TULIP DIARY

届くといいな やさしい風に乗って

そして、バトンは渡された

2018年04月20日 | 読書日記
そして、バトンは渡された 瀬尾まいこ 著 文藝春秋
瀬尾まいこさんの小説を久しぶりに読みました。図書館で借りて、読んだ本でした。高校生の主人公、森宮優子は、父親が三人、母親が二人いて、家族の形態も、十七年間で七回も変わるという複雑な家庭環境で育つのですが、それぞれの親に愛情を持って大切に育てられます。そんな優子は、持ち前の優しさと穏やかさとそれなりにそれぞれの親たちに気を遣いながら幸せに過ごしていきます。この小説の中では、親たちや大家さんなどみんなそれぞれいい人がたくさん出てきます。いい人たちに囲まれながらもそれぞれの本心や主人公の本心を掘り下げることはないのですが、穏やかに日々を過ごしていく人々の様子は、現代の人々がそれぞれの本心をさらけ出すことなく軋轢を避けて生きていることを暗にほんわかと包むように自然体で描かれていました。血が繋がっていてもいなくても、人を大切に思う人と人との関係が、ゆるやかな時を重ねて自然に深まっていく様子が読者に共感を誘います。誰にでもありそうな日常のいろいろなシチュエーションとありえなそうなシチュエーションを上手に混ぜ合わせて描かれている家族というものの意味を読み手それぞれに問いかけているような小説でした。
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たくさんのおはぎの思い出

2018年04月20日 | ひとりごと
瀬尾まいこさんの小説「そして、バトンは渡された」では、たくさん食事のシーンが出てきていました。食をともにするシーンはどこの家族でもありそうなシーンがたくさん描かれていました。主人公の父親森宮が、連日、餃子をたくさん作って食卓に出されていた箇所がありました。それを読んだときに、私が子供のときに、母がタッパーいっぱいに20個くらいあずきやきなこや青のりの付いた大きなおはぎをいつもたくさん作ってくれていたことや、土曜日に学校から帰ると、食パン1斤で作ったボリュームのあるサンドイッチを二人で半分ごっこして食べていたことなど、ちょっと前のことはすぐ忘れるのに、子供のときのことはなぜかいつまでも覚えていることが多かったです。食事と家族の思い出は欠かせないものだということをこの小説では、教えてくれているように思いました。
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