浜松千鳥図鐔 奈良利治 (鐔の歴史)
金家の銘が刻された作で、明らかに後代の作であるという例は多々見かける。残念ながら、それらの資料写真は残してない。銘の切り方も違えば、造り込み、高彫の様子、象嵌の過多も気になり、明らかに金家ではないとみる。だが先に述べたように、これらの後代の作が遡って真作に近づいてゆくと、どこで真偽の線引きをすべきかわからなくなるポイントがでてくるのが現実である。
以下紹介するのは、金家の作風を手本とし、独創を加えていったであろう金工や鐔工の作例である。


浜松千鳥図鐔 奈良利治作
金家の風合いを正しく継いでいるというわけではない。山水図を基礎にし、高彫色絵象嵌によって江戸好みの風景図を専らとしたのが奈良派である。鏨の使い方による違いであろう、奈良派独特の風情を感じとってほしい。
鉄地を素材とし、耳際には打返しなどの手を加えずに平坦な処理。鎚の痕跡を残して空間を演出しているが、金家のような、鎚目の抑揚は強くない。松樹の表情が素敵だ。この手は古金工にも、金家にも見当たらない。千鳥の舞い踊る様子も高彫だが、さて、その周囲にみられる微妙な線は何だろうか気になる。可能性として、金家の採った共鉄象嵌が挙げられよう。
作者の利治は、奈良派でも有名な利寿、乗意、安親の先輩に当たる金工。江戸金工の祖の一人と捉えれば判り易い。79ミリ。
金家の銘が刻された作で、明らかに後代の作であるという例は多々見かける。残念ながら、それらの資料写真は残してない。銘の切り方も違えば、造り込み、高彫の様子、象嵌の過多も気になり、明らかに金家ではないとみる。だが先に述べたように、これらの後代の作が遡って真作に近づいてゆくと、どこで真偽の線引きをすべきかわからなくなるポイントがでてくるのが現実である。
以下紹介するのは、金家の作風を手本とし、独創を加えていったであろう金工や鐔工の作例である。


浜松千鳥図鐔 奈良利治作
金家の風合いを正しく継いでいるというわけではない。山水図を基礎にし、高彫色絵象嵌によって江戸好みの風景図を専らとしたのが奈良派である。鏨の使い方による違いであろう、奈良派独特の風情を感じとってほしい。
鉄地を素材とし、耳際には打返しなどの手を加えずに平坦な処理。鎚の痕跡を残して空間を演出しているが、金家のような、鎚目の抑揚は強くない。松樹の表情が素敵だ。この手は古金工にも、金家にも見当たらない。千鳥の舞い踊る様子も高彫だが、さて、その周囲にみられる微妙な線は何だろうか気になる。可能性として、金家の採った共鉄象嵌が挙げられよう。
作者の利治は、奈良派でも有名な利寿、乗意、安親の先輩に当たる金工。江戸金工の祖の一人と捉えれば判り易い。79ミリ。