「番頭さん、力の強い若い衆を、4人ばかし集めてきちゃぁくんねぇかい」
「力のある者でしたら、4人と言わず、何人でもおりますが・・」
「4人で良いんです。早く集めて来ておくれ。あっしにいい考えがあるんでさぁ。集まったら話するから・・」
番頭さん、若い衆を4人ばかし連れてまいりました。
「いいかい、よーく話を聞いてくれ!まず、4人が旦那さんが寝ている布団の四隅に座って、旦那の布団の端を持っといておくれ。私が膝をポーンと叩いたら、みんなして布団を持ち上げて、旦那さんを逆向きにする。みんなで一緒にやらないとうまくいかないんだから。旨くやっておくれ!」
「へいっ!」と一同揃いまして、旦那の寝ている部屋へ入ります。八五郎が病人の方を見ますってぇと。死神の奴ぁ枕元の方へ座ったままでございました。最早、もう一息の様子でしたので、死神は目をらんらんとさせております。ですが、死神も過剰労働が続いておりますので・・・そりゃねぇ、一人で何人もの病人抱えているわけですし、年中無休の二十四時間営業でございますので、仕事中に疲れが出てくる事もございます。案の定、死神もすこーし、船を漕ぎ出したようでございます。
「しめた!死神の奴。こっくりし始めた!今だ!」
八五郎の目配せと膝をポーンと叩いた合図で、若い衆が揃って布団を持ち上げ、旦那の頭と足を逆にしました。その終わるか終わらないうちに八五郎呪文を唱えた
「アジャラカモクレンアルジェリア イトォマキマキイトォマキマキヒィィテヒィィテテケレッツノパ」同時に手をポンポンと二度ほど叩いた!
死神は相当焦ったらしく、かなり驚き、目をかぁーっと見開いたかと思うと、とたんに「ギャー」と大きな悲鳴をあげ、天上へ登りきると、すーぅっと消えていった。
病人はというと、布団から飛び起きて「鰻が食べたい!」なんて言ったものですから、もう家中大騒ぎになった。
「先生、ありがとうございます!」
「全快でございます」
「お礼の方はすぐさまご用意いたします。差しあたって、十両をそのままお渡しいたします」
「えっ、十両!これは、お礼とはべつ?そうですか。ええ、頂くものは頂いてっと。へぇ、では私はこれで・・」
と八っあん。懐が急に暖かくなって、いい心持ちでございます。まずは一杯と馴染みの酒屋へ入り、もう朝方まで呑んでおりました。店を出た八五郎でございます。
「でも、なんだなぁ。死神の野郎のあの顔ったらなかったねぇ。いきなり『ギャー』って驚きやがった」
「驚くのは当たり前だ!」
「あっ死神さん!脅かすなよ!いきなり出てきやがって!」
「まだ、気づかないのか!あそこにいた死神は・・俺だ」
「なんだ、あんただったのかい!俺ぁ全く気づかなかった・・」
「お前のおかげで、俺は死神仲間から笑い者にされちまった。おまけに全国死神協会から除名。それだけじゃねぇ。降格の上に減俸にまでなった・・お前さん・・恩を仇で返してきやがって・・」
「何だよぉ、だったら最初(はな)っから言ってくれりゃいいんだよ!あんただったら、俺もそんな事までするつもりはなかったんだ。死神ってぇなぁ、皆して同じ顔に見えるからよぉ。成りまで同じと来てるし・・」
「へっ・へっ・へへへ・・何も言わずについてきな!」
「『ついて行け!』たって、一体何所へ連れていく気なんだい!俺ぁ、やだ!」
「へっ・へっ・へへへ・・これだけ迷惑をかけておいて、良くも言えたもんだな・・・俺の杖に捕まってな!」
「な・何だよ!これに掴まれって・・・おい!何するんだ!死神さぁん。目の前が真っ暗になっちまったじゃねぇか!あれ?なんだか、空に浮いているような・・
あっ?あれーーーっ」
