酔漢のくだまき

半落語的エッセイ未満。
難しい事は抜き。
単に「くだまき」なのでございます。

唯梨庵の鈴

2008-05-18 02:37:09 | スコッチウィスキーの話
このドアノブの鈴。ドアを正面から見ますと、少し角度が違って見えますので、このような、写真となりました。
さて、「ここは?」と申しますと、「東北工業大学 丹治道彦 准教授」の研究室のドアでございます。
出所はですね。仙台にございました「唯梨庵」の入り口の鈴です。
酔漢は、「文化横丁」時代に良く通っておりまして、「国分町」のときは就職間近だった為か、数回程しか行っておりません。
ですが、僕の後輩達や、今しがたご紹介いたしました、丹治さんは、この国分町にも良く通っておったのでした。
しかるに、本人からメールが届きまして
「酔漢、ブログに例の『徳利』載せたんだなや。実は俺も唯梨庵のマスターからあるものを頂いたのっしゃ」
「先輩もすか?で、何っしゃ?」
「入り口にあった『鈴』だべ」
「俺、覚えてねぇおんなや。んで写真さぁ送ってけらいん」
って事でございました。
当人、その前にコメントの中で、その「鈴」の事をかたりましたところ、ひげ親爺様から「どんな『鈴』でしたでしょうか」と返答が・・
そんなわけで、今回の写真掲載となったのでした。
実は酔漢も同じような経験をしまして、これはまたニューヨークでのお話なのですが。
ニューヨークに「ブルーノート」というJAZZスポットがございます。そこでさんざんぱら呑んでまして、トイレの入り口に掛けてありましたキーホルダーと鍵を一式失敬したのです。今でもその「ブルーノート」のキーホルダーは使っております。ですが、付いておりました鍵はいったいどこの部屋の鍵だったのでしょうか。
(すみません。訂正です。丹治先輩は唯梨庵のマスターからちゃんと頂いたものなのです。酔漢のは黙って持ってきておりますので、「同じような経験」ではなかったですね。いや、失礼いたしました)

前回のお話で「『ストラスアイラ』池の妖精伝説」をお話いたしました。
水は、ウィスキー作りにはとても大事なものなのです。この「ストラスアイラ」の仕込み水は、例の?「ブルームヒル池」のものですが、この水、軟水なのです。ですから、日本の水に近い形です。
ちなみに、サントリー「山崎蒸留所」の水は千利休が茶室を構えた地にございます。ニッカ「宮城峡」もしかり。「水のいいところに蒸留所がある」と言ったところです。
ですから、その水の性質によってもそのウィスキーの味と癖が若干違ってまいります。
ウィスキー作りの「仕込み水」とは、ウィスキーを製造する過程において使われます水の総称です。蒸留したての透明なアルコール度数の高いものを、熟成樽に移す過程の中で、熟成に適しました濃度に調整いたします。その水(「加水」と言われる行程)も「仕込み水」から使用いたします。
一般的には、軟水が適していると言われておりますが、一部硬水も使われております。(日本の蒸留所は全て軟水です)硬水で作ったシングルモルトと言えば「ザ・グレンリヴェット」がその代表でしょう。硬水を使ったシングルモルトの特徴として、(これも酔漢の主観なのですが・・)「まったり感」というか「香りがすぐ飛ぶ」(香りがないというのではございません)というか、「ロックでないのに、舌に冷たさが残る」というか・・そんな感じです。物の本によると「シャープな切れ味が、特徴」とありますが、その感覚は今一よく解りませんでした。
「アイランズモルト」の秀作「ハイランドパーク」(一度ご紹介しております)も硬水を仕込みに使っております。

