TULIP DIARY

届くといいな やさしい風に乗って

ヨハネスブルクへの旅

2008年08月20日 | 読書日記
ヨハネスブルクへの旅 ビヴァリー・ナイドゥー 著 さ・え・ら書房
13歳のナレディとその弟ティロは妹のディネオの容態が悪くなり、
お金がないので病院へも行けないし、母のいるヨハネスブルクに手紙も出せない。
そこで二人は母が住みこみで働くヨハネスブルクへと歩いて向かうことにする。
彼らの住む町からヨハネスブルクは300キロも離れたところにあった。
道中、親切なオレンジ工場の少年に寝る場所を紹介してもらったり、
トラックに乗せてもらったりと到るところで
親切な人々に出会い、やっとヨハネスブルクの母の元にたどりつけた。
南アフリカがまだアパルトヘイト政策を取っていた頃のお話で
旅する途中に黒人に対するいろいろな矛盾や今までの黒人たちの戦いを知ることになる。
パスを持たないという理由だけで白人に捕らえられてしまう黒人を見たり、
白人専用のバスには黒人は乗ることができなかったりと
短い旅の間に彼ら姉弟は黒人に対するさまざまな問題に直面した。
そして、再会した母と一緒に町に戻り、妹は大事に到らなくて済んだ。
そんなナレディの心にもきらっと光るものがいつのまにかに宿っていた。
この旅が一少女にとって成長の旅であったと同時に未来への力強い出発地点になったのだ。
著者はイギリス自治領南アフリカ連邦に生まれ、白人社会の一員として育ち、
大学時代に反アパルトヘイト運動に身を投じてとらわれ、
8週間の獄中生活を送ったそうだ。
この体験による目覚めが彼女の作家としての姿勢を方向づけたと書かれていた。
イギリスに亡命して初めて発表したのがこの児童向け小説だったそうだ。



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