腹の底から五臓が湧き上がるような妙な感覚と同時に、体が前へビューンと飛んでいくのが判りました。ようやく足が地に着いた感覚となりまして、目の方も開いたときでございます。
「へっ・へっ・へへへ・・着いたよ・・」
「何所なんだい!ここは?洞窟みてぇなとこじゃねぇか!そして、物凄い数の蝋燭が・・・長ぇのから短いのまでたくさんあらぁ・・」
「へっ・へっ・へへへ・・お前さん、この蝋燭は何だと思う?」
「死神さん、いってぇ・・」
「これはな、人の寿命だ!」
「寿命?」
「ああそうだ!長い蝋燭はまだ寿命がある。短い蝋燭は寿命がない」
「へーっ。そうやって人の寿命が決まるってぇ寸法か」
「ここの蝋燭を見な!」
「なんでぇ、一番長くて、明るいやつぁ」
「これはな、お前の息子の蝋燭だ」
「そうかぁ、奴はまだまだ長生きするぜ!なんせ元気よさそうに燃えてるじゃねぇか。でもよ・・死神さんその隣の蝋燭の火は今にも消えそうだぜ」
「へっ・へっ・へへへ・・誰んだと思うんだぃ」
「だ・だれ・・・だれって・・・」
「これがな、おめぇさんのだ!」
「こ・これがぁ!俺のってぇぇぇぇ・・今にも、もうすぐ・・き・え・えそ・・」
「お前、人の寿命ってただだと思っていやがったな。実はそうじゃぁねぇんだ。この蝋燭はさっきまで、お前が助けたと思っている、旦那の蝋燭だった・・だがな、お前さんが、あんな事をしやがったから、旦那の蝋燭とお前さんのと入れ違ったってぇ・・・わ・け・だ」
「な・なんだよ死神さぁん。じゃぁ俺は、今すぐにでも死んで・・・」
「へっ・へっ・へへへ・・その通りだ!実はな、お前さんは、飲み屋から出て来たとたんに死ぬ運命になっていたんだ・・だがな、簡単に死なせてしまっては俺の腹の虫が収まらねぇ・・さぁ、お前どうするんだい?」
「どうするって・・死神さぁん、俺が悪かった!俺が悪かったよぉ・・だから・・そ・そうだ!俺はまだ七人しか助けてねぇ。あと一人助けられるんでぇ・・死神さぁん。おねげぇだぁ・・後の一人を俺にしちゃぁくんねぇかぁ・・おねげぇだぁ・・死神さぁぁぁぁん・・」
「虫のいい奴だ。一度助けたんだ。もう一度助けてやろうかぁぁ!?」
「ああ、判った!判ったよ!死神さん。助けてくれ!もう一度助けてくれぇぇぇ」
「へっ・へっ・へへへ・・ここに俺は一本の新しい蝋燭を持っている。これをお前さんにやるとしよう。この新しい蝋燭に、お前さんの消えかかっている蝋燭の火を移し変えるんだ。そうすれば、お前さんの寿命が延びる」
「ほ・ほんとうかい!死神さん!その蝋燭、俺にくれ!早くくれ!」
「へっ・へっ・へへへ・・まあぁそんなに急がなくたっていいじゃねぇか。ほれ、お前さんにやるよ。でもな、途中で消えたら・・・お前さん、判ってるんだろ!」
「わ・わ・判ってらい!そんなこたぁ・・(八、蝋燭を死神からもらう。手に蝋燭を握っている)」
「へっ・へっ・へへへ・・どうしたんだい?手が震えているじゃねぇか・・」
「ちょっとよぉ、黙ってくれぃ!どうしても、手が震えてきやがって・・」
「へっ・へっ・へへへ・・そんな事やってたら。ほうらぁ。。き・え・る・よ。消えちまうよぉぉぉぉ・・」
(八、ブルブル震える手でなんとか、蝋燭に火を燈そうとするが、なかなか、旨く行かない。さらに焦る)
「ほうらぁ。消えるよぉ・・・き・え・るよぉぉぉ・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ほうらぁ。消えるよぉ・・・き・え・るよぉぉぉ・・」
(八、なんとか、蝋燭に火をつけることになる・・・が!)
「つ・い・た・ぁぁぁ・・・ふうぅぅぅっーーーーーー」
(同時にため息をつく。蝋燭を吹き消してしまった、八)
バ・・タ・・・ン!!!!!!!(倒れる音)
(八五郎 絶命!)
