小松引図鐔 東龍斎派
小松引図鐔 銘 (花押)
正月子の日に行われた小松引きの行事に題を得た作。銘はなく花押のみが刻されており、作者は不明。伝統的な行事を題材に採っており、いずれかの注文を受けてのものであろうと思われる。若松を引く女性の顔は古典的なしもぶくれのそれで、お多福と呼んでも何らおかしくはないのだが、姿態に柔らか味があり、上品な佇まいが感じられる。鉄地高彫で、画中背景は銀象嵌であり、雪の存在を暗示している。裏面は御簾に葵の葉の採り合わせであることから、この図は『源氏物語』に取材したものであろう。この鐔も独特の二重耳で表わされているが、遠い昔の貴族の世界を思い浮かべるといった、心象表現の一つと考えたい。
小松引図鐔 銘 (花押)
正月子の日に行われた小松引きの行事に題を得た作。銘はなく花押のみが刻されており、作者は不明。伝統的な行事を題材に採っており、いずれかの注文を受けてのものであろうと思われる。若松を引く女性の顔は古典的なしもぶくれのそれで、お多福と呼んでも何らおかしくはないのだが、姿態に柔らか味があり、上品な佇まいが感じられる。鉄地高彫で、画中背景は銀象嵌であり、雪の存在を暗示している。裏面は御簾に葵の葉の採り合わせであることから、この図は『源氏物語』に取材したものであろう。この鐔も独特の二重耳で表わされているが、遠い昔の貴族の世界を思い浮かべるといった、心象表現の一つと考えたい。