話の流れです。本日の一杯は「ザ・グレンリヴェット」にいたしましょう。
このお酒、スコッチの歴史を背負っております。
スコットランドがイギリスに併合された18世紀始め、時のイギリス政府は、酒に過大すぎる税金をかけます。でも、「作りたいしわ、呑みたいわ」となりますと、これはもう「密造」しかないわけです。スコットランドの山奥で、隠れながら酒を造っては密売を繰り返していたのでした。もちろん法外な(彼らの言い分です)税金なぞ払うわけがございません。時は1823年。イギリス政府は、酒税法を改正させました。そして1824年。初の政府公認蒸留所となったのが「グレンリヴェット」なのでした。そりゃ密造仲間からはつまはじき。「裏切り者!」「政府の犬!」呼ばわりされるのです。が、これが大人気となります。そうなってきますと、今度は「二番煎じ」を狙う輩が多数出てまいります。同じ名前のウィスキーが出回る始末。
ですから「俺達が元祖・本家・本物だぁ」ということで「ザ」を頭文字に加えて
「ザ・グレンリヴェット」と名前を変えたのでした。
(久しぶりに世界史をやったなぁ。知恵熱が・・・・)
花の香りがします(という感じ)「わざとフレーバーな香りをつけているのでは」と思う方もいらっしゃるかもしれません。何の樽で熟成させているのか、酔漢も知りたいところではございますが、資料(サントリー様からの)には、「フランスのホワイトオーク樽」を使用しているとか。
でもそれだけで、呑めばすぐわかる独特な「香り」は産まれてくるわけはないのだがなぁ。と「ザ・グレンリヴェット12年」を飲む度に思うのです。
わざわざ「ザ・グレンリヴェット12年フレンチオーク」という名前でも出しております。今度是非試してみたい酔漢でございました。

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9 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
あの看板は (ひげ親爺様コメント御礼)
2008-05-23 04:01:22
通勤に田園都市線を使ってます。
青葉台(横浜市)の駅を通過する手前に「やまや」の看板が見えます。
東北造船所の前にあった酒屋でした。
安かったよなぁ。
ですから、ほぼ毎日看板を見ているわけです。
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芝楽です (ひげ親爺)
2008-05-20 21:00:00
写真ありがとう。確か3個ありましたよね。誰かにプレゼントして頂いたと思いますけど・・・誰かな?
皆さんの酒の知識にはビックリです。飛良泉(山廃おろしで知られてましたネ)名門酒会の酒でした。
酒・・・塩釜と言えば・・・やまや!?
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石川の酒 (酔漢です)
2008-05-20 20:44:39
「なるほど」その訳は、初めてしりました。
石川の銘酒「磯ノ香」(確かこの字だったような記憶がございます)ですが、色が濃く、まったりとした味です。米の香りが大変強く、それでいて嫌味な感じはありません。東北にはない「酒」です。
飛良泉は、多分杜氏の系統が南部ではないかと思うのですが。
「ですから辛口に思われるのかもしれません」
「いそのか」は、一杯だけでも飲んで見て下さい。
「日本酒の特徴を見直すことのできる逸品」だと思います。

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追伸 (丹治)
2008-05-20 14:07:15
残念ながら井戸野場所までは・・・申し訳ありませぬ・・・
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げにも世の中の狭きものかな (丹治)
2008-05-20 10:46:39
silent-hollyさんのコメントを拝見して、絶句しました。小生はおろか母までとは・・・それにしても世の中狭いもんですね。「誰も見てない」と思ってワルイことなどできぬゆえんであります。
酔漢さんが実名を出したのなら、問題ありますまい。宮城の某酒も県内某所の井戸も、もちろんのこと浦霞の七ヶ浜の井戸であります。
酒のといえば・・・太平洋側では白身の魚を刺身にして食べながら飲むので辛口の酒が多く、日本海側ではいぶりがっこみたいに味の濃い漬物を魚にして飲むので甘口の酒が多いって話を聞いたことがあります。酔漢さん、どう思われますか。日本海側でも鳥海山の麓で作られる飛良泉(ヒライズミ、漢字の当て方に自信なし)は辛口ですよね(好きな酒です)。
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silent-holly様コメント御礼 (酔漢です)
2008-05-19 21:48:43
あのおぉぉお願いごとがございまして。
多分、小生の母親の顔をご存知だと思います。
「顔を見て」「あの人だ!」と。・・・・・・
丹治氏と小生。宮崎先生(ご存知でいらっしゃいますでしょうか)を通じて知り合いました。(三小と二小で、先生からすれば「教え子」でございます)
塩竈を離れて二十数年が過ぎました。
家内も仙台出身です。
二人して、皆様のブログを眺めては、「あの頃は」
と話す機会も多いのですよ。

