仮にライフルであれば、多少の習熟だけで、スコープなしであっても100メートル程度は必中の距離であるという。移動目標とはいえ、現場は後方からターゲットが短時間だが見た目上固定される区間、まして銃弾のドロップを気にする必要のない撃ち下ろしであり、ターゲットまで約5~60メートルという距離は、狙撃としては容易な条件のはずである。
にもかかわらず、第一の狙撃位置からの発砲と推定される3発の銃弾は、いずれも大統領の頭部をミスしている。順序は不明なので、順不同で解説する。
一発は大統領を上方に逸れ、リムジンのフロントガラスの上枠をかすめて、橋脚の前にいる観衆テーグの足下の縁石に真っ直ぐ飛び、そこに浅い弾痕を残した。
先の図で示されていたとおり、この弾痕とリムジン上の大統領を結んだ弾道の射撃位置はダルテックスビルしかない。しかも途中で跳弾した形跡はない以上、発砲は下り坂の路面を延長した先にある、同ビルの2階からであったとしか考えようがない(詳しくは過去記事〔17〕を参照のこと)。
そしてもう一発は、シークレットサービスのべネットが証言し、検死に居合わせたFBIが様態を報告している、大統領の上背部の盲管銃創である。大統領の着衣もその状況を裏付けている。
致命傷となる可能性の低いこの部位を、狙撃手がわざわざ狙ったとは考えにくい。これもまた、目標の頭部を外した結果だと見るべきであろう。
※大統領の血染めの上着
最後に、リムジンの助手席側のウィンドシールドの上枠中央で停止した銃弾である。
この弾痕は、公式説による限りは本来存在するはずがない。オズワルドは一発目をミス、二発目は大統領と知事を貫通し知事の大腿に突入し、あとで病院のストレッチャーから発見された。そして三発目は大統領の頭部右上方を吹き飛ばしたことになっている。つまり該当する銃弾がないのである。
※当日のパークランド病院で撮影されたリムジン
仮に三発目の銃弾が、大統領の頭部を貫通してこの位置に当たったとすると、オズワルドの高所からの撃ち下ろしに対して水平やや上向きに、ここでも弾道は奇妙なかたちで角度を変えたことになる。
硬い頭蓋骨へのヒットとはいえ、弾体の形状から直進性の高いとされる同じカルカノ弾が、二人の人間の体を、知事の肋骨を砕いて貫通し、手首の骨をもさらに貫通し、真っ直ぐ大腿深くまで達するエネルギーを示しているにもかかわらずである。
しかも、大統領の頭部には銃弾の破片が複数残ったとされている。
一方、上の写真ではリムジンに残されたのはクリアな弾痕であり、頭部を出た銃弾の破片などでは説明がむずかしく、明らかに弾丸が原型のままヒットしたことを示している。
蛇足となるが、この写真一枚からして、オズワルド単独犯行説は否定されている。にもかかわらず、これまで全く注目されてきた様子がないのはどうしたわけか。
なお、この箇所の弾痕は、後日の委員会調査によれば次のようなものとなっている。
※委員会証拠物件第349号
さらに委員会証拠とされる別の写真によれば、リムジンのフロントガラスにひび割れと血痕まで残されている。
※委員会証拠物件第350号
大統領の遺体に変造を加えるほどの大胆な工作が行われたのなら、それに次ぐ最重要のエビデンスとなるリムジンに「後方からのオズワルドの射撃」に合わせた偽装がなされる程度のことは、むしろ当然あったと考えるべきだろう。「頭隠して尻隠さず」の例えのとおり、そうでなければあまりに間抜けというものだ。現に、教科書倉庫ビル6階で事件後にそうした偽装工作が行われていたことは、前の記事で見てきた。
闇深いこの事件では、通説をそこまで徹底して疑う必要がある。
だとすれば、これらの被弾の痕跡も偽装工作の可能性を否定できない。
公式説を信用する限り、車内に残されたカルカノ弾の破片は2つ。そして大統領は後方からのカルカノ弾により頭部を破壊され殺害されたことになっている。そしてフロントガラスとその枠に残された痕跡もまた2つ――後日検証されたリムジンの状況は、確かにオズワルドの射撃に合致するよう報告されている。そしてその真偽はいまや確かめようがない。
「誰にでも確認できる視覚的証拠を逆手にとって、公式説の虚構性を明らかにする」というのがここでの意図であることはすでに述べた。したがって、とりあえずこれらの証拠から読み取れる事実を見て行く。