場内爆笑の内に「ありがとうございましたぁぁ」と袖から掛け声を掛けるのが寄席の普通です。が。
会場は、まだ高座に倒れている語児羅君を凝視したまま、誰も席を立とうとしておりませんし、誰も何も言っておりません。
袖から見守っていた僕らでさえ、彼の迫真の演技に、誰一人口を開く者はおりませんでした。
その語児羅君、おもむろに高座から頭をあげました。すると、会場からいっせいに
「ふぅぅーーーーー」と大勢のため息があがったのでした。その直後、僕ら出演者全員も
「フーーーーーー」とため息が出ました。
「ありがとうございました!アリガトウゴザイマシタ!」と語児羅君が、恒例の挨拶を致します。(取りは最後のお客様が会場を去るまで、お礼を述べてなければいけないのでした。僕らの流儀でした)
その途端!大きな拍手が、会場を包みました。
「来ていたお客も、俺達とおんなじだったんだっちゃ。最後の場面、緊張してたんだべ」からす君が、まるで自分が噺終わったような顔つきで、話しかけて来ました。
「んだっちゃ。だれ、俺も緊張しっぱなしだったおん」
翌日、帰ってきましたアンケートの内容を確認しました。
「最後の死神は、今まで聞いたこともないような死神でした。でも、取りの噺だったら、大笑いするか泣くかどちらかのほうが、よかったんじゃないか」
と多くの人が書いておりました。
「確かにそうだべ。んだけんど、普通出来ないような落語会にするのが、俺達だっちゃ」
「んだ!こんな企画立てるのは、俺らぐれぇだべさ」
「タロットカードの死神さぁ、語児羅の写真さぁ貼っぺか!」
「こいつぁ、名案だべ」
からす、あん好、語児羅の会話でした。
「力のある者でしたら、4人と言わず、何人でもおりますが・・」
「4人で良いんです。早く集めて来ておくれ。あっしにいい考えがあるんでさぁ。集まったら話するから・・」
番頭さん、若い衆を4人ばかし連れてまいりました。
「いいかい、よーく話を聞いてくれ!まず、4人が旦那さんが寝ている布団の四隅に座って、旦那の布団の端を持っといておくれ。私が膝をポーンと叩いたら、みんなして布団を持ち上げて、旦那さんを逆向きにする。みんなで一緒にやらないとうまくいかないんだから。旨くやっておくれ!」
「へいっ!」と一同揃いまして、旦那の寝ている部屋へ入ります。八五郎が病人の方を見ますってぇと。死神の奴ぁ枕元の方へ座ったままでございました。最早、もう一息の様子でしたので、死神は目をらんらんとさせております。ですが、死神も過剰労働が続いておりますので・・・そりゃねぇ、一人で何人もの病人抱えているわけですし、年中無休の二十四時間営業でございますので、仕事中に疲れが出てくる事もございます。案の定、死神もすこーし、船を漕ぎ出したようでございます。
「しめた!死神の奴。こっくりし始めた!今だ!」
八五郎の目配せと膝をポーンと叩いた合図で、若い衆が揃って布団を持ち上げ、旦那の頭と足を逆にしました。その終わるか終わらないうちに八五郎呪文を唱えた
「アジャラカモクレンアルジェリア イトォマキマキイトォマキマキヒィィテヒィィテテケレッツノパ」同時に手をポンポンと二度ほど叩いた!
