鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

蹴鞠図小柄 Kozuka

2013-07-04 | 小柄
蹴鞠図小柄


蹴鞠図小柄

 中国が起源であろう、渡来して大きく様変わりした文化の一つに七夕がある。古くは乞巧奠と呼ばれている。現代で、まず目に付く笹飾りは、実は江戸時代後期に武家の婦女子の間に広がったものであり、頗る新しい文化である。天に流れる天の川を舞台に展開された織姫と牛飼の伝承は、国が違えども容易に受け入れられ、我が国にも定着している。七夕や古い時代の乞巧奠において行われた行事は伝統のものとして、後の江戸時代には七つの遊びがそこから生み出された。歌、蹴鞠、碁、揚弓、花合せ、貝合せ、香合せである。装剣小道具の画題として多くみられるのが蹴鞠。この小柄の図は、福禄寿が行う蹴鞠。広場の東南の隅に植えられた柳を背景に、巧みな構成で描いている。七福神の一として、福をもたらす神として崇められた福禄寿は、南極星の化身とも言われている。七夕、すなわち星に関わる神として題に採られたのであろう。赤銅魚子地高彫色絵。