しかしこの2枚のうち、明らかな円形の弾痕が写っている写真は、大統領搬入直後にパークランド病院で撮影されたものであり、偽装の可能性は皆無と言ってよい。
※上掲写真の弾痕部分の拡大(上)と全体(下)
この写真は委員会証拠物件としての登録が確認できない。
写真のウィンドシールド部分を拡大すると、クリアな円形の弾痕が残されているのがわかる。
また、トリム前の元の写真全体を見ると、特にこの弾痕を意識せず、到着直後の車列をリムジンを中心に撮影したものであることが推察される。搬入直後の混乱を示す緊迫感ある状況であり、まだ見物人は数少ない。早くも軍服姿の人間が駆けつけている。
リムジン偽装工作が仮に存在したとして、それがいかなるものだったかについては、あくまで推測することしかできない。しかし、とくにオズワルド単独犯行とする場合に重要となる、フロントガラス付近になされるだろうことは想像に難くない。
たしかにこれは推測だが、しかし少なくとも偽装の存在自体を強く推測させる写真が残されている。
※上掲写真の後で撮影された画像
時間が経過し、救患搬入口に停められたままのリムジン前には、病院の医療関係者らしい多くの人物が詰めかけ、騒然とした状況になりつつある。
注目すべきは前席の上部に、先の画像になかった可搬式のルーフが早速取り付けられていることである。リアのトランクに納められていたものが、あわてて取り出された様子までも写し取られている。
なお、車体脇に立て掛けて放置されているのは、後席を防護するためのキャノピーである。一緒にトランクに収納されていたのだろう。
この大統領狙撃という超重大事件に当たって、野次馬の好奇の視線を遮り、最重要の検証対象として真っ先に保全すべきは、頭部の破片や血糊にまみれた後部座席だったはずである。
しかし写真のとおり後列の座席は、わざわざキャノピーを取り出したにも関わらず、天日に放置されたままである。そこに死せる大統領の脳髄が生々しく飛散しているにも関わらず。そして、必然性のない座席前列にのみルーフが設置されている。
すべてが「オズワルドの後方からの射撃」に見せかけることを軸に事前に計画されたと見えるこの事件で、リムジンの偽装も当初からの計画どおりだったとすれば、後席ではなくフロントガラス近辺を視線から遮るこの措置は、確かに真っ先に必要であっただろう。
にもかかわらず、第一の狙撃位置からの発砲と推定される3発の銃弾は、いずれも大統領の頭部をミスしている。順序は不明なので、順不同で解説する。
一発は大統領を上方に逸れ、リムジンのフロントガラスの上枠をかすめて、橋脚の前にいる観衆テーグの足下の縁石に真っ直ぐ飛び、そこに浅い弾痕を残した。
先の図で示されていたとおり、この弾痕とリムジン上の大統領を結んだ弾道の射撃位置はダルテックスビルしかない。しかも途中で跳弾した形跡はない以上、発砲は下り坂の路面を延長した先にある、同ビルの2階からであったとしか考えようがない(詳しくは過去記事〔17〕を参照のこと)。
そしてもう一発は、シークレットサービスのべネットが証言し、検死に居合わせたFBIが様態を報告している、大統領の上背部の盲管銃創である。大統領の着衣もその状況を裏付けている。
致命傷となる可能性の低いこの部位を、狙撃手がわざわざ狙ったとは考えにくい。これもまた、目標の頭部を外した結果だと見るべきであろう。
※大統領の血染めの上着
最後に、リムジンの助手席側のウィンドシールドの上枠中央で停止した銃弾である。
この弾痕は、公式説による限りは本来存在するはずがない。オズワルドは一発目をミス、二発目は大統領と知事を貫通し知事の大腿に突入し、あとで病院のストレッチャーから発見された。そして三発目は大統領の頭部右上方を吹き飛ばしたことになっている。つまり該当する銃弾がないのである。
※当日のパークランド病院で撮影されたリムジン
仮に三発目の銃弾が、大統領の頭部を貫通してこの位置に当たったとすると、オズワルドの高所からの撃ち下ろしに対して水平やや上向きに、ここでも弾道は奇妙なかたちで角度を変えたことになる。
硬い頭蓋骨へのヒットとはいえ、弾体の形状から直進性の高いとされる同じカルカノ弾が、二人の人間の体を、知事の肋骨を砕いて貫通し、手首の骨をもさらに貫通し、真っ直ぐ大腿深くまで達するエネルギーを示しているにもかかわらずである。
しかも、大統領の頭部には銃弾の破片が複数残ったとされている。