死神は相当焦ったらしく、かなり驚き、目をかぁーっと見開いたかと思うと、とたんに「ギャー」と大きな悲鳴をあげ、天上へ登りきると、すーぅっと消えていった。
病人はというと、布団から飛び起きて「鰻が食べたい!」なんて言ったものですから、もう家中大騒ぎになった。
「先生、ありがとうございます!」
「全快でございます」
「お礼の方はすぐさまご用意いたします。差しあたって、十両をそのままお渡しいたします」
「えっ、十両!これは、お礼とはべつ?そうですか。ええ、頂くものは頂いてっと。へぇ、では私はこれで・・」
と八っあん。懐が急に暖かくなって、いい心持ちでございます。まずは一杯と馴染みの酒屋へ入り、もう朝方まで呑んでおりました。店を出た八五郎でございます。
「でも、なんだなぁ。死神の野郎のあの顔ったらなかったねぇ。いきなり『ギャー』って驚きやがった」
「驚くのは当たり前だ!」
「あっ死神さん!脅かすなよ!いきなり出てきやがって!」
「まだ、気づかないのか!あそこにいた死神は・・俺だ」
「なんだ、あんただったのかい!俺ぁ全く気づかなかった・・」
「お前のおかげで、俺は死神仲間から笑い者にされちまった。おまけに全国死神協会から除名。それだけじゃねぇ。降格の上に減俸にまでなった・・お前さん・・恩を仇で返してきやがって・・」
「何だよぉ、だったら最初(はな)っから言ってくれりゃいいんだよ!あんただったら、俺もそんな事までするつもりはなかったんだ。死神ってぇなぁ、皆して同じ顔に見えるからよぉ。成りまで同じと来てるし・・」
「へっ・へっ・へへへ・・何も言わずについてきな!」
「『ついて行け!』たって、一体何所へ連れていく気なんだい!俺ぁ、やだ!」
「へっ・へっ・へへへ・・これだけ迷惑をかけておいて、良くも言えたもんだな・・・俺の杖に捕まってな!」
「な・何だよ!これに掴まれって・・・おい!何するんだ!死神さぁん。目の前が真っ暗になっちまったじゃねぇか!あれ?なんだか、空に浮いているような・・
あっ?あれーーーっ」
腹の底から五臓が湧き上がるような妙な感覚と同時に、体が前へビューンと飛んでいくのが判りました。ようやく足が地に着いた感覚となりまして、目の方も開いたときでございます。
「へっ・へっ・へへへ・・着いたよ・・」
「何所なんだい!ここは?洞窟みてぇなとこじゃねぇか!そして、物凄い数の蝋燭が・・・長ぇのから短いのまでたくさんあらぁ・・」
「へっ・へっ・へへへ・・お前さん、この蝋燭は何だと思う?」
「死神さん、いってぇ・・」
「これはな、人の寿命だ!」
「寿命?」
「ああそうだ!長い蝋燭はまだ寿命がある。短い蝋燭は寿命がない」
「へーっ。そうやって人の寿命が決まるってぇ寸法か」
「ここの蝋燭を見な!」
「なんでぇ、一番長くて、明るいやつぁ」
「これはな、お前の息子の蝋燭だ」
「そうかぁ、奴はまだまだ長生きするぜ!なんせ元気よさそうに燃えてるじゃねぇか。でもよ・・死神さんその隣の蝋燭の火は今にも消えそうだぜ」
「へっ・へっ・へへへ・・誰んだと思うんだぃ」
「だ・だれ・・・だれって・・・」
「これがな、おめぇさんのだ!」
「こ・これがぁ!俺のってぇぇぇぇ・・今にも、もうすぐ・・き・え・えそ・・」
「お前、人の寿命ってただだと思っていやがったな。実はそうじゃぁねぇんだ。この蝋燭はさっきまで、お前が助けたと思っている、旦那の蝋燭だった・・だがな、お前さんが、あんな事をしやがったから、旦那の蝋燭とお前さんのと入れ違ったってぇ・・・わ・け・だ」
「な・なんだよ死神さぁん。じゃぁ俺は、今すぐにでも死んで・・・」
「へっ・へっ・へへへ・・その通りだ!実はな、お前さんは、飲み屋から出て来たとたんに死ぬ運命になっていたんだ・・だがな、簡単に死なせてしまっては俺の腹の虫が収まらねぇ・・さぁ、お前どうするんだい?」
「どうするって・・死神さぁん、俺が悪かった!俺が悪かったよぉ・・だから・・そ・そうだ!俺はまだ七人しか助けてねぇ。あと一人助けられるんでぇ・・死神さぁん。おねげぇだぁ・・後の一人を俺にしちゃぁくんねぇかぁ・・おねげぇだぁ・・死神さぁぁぁぁん・・」
「虫のいい奴だ。一度助けたんだ。もう一度助けてやろうかぁぁ!?」
「ああ、判った!判ったよ!死神さん。助けてくれ!もう一度助けてくれぇぇぇ」
「へっ・へっ・へへへ・・ここに俺は一本の新しい蝋燭を持っている。これをお前さんにやるとしよう。この新しい蝋燭に、お前さんの消えかかっている蝋燭の火を移し変えるんだ。そうすれば、お前さんの寿命が延びる」
「ほ・ほんとうかい!死神さん!その蝋燭、俺にくれ!早くくれ!」
「へっ・へっ・へへへ・・まあぁそんなに急がなくたっていいじゃねぇか。ほれ、お前さんにやるよ。でもな、途中で消えたら・・・お前さん、判ってるんだろ!」
「わ・わ・判ってらい!そんなこたぁ・・(八、蝋燭を死神からもらう。手に蝋燭を握っている)」
「へっ・へっ・へへへ・・どうしたんだい?手が震えているじゃねぇか・・」
「ちょっとよぉ、黙ってくれぃ!どうしても、手が震えてきやがって・・」
「へっ・へっ・へへへ・・そんな事やってたら。ほうらぁ。。き・え・る・よ。消えちまうよぉぉぉぉ・・」
(八、ブルブル震える手でなんとか、蝋燭に火を燈そうとするが、なかなか、旨く行かない。さらに焦る)
「ほうらぁ。消えるよぉ・・・き・え・るよぉぉぉ・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ほうらぁ。消えるよぉ・・・き・え・るよぉぉぉ・・」
(八、なんとか、蝋燭に火をつけることになる・・・が!)
