(2023年3月8日)レヴィストロース著「構造人類学」の神話の構造章の紹介を続けます。

(章題の頁)
前半はエディプス神話(過去投稿)に続いてPueblo族神話を紹介し、両者を比較する。
Pueblo族Zuni支族が伝承する神話をŒdipe解析で展開した4柱分解と同様の方法で作成した図(244頁)を掲載する。図からある程度の筋立ては見える。<地下に住む虫けらみたいなご先祖が地底から抜け出し繁栄し、滅亡する>と推測した。本書(構造人類学)には原典のPueblo神話は引用されていないので、統合した筋道が見えてこない。そこでネットからプエブロ族神話を以下アドレスwww.tribesman.net/PuebloMyth.pdf (部族民通信ホームページ、無害です)に貼り付けています。Œdipe神話との共通点も読み取れるかと思います、訪れてください。

Pueblo神話の図(上図、左は本書244頁デジカメ)の説明 : 左端の柱はヒトの出現から破滅を語る。ヒトは大地の底に蠢く惨めな虫けらだった。双子の神(少年)が植物繊維を用いた縄はしごを教えて、地底から脱出させた。大地に居住を始めたヒトの生業は野生植物の採取、そこから栽培植物育成と発展させた。狩猟と野生動物の肉食に進んで、戦争を起こして絶滅した。かく、左端は変化から滅亡(changement et mort)に宇宙の流れが定まる。
右端柱は死(兄妹の水平婚たわけが発生し、子が絶滅する)からから始まり久遠(mort et permanence)の世界の移り変わりを表す。こうした因果の有様を左右に配置し、ヒトは生業と社会を変遷させては失敗を繰り返すと教える。これがPueblo神話かと理解する。最終には安定(permanence)を得る(右端柱の最下点)、結末が全て悲劇のŒdipe神話とここが異なる。
左柱から右への移動の行程を見ると仲介役がヒト(族民)を導く。それらは 1双子の神 2兄妹(近親姦を犯す) 3祭りの道化師(Clown) 4戦の神(二人神)などとなる。
1図の左端柱を第2図にて拡大している。この柱の上は生命(成長)で最下部は死(停滞)、上下は相容れない対極世界となるが、上から下に移るとは生産手段の変遷。農耕から狩猟へ、植物から動物の食物に変換している。この過程は世界観の思想そのものでありレヴィストロースは « cosmologie » と形容している。他極への入れ替わりの画期をヒトが狩りを始めた時点としている。
Œdipe神話とPueblo神話の類似を探ると ;
1 対立する世界(結界)
2 人の大地生まれ、生まれ出た者たちの脚の不自由さ(Œdipe神話では「びっこ」差別語らしいあえて一度だけ用いる、以下は足の不自由さに統一する。Pueblo神話では手足の指の間に膜がある、不恰好な生物で、直立できず這って歩いていたなどと記載される。これらはアドレス部族民通信ホームページwww.tribesman.net/PuebloMyth.pdf、ネットサイトhttps://kachina.studio-kokopelli.co.uk/に参照あれ)。大地から脱出できなかった者が地底の怪物になった(落伍者たちは、人間になれずに怪物になり=同サイトから引用)Œdipe神話でのスパルトイ、スフィンクスなどと対比できよう。
3 中間線をふらつくヒト(英雄あるいは民族)、仲介する事象(スフィンクスの謎掛け)またPueblo神話では誘導する神、が対立する極に誘い出し・結局人は滅亡する
一方で相違は ;
1 2極対立と4極の対峙。Puebloでは左右柱に対極性がある上、柱の経時性(Œdipeでは因果とした)の起点と終点に対峙がある。
2 仲介役の演出に違い。Œdipeでの仲介役はスフィンクスなど自身が筋立てに参加している。明確な性格 « trait » を帯びる。Puebloでは仲介役は族民を引き回す「機能」でしかない。
3 Puebloでは宇宙を彷徨するのは族民(集団)、 Œdipeでは個人(英雄)。Pueblo族民は仲介役に引き回されるがŒdipe (カドモスとエディプス)は自己の機転と勇敢で苦難を乗り越える。
神話の構造Pueblo族のエディプス神話 上 の了