一方、上の写真ではリムジンに残されたのはクリアな弾痕であり、頭部を出た銃弾の破片などでは説明がむずかしく、明らかに弾丸が原型のままヒットしたことを示している。
蛇足となるが、この写真一枚からして、オズワルド単独犯行説は否定されている。にもかかわらず、これまで全く注目されてきた様子がないのはどうしたわけか。
なお、この箇所の弾痕は、後日の委員会調査によれば次のようなものとなっている。
※委員会証拠物件第349号
さらに委員会証拠とされる別の写真によれば、リムジンのフロントガラスにひび割れと血痕まで残されている。
※委員会証拠物件第350号
大統領の遺体に変造を加えるほどの大胆な工作が行われたのなら、それに次ぐ最重要のエビデンスとなるリムジンに「後方からのオズワルドの射撃」に合わせた偽装がなされる程度のことは、むしろ当然あったと考えるべきだろう。「頭隠して尻隠さず」の例えのとおり、そうでなければあまりに間抜けというものだ。現に、教科書倉庫ビル6階で事件後にそうした偽装工作が行われていたことは、前の記事で見てきた。
闇深いこの事件では、通説をそこまで徹底して疑う必要がある。
だとすれば、これらの被弾の痕跡も偽装工作の可能性を否定できない。
公式説を信用する限り、車内に残されたカルカノ弾の破片は2つ。そして大統領は後方からのカルカノ弾により頭部を破壊され殺害されたことになっている。そしてフロントガラスとその枠に残された痕跡もまた2つ――後日検証されたリムジンの状況は、確かにオズワルドの射撃に合致するよう報告されている。そしてその真偽はいまや確かめようがない。
「誰にでも確認できる視覚的証拠を逆手にとって、公式説の虚構性を明らかにする」というのがここでの意図であることはすでに述べた。したがって、とりあえずこれらの証拠から読み取れる事実を見て行く。
しかしこの2枚のうち、明らかな円形の弾痕が写っている写真は、大統領搬入直後にパークランド病院で撮影されたものであり、偽装の可能性は皆無と言ってよい。
※上掲写真の弾痕部分の拡大(上)と全体(下)
この写真は委員会証拠物件としての登録が確認できない。
写真のウィンドシールド部分を拡大すると、クリアな円形の弾痕が残されているのがわかる。
また、トリム前の元の写真全体を見ると、特にこの弾痕を意識せず、到着直後の車列をリムジンを中心に撮影したものであることが推察される。搬入直後の混乱を示す緊迫感ある状況であり、まだ見物人は数少ない。早くも軍服姿の人間が駆けつけている。
リムジン偽装工作が仮に存在したとして、それがいかなるものだったかについては、あくまで推測することしかできない。しかし、とくにオズワルド単独犯行とする場合に重要となる、フロントガラス付近になされるだろうことは想像に難くない。
たしかにこれは推測だが、しかし少なくとも偽装の存在自体を強く推測させる写真が残されている。
※上掲写真の後で撮影された画像
時間が経過し、救患搬入口に停められたままのリムジン前には、病院の医療関係者らしい多くの人物が詰めかけ、騒然とした状況になりつつある。
注目すべきは前席の上部に、先の画像になかった可搬式のルーフが早速取り付けられていることである。リアのトランクに納められていたものが、あわてて取り出された様子までも写し取られている。
なお、車体脇に立て掛けて放置されているのは、後席を防護するためのキャノピーである。一緒にトランクに収納されていたのだろう。
この大統領狙撃という超重大事件に当たって、野次馬の好奇の視線を遮り、最重要の検証対象として真っ先に保全すべきは、頭部の破片や血糊にまみれた後部座席だったはずである。
しかし写真のとおり後列の座席は、わざわざキャノピーを取り出したにも関わらず、天日に放置されたままである。そこに死せる大統領の脳髄が生々しく飛散しているにも関わらず。そして、必然性のない座席前列にのみルーフが設置されている。
すべてが「オズワルドの後方からの射撃」に見せかけることを軸に事前に計画されたと見えるこの事件で、リムジンの偽装も当初からの計画どおりだったとすれば、後席ではなくフロントガラス近辺を視線から遮るこの措置は、確かに真っ先に必要であっただろう。
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