「つ・い・た・ぁぁぁ・・・ふうぅぅぅっーーーーーー」
(同時にため息をつく。蝋燭を吹き消してしまった、八)
バ・・タ・・・ン!!!!!!!(倒れる音)
(八五郎 絶命!)
場内爆笑の内に「ありがとうございましたぁぁ」と袖から掛け声を掛けるのが寄席の普通です。が。
会場は、まだ高座に倒れている語児羅君を凝視したまま、誰も席を立とうとしておりませんし、誰も何も言っておりません。
袖から見守っていた僕らでさえ、彼の迫真の演技に、誰一人口を開く者はおりませんでした。
その語児羅君、おもむろに高座から頭をあげました。すると、会場からいっせいに
「ふぅぅーーーーー」と大勢のため息があがったのでした。その直後、僕ら出演者全員も
「フーーーーーー」とため息が出ました。
「ありがとうございました!アリガトウゴザイマシタ!」と語児羅君が、恒例の挨拶を致します。(取りは最後のお客様が会場を去るまで、お礼を述べてなければいけないのでした。僕らの流儀でした)
その途端!大きな拍手が、会場を包みました。
「来ていたお客も、俺達とおんなじだったんだっちゃ。最後の場面、緊張してたんだべ」からす君が、まるで自分が噺終わったような顔つきで、話しかけて来ました。
「んだっちゃ。だれ、俺も緊張しっぱなしだったおん」
翌日、帰ってきましたアンケートの内容を確認しました。
「最後の死神は、今まで聞いたこともないような死神でした。でも、取りの噺だったら、大笑いするか泣くかどちらかのほうが、よかったんじゃないか」
と多くの人が書いておりました。
「確かにそうだべ。んだけんど、普通出来ないような落語会にするのが、俺達だっちゃ」
「んだ!こんな企画立てるのは、俺らぐれぇだべさ」
「タロットカードの死神さぁ、語児羅の写真さぁ貼っぺか!」
「こいつぁ、名案だべ」
からす、あん好、語児羅の会話でした。
いつも落ちが意外なところを突いて来る。
落研・・・こんなに素晴らしい学生さんが居たとは、見直しました。
覗いてみたいような、いやいや恐ろしくてとてもとても・・・
落語会が催されていた時代は、私が頂上の若手社員でバリバリの時期です。
それこそ死神にとりつかれた?ように働いておりました。
開店時刻~閉店時刻まで、ひたすら(屋外の)店頭販売なんてことしてましたよ。
やはり、落語をお伝えしませんと、演じている本人の面白さ(失礼します)が伝わらないのかなとも思いました。
ところで酔漢さんの落語シリーズが始まってから、世間でも落語ブームになったような…(^o^)
最近書店もコーナー出来たり、あと教育TVのアニメも面白いです。
最近は家事しながらiPodでポッドキャスト配信落語ばっか聴いてます♪
六花様が落語をお聞きになるのですか。
案外気楽に聞けるものですよね。
周りにも最近になって「落語」を聴き始めた方方が増えてまいりまして。よく言葉の意味を聞かれたりいたします。
やはり古典ですと、江戸の風情・習慣は現代ではなくなっているものが多いのです。
先だって、両国あたりを徘徊しておりました。