(章題の頁)
前半はエディプス神話(過去投稿)に続いてPueblo族神話を紹介し、両者を比較する。
Pueblo族Zuni支族が伝承する神話をŒdipe解析で展開した4柱分解と同様の方法で作成した図(244頁)を掲載する。図からある程度の筋立ては見える。<地下に住む虫けらみたいなご先祖が地底から抜け出し繁栄し、滅亡する>と推測した。本書(構造人類学)には原典のPueblo神話は引用されていないので、統合した筋道が見えてこない。そこでネットからプエブロ族神話を以下アドレスwww.tribesman.net/PuebloMyth.pdf (部族民通信ホームページ、無害です)に貼り付けています。Œdipe神話との共通点も読み取れるかと思います、訪れてください。

Pueblo神話の図(上図、左は本書244頁デジカメ)の説明 : 左端の柱はヒトの出現から破滅を語る。ヒトは大地の底に蠢く惨めな虫けらだった。双子の神(少年)が植物繊維を用いた縄はしごを教えて、地底から脱出させた。大地に居住を始めたヒトの生業は野生植物の採取、そこから栽培植物育成と発展させた。狩猟と野生動物の肉食に進んで、戦争を起こして絶滅した。かく、左端は変化から滅亡(changement et mort)に宇宙の流れが定まる。
右端柱は死(兄妹の水平婚たわけが発生し、子が絶滅する)からから始まり久遠(mort et permanence)の世界の移り変わりを表す。こうした因果の有様を左右に配置し、ヒトは生業と社会を変遷させては失敗を繰り返すと教える。これがPueblo神話かと理解する。最終には安定(permanence)を得る(右端柱の最下点)、結末が全て悲劇のŒdipe神話とここが異なる。
左柱から右への移動の行程を見ると仲介役がヒト(族民)を導く。それらは 1双子の神 2兄妹(近親姦を犯す) 3祭りの道化師(Clown) 4戦の神(二人神)などとなる。
1図の左端柱を第2図にて拡大している。この柱の上は生命(成長)で最下部は死(停滞)、上下は相容れない対極世界となるが、上から下に移るとは生産手段の変遷。農耕から狩猟へ、植物から動物の食物に変換している。この過程は世界観の思想そのものでありレヴィストロースは « cosmologie » と形容している。他極への入れ替わりの画期をヒトが狩りを始めた時点としている。
Œdipe神話とPueblo神話の類似を探ると ;
1 対立する世界(結界)
2 人の大地生まれ、生まれ出た者たちの脚の不自由さ(Œdipe神話では「びっこ」差別語らしいあえて一度だけ用いる、以下は足の不自由さに統一する。Pueblo神話では手足の指の間に膜がある、不恰好な生物で、直立できず這って歩いていたなどと記載される。これらはアドレス部族民通信ホームページwww.tribesman.net/PuebloMyth.pdf、ネットサイトhttps://kachina.studio-kokopelli.co.uk/に参照あれ)。大地から脱出できなかった者が地底の怪物になった(落伍者たちは、人間になれずに怪物になり=同サイトから引用)Œdipe神話でのスパルトイ、スフィンクスなどと対比できよう。
3 中間線をふらつくヒト(英雄あるいは民族)、仲介する事象(スフィンクスの謎掛け)またPueblo神話では誘導する神、が対立する極に誘い出し・結局人は滅亡する
一方で相違は ;
1 2極対立と4極の対峙。Puebloでは左右柱に対極性がある上、柱の経時性(Œdipeでは因果とした)の起点と終点に対峙がある。
2 仲介役の演出に違い。Œdipeでの仲介役はスフィンクスなど自身が筋立てに参加している。明確な性格 « trait » を帯びる。Puebloでは仲介役は族民を引き回す「機能」でしかない。
3 Puebloでは宇宙を彷徨するのは族民(集団)、 Œdipeでは個人(英雄)。Pueblo族民は仲介役に引き回されるがŒdipe (カドモスとエディプス)は自己の機転と勇敢で苦難を乗り越える。
神話の構造Pueblo族のエディプス神話 上 の了