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JFK暗殺事件の真相――オズワルド単独犯行説の虚構を暴く 40 リンドン・B・ジョンソンの証言

2018-06-13 | JFK暗殺事件について
 ところで、いわゆる「銃声」である発射ガス音を抑えたとしても、音速の二倍超に達するライフル弾の発する衝撃波(ソニックブーム)は相当なものになると推測される。
 だとすれば、この写真のように隣り合った人物の一方がされを聴いて他方が認識しないという状況が実際に起こりうるか、疑問が生じる。

 それに対して、この事件では複数地点(最低4ヶ所、詳細は後述)に配置された狙撃手のうち、1ないし2箇所が使用する銃器にライフルを選択しなかったのだと考えれば、写真の状況は説明がつく。

 私たちは公式説で「オズワルドはカルカノ・ライフルを用いた」とのイメージが刷り込まれているため、「事件にはライフルが使われた」と連想しがちである。それは「JFK」をはじめ公式説を告発する映画すら、必ずといっていいほど暗殺にライフルが用いられたと描いていることにも現れている。


※映画「ダラスの暑い日」("Executive Action")
 この映画では、後方からの狙撃は教科書倉庫ビルの狙撃手(当然、オズワルドではない)のほか、ヒューストン通りを挟んだ斜め向かいのダラス郡記録局ビル屋上の狙撃手が担ったと描かれている。いずれも当然のようにライフルを使用している。
 この映画は、七十年代という文字どおり「暑い」時代を感じさせる作品として興味深い。この事件の神話化を企図したプロパガンダにすら見える映画「パークランド」などと比べれば、はるかに健全な批判精神がここにある。しかし暗殺の真相究明としては粗が目立ち、批判的なだけにかなり空想的な内容となっている感は否めない。


 しかし、後方からの狙撃が行われたのが教科書倉庫ビルであれダルテックスビルであれ、リムジンとの距離は狙撃としては短い5・60メートル程度に過ぎない。300メートル以上の射距離に対応しているライフル弾のエネルギーは、この距離では明らかに過剰である。

 この程度の距離であれば、パワーは格段に劣るが、拳銃弾程度の弾薬の選択も十分に有効だと考えられる。そうすれば超音速による衝撃波ははるかに低減される。
 さらにサブソニック(亜音速)弾を使用した可能性も考えられる。命中精度はさらに低下するものの、発射ガス音を抑制して室内から発砲すれば、車列や路上の人々に聞こえるのは、音速以下の小さな弾丸が発する風切り音・飛翔音だけとなる。市街地で懸念される「銃声」対策としては、これで万全である。


※拳銃弾を使用する銃の一例(ヘックラー&コッホMP5)

 孤独で非合理的な「虚構のオズワルド」と違って、組織的で計画ずくのこの事件の実行犯らが、そこまでの対策をとった可能性は高い。
 それが強く推測されるのは、ケネディが複数の銃撃を受けたカーブ間の短い直線区間、いわば本件の「キルゾーン」が、狙撃に最も有利でかつ発射位置の秘匿が容易な、ダルテックスビル2階からの発砲を第一とした設定であることにある。


※ダルテックスビルの位置
 ちょうどオズワルドがいたとされる教科書倉庫ビル南東角と微妙にダブる角度となることがわかる。ダルテックスビルとリムジンを結んだ直線上に、証拠採用された縁石の弾痕が存在することに注目。


 ここからの狙撃が成功し、かつ射撃位置が計画どおり隠蔽しおおせれば、すべてを教科書倉庫ビルの「囮」オズワルドに負わせても、今日のような疑惑を招くことはなかったに違いない。
 現場やターゲットの体内に残る弾種に矛盾が生じるが、そもそも現場は陰謀の主体の息のかかったダラス市警が押さえているし(その証拠に、オズワルドはきわめて都合よく市警庁舎内で殺害された)、「最善の証拠」たる大統領の遺体偽装工作は事前にスケジュール済みである(リフトン著参照)。何ら問題はない。

 かくして、すべてが「オズワルドが背後から狙撃した」できれいに片付く、この位置からの狙撃とその秘匿が当然に最重視されたことだろう。
 以降、このダルテックスビル2階を「第一の狙撃位置」とする。

 この第一の狙撃位置こそが作戦の要であって、以降の射撃はすべてそのバックアップとして用意されていたのだと見られる。
 なぜなら、それらの銃撃はいずれもオズワルドの犯行として偽装するには位置的に困難をきたすことが明らかであり、特に前方からの射撃にいたっては方向が文字どおり180度矛盾してしまうからだ。
 実際、オズワルド単独犯行が尽きせぬ疑惑を招くこととなってしまった原因は、まさにそこにある。

 首謀者の立場に立って合理的に考えるなら、前方の射撃位置、いわゆるグラッシーノール(草むらの高台)からの発砲が、当初から実行される手筈だったとは考え難い。それらはあくまで最終的な予備として用意されていたと見るべきである。
 第一の狙撃位置からの銃撃が不首尾だった場合には、連続するバックアップ射撃によって、暗殺の確実な遂行を最優先する。たとえ偽装に困難が生じようと、それによって生じる疑惑は力でねじ伏せればよい――そうして現に真相はねじ伏せられてきたわけだ。

 先述のとおり、政治的暗殺ではターゲットを無能力化できればとりあえずそれで足りる。少なくとも脳の挫創により判断能力を奪えば、最低線の目的は達成される。
 同時に、この事件は政治的意図があったこと自体を隠蔽することが必須であった。したがって、狙撃位置を偽装することで、何としてもオズワルド単独犯行に持ち込まねばならない(教科書倉庫ビル6階、いわゆる「スナイパーズ・ネスト」の露骨な偽装ぶりは過去記事でとりあげた)。
 そのためには、こと第