「俳句」で。小生の母も・・・・参りました!
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水ですよね! (酔漢です)
2008-05-19 21:38:00
丹時様はご存知でしょうか。旧浦霞の「七ヶ浜井戸」のあるところを。
初期の「浦霞」は七ヶ浜の井戸でもって作っておりました。
若干塩分が大目の「軟水」だったそうです。
ですから、あの独特の風味が、「産まれてくるのか」
と推察しております。
魚の旨い酒はやはり「海に近い酒」なのでしょう。
これは、酔漢の持論でございます。
だから「アイラモルト」です。(なんで、スコットランドの人間は魚喰わないのかなぁ?)

はたして、ヨーロッパ大陸の「あの水の旨さ?」を知り尽くしていらっしゃるようですが。
酔漢がエビアンを飲みますと、「腹のハーモにー?」が、急に賑やかになります酔漢でございます。
塩釜の水道水。
漁船の大人気。それは今でも。
あんがい知られていない事です。
みんなで宣伝してもいいのでは?
「水道水いかがですかぁーーー」
(アリエマセン!)  そばで見ていた家内談。
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はじめまして (silent-holly)
2008-05-19 21:35:25
はじめておじゃましました。
六花さんのブログのコメントを見て、塩竃の方かなあ~っと…
私、塩竃第三小学校卒業です。
今日は、ブログを初めの方から、チラホラと読ませていただきました。
それにしても、昔の事をよく覚えてますねえ。楽しい少年、青年時代だったから?
私、たぶん酔漢さんより年上と思いますが、仙石線通学組だったので、記事を読んでて懐かしくなりました。

さらに驚いたことに、こちらによく登場なさる丹治道彦さんの母上様とは、俳句のお友達です。
う~ん、世間はせまい!
ただ、お酒は飲めない(無粋でなさけないですが)ので、酔漢組にはなれそうもないですねえ。
まあ、よろしくたのむっちゃ!
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名水有る所美酒有り (丹治)
2008-05-19 15:08:30
やはり酒の旨い不味いは水に左右されますね。日本の酒どころも、大抵はいい水の出る所のようです。首都圏で名高い我が宮城県の某酒も、県内某所の水が貝殻などから溶け出たミネラル成分がうまさの素とか。その井戸水と水道水の混合比が企業秘密・・・とは、先代社長の言であります。
さて、小生三回ほどドイツに行きましたが、向うの水道水は、コップに汲むと白濁します。ってことはつまり、硬水ですね。「金を出して水を買うのはもったいない」と日本人的な発想をして、酔い醒ましの水は常に水道水でありました。レストランや酒場などで「水」が品書きに載っていることに、最初は非常に違和感を覚えたものです。最近は日本でもミネラルウォーターをよく見かけるようになりましたけどね。
最近はめっきり見なくなりましたが、昔の駅のホームには洗面用の流しがあり、蛇口から流れる水は当然のことながら「飲用適」でありました。学生時代のビンボー旅行の際には随分と御世話になったものです。
ヨーロッパ(少なくともドイツ)の鉄道駅には水を飲める水道の蛇口がないのですね。そりゃそうでしょうよ、飲めない水道水なんだから(それともキオスクのミネラルウォーターの売上げが落ちるからかな)。ところがウィーンの西駅のホームには、ちゃんとあったんですよ。水道の蛇口が・・・さっそく飲んでみたら、これが日本の水道水並みには旨いのです。つまり、ウィーンの水は軟水なんですね。何かの本で読んだことがあるのですが、ウィーンの水道水は郊外のウィーンの森だかどこだか(つまりはウィーン市内ではない所)から引いているのだそうです。
ああ、ウィーンのワイン、じゃなくて水が飲みたい!
m、水、水だ、水をくれ・・・頼むぅぅぅ・・・
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