蕃神義雄 部族民通信

レヴィストロース著作悲しき熱帯、神話学4部作を紹介している。

Anthropologie Structurale構造人類学の紹介 第2部 神話の構造 上

2023年02月19日 | 小説
(2023年2月19日)本書第一章魔術と信仰 « Magie et Religion » の第9節は神話の構造 « La structure des mythes » です。エディプス « Œdipes » 神話が採りあげられ、北米プエブロ族の天地開闢神話に引き継がれます。今回のBlog投稿(3回予定)ではエディプス神話の構造に取り組み、その上で(形体としての)構造が秘匿する「思想」に迫る予定です。この悲劇は古代ギリシャ詩人ソフォクレス(写真、紀元前497~406年=Wikipedia)が「神のお告げ、人の宿命」と謳い、近世になってフロイトは「潜在意識」と暴いた。レヴィストロースは人が生まれながらに持つ「己の生まれは女の股か砂の塊か」の葛藤で両者の繋がりを見る。さらには「己から生まれるのか、混ざりもので生まれるのか」なる根本苦悩が人にわだかまるーとの主張に進みます。


ソフォクレスとフロイト(ネットから採取)

謎解きにあたりまずは神話のあらすじを : 
エディプス神話はカドモス・エディプス・アンチゴネーの3部に分かれる

カドモス神話;ネットサイト(greek-myth.info/Athènes/Cadmus.htm)から抜粋
エウロペーはカドモスの妹、牡牛に化けたゼウスに拐かされ、牛の背に乗って出奔する。カドモスは行方を追うも叶わず疲れ果てる。「もう、エウロペーを探すのは止めよう」アポロンの神託を伺う。「一頭の牝牛を見つけたら後をつけ足を止めた場所に街をつくり、テーバイと名付けよ」外に出るとなんと牝牛が一頭歩いている。牝牛を追うカドモス。やがて牝牛はパノペーの野に足を止めました。感謝し大神ゼウスへの祭壇をつくり、捧げものを用意した。洞穴から大蛇が現れ、その鎌首を持ち上げました。その高さは大きな木よりも高く、目は炎のように光り口は三又の舌を出しています。家来たちは大蛇の毒牙にかかり、とぐろに巻かれ、みんな殺された。


ゼウスにさらわれるエウロペ―(ネットから採取、著作権については不明)

カドモスは大蛇を仕留めその歯を大地に巻いた。スパルトイ軍団が地から抜けでて互いに殺し合い、残った5人の協力を受けたカドモスはテーバイを建設する。子供、孫に先立たれたカドモスと妻ハルモニアは市民に忌み嫌われ、テーバイを去った。カドモスは運命を嘆く。「蛇が神々にとって大切ならば、蛇になりたい」。とたん体は蛇に変身していきました。「私も夫と運命をともにさせて」ハルモニアも神々に祈りました。2人は蛇になって、森で暮らすことになった。
エディプス神話(Wikipediaから抜粋);
ライオスはカドモスの曾孫エディプスの父。汝の子はお前を殺し妻(子の母)を知るとの神託を受けた。生まれた子の足を針で貫き(エディプス=腫れた足の語源)家臣に山に捨てろと命じた。家臣は羊飼いに渡し、羊飼いはコリントス王に預けた。成長して「父を殺し母を知る」神託を知り、出奔する。
旅の最中、ライオスが前方から現れ、エディプスに道を譲るよう命令した。これに従わぬとみるや、彼の馬を殺した。怒ったエディプスはライオスを殺した。エディプスは自分が殺した相手が誰であるかを知らなかった。
スピンクス(スフィンクス)は女面にして胸と脚と尾は獅子、鳥の羽。ピーキオン山頂に座し、そこを通るものに謎を掛け、解けぬ者を喰らっていた。謎は「朝には四つ足、昼には二本足、夜には三つ足で歩くものは何」
テーバイ人たちは、「謎が解かれた時スピンクスの災いから解放される」との神託を得ていた。誰も解くことは出来ず、多くの者がスピンクスに殺された。テーバイに来たエディプスはスピンクスに答えた。「人間である。人間は幼年期には四つ足で歩き、青年は二本足で歩き、老いては杖をついて三つ足で歩く」謎を解かれたスピンクスは身を投じた。


Jean Marais演じるエディプス(オルフェとの伝も、ネットから採取)

エディプスはテーバイの王となった。実の母であるイオカステーを娶り、子をもうけた。男児はエテオクレースとポリュネイケース、女児はアンティゴネーとイスメーネー。
エディプスがテーバイの王になって不作と疫病が続いた。デルポイに神託を求めたところ、「ライオス殺害の穢れのため、殺害者を捕らえテーバイから追放せよ」という神託を得た。
エディプスはそこで過去に遡って調べを進める、三叉路でのいざこざであると知る、自分がライオス王の子、母との間に子をもうけたこと、神託を実現してしまったことを知る。イオカステーは自殺し、エディプスは絶望して自らの目をえぐり、娘と共に放浪の旅に出た。(一部を伝ソフォクレスに合わせ改編した)
アンティゴネー(Wikipediaから抜粋)
父エディプスが自分の出生の秘密を知って目を潰した後、イオカステーの兄クレオーンに追放されると、妹イスメーネーとともに父に付き添って諸国を放浪した。
父の死後テーバイに戻ったが、その時ポリュネイケースがテーバイの王位を取り戻すべくテーバイに攻め寄せる。攻め寄せた軍はことごとく打ち破られ、兄弟エテオクレースと相討ちで戦死。クレオーンは反逆者である彼の屍を葬ることを禁じるが、アンティゴネーは城門を出て兄の死骸に砂をかけ埋葬とした。彼女は捕らえられ、地下の墓地に生きながら葬られ、婚約者であったクレオーンの息子ハイモーンは彼女を追って自刃した。
構造人類学 第2部 神話の構造 上の了(2月19日)
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