもとると主張する。理由は「男の家庭を破壊するから」もっともらしい言い訳を付け加える。しかしこれは形態として中世のウワナリ打ち(責められるは後妻)を彷彿させる。
3 突如「炎上」する背景にはネット民にサルトルの説くserialite連続性が隠れ存在している。

前回(2月12日)に上げた1~3は天体の異変、規定外の婚姻、交接への大騒動となる。時代を超えて、それらへの反応はまさにvacarme(フランス語で大騒動)の形態である。その内実とは;
突然に勃発し不同意をあからさまにする、
村民市民の多くを巻き込む、
短期間で拡大、終息…となる。

この属性を取りまとめる言葉として連続性serialite(参加する人々が共通の判断と情緒を突如、抱いてしまう)は適切である。
フランス中世のvacarmeの発生因は、

年齢差、目的、基準から外れる婚姻を実行する組み合わせに結婚の当夜、住民等が「カネやタライを打ち鳴らして」不同意を表明する行動で、発生には「自然な」村落的連帯感が淀む。「自然な」とした意味は当事者なる誰か、例えばその花嫁を横恋慕する者の扇動があるなどの裏工作は無い。
村民、部族民の心にそうした規定外の婚姻に反対が強く湧き上がって、集団の行動に移る過程が認められる。

ウワナリ打ちは「当事者=前妻」の主導で実行されると記録される(広辞苑)けれど、そこには村落、社会単位で後妻娶りに「不同意」への共同情緒が安堵されていると思えるから、広い意味でvacarme、あるいはその変様と見て間違いではない。

ネットで採取した婚姻大騒動の絵、現代にも規定を外れる婚姻への嫌がらせは残る。著作権に抵触する様ならば削除する。

そして3番目、令和での日本的大騒動の頻発を考えると;


中世の大騒動


社会から不同意を突きつけられている違反とは、規定外の交接である。対象者は芸能人など社会的に表出している方々に限られる。
それは早い話、婚外交接である。浮気、密通、姦通なる言葉と同質で、それをまとめてなぜか不倫(倫理に反する)と報道はうそぶく。具体例をネット検索すると;

1 V嬢とバンド歌手(2016年に大いに取りざたされた)
V嬢は歌手に妻がいるとは知らず交際、発覚した後も続けた。この継続が報道で問題になった。騙した歌手にお咎めはなく、騙されたV嬢はメディア(一部)にさんざ叩かれた。叩かれ理由は不倫に集約できる。誰かの夫である人との交接が倫理に反している、これがメディアの倫理感であるようだ。

正しさき交接は婚姻内のあり、婚姻外のそれは人倫に反する。まるでモーゼの太古にネジを巻き直したかの倫理である。しかしこれを正道として、錦の御旗がごとく大上段にかざすマスコミに扇動されたか、あるいはそもそも「倫理原理主義」の人々が一定の数、存在しているから、売らんが為に原理主義者におもねる報道であったのか、突然、人々(女が多いとされる、統計数値は目にしないが)が連続性を抱いてしまって、「未婚V嬢の婚外交接」が悪だと大騒動になった。

V嬢は芸能界での地位と社会立場を失っている。

2 清純派女優と若手ホープの俳優、2020年2月現在で進行形。1と同じく男は既婚、女は未婚。発覚して妻に家出された男、それでも交際を続けているとか。あるSNSから拾った反応は「清純派は男が妻子持ちと知った上での「犯行」なのだから、芸能界を退かなければならない」
ここでも人倫に反する「不倫」を咎められているのは未婚女の側である。婚姻外の交接を実行した男には「咎め」は少ない。

この風潮(不倫騒動)は「異常」と特定されている。
コメントをネットで拾うと「報道し終えれば騒動は(昔は)鎮静化したが、今はネットで炎上してしまうため雪だるま式に話が大きくなる。“無頼”な性格の人が多い芸能人にとっては生きにくく…」

騒動を形容するに「雪だるま」、「炎上」などの言葉が出てくる。

上例に限らずこの手の「不倫」騒動には一定の状況が読み取れる。突如、SNS参加者の論評の方向が一つに向かう。起因となるは婚姻外の交接であるが、

1 叩かれるのは必ず未婚女、既婚男への叩きは申し訳程度。
2 婚姻外…を実行しているのは男なのに未婚女側の行為が「人倫」にもとると主張する。理由は「男の家庭を破壊するから」もっともらしい言い訳を付け加える。しかしこれは形態として中世のウワナリ打ち(責められるは後妻)を彷彿させる。
3 突如「炎上」する背景にはネット民にサルトルの説くserialite連続性が隠れ存在している。

これら3は表面観察であり、その奥に潜む筈のなぜ?には入りこんでいない。そこでまたも疑念を深めると;

なぜ令和の世の中にウワナリ打ちが発現したのか。ネット民がある朝、倫理に目覚めて、交接は婚姻内のベッドで行うべしなどの「倫理原理主義」振りかざしているけれど、一体何事があったかに解答を出さなければ、現代のウリナラ苛めは終わらない。

人倫を持ち出しserialiteにそそのかされ、未婚娘を叩き続ける何故の解答は「文化の周期性」、頑なな固執である。続く


これら3は表面観察であり、その奥に潜む筈のなぜ?には入りこんでいない。そこでまたも疑念を深めると;

なぜ令和の世の中にウワナリ打ちが発現したのか。ネット民がある朝、倫理に目覚めて、交接は婚姻内のベッドで行うべしなどの「倫理原理主義」振りかざしているけれど、一体何事があったかに解答を出さなければ、現代のウリナラ苛めは終わらない。

人倫を持ち出しserialiteにそそのかされ、未婚娘を叩き続ける何故の解答は「文化の周期性」、頑なな固執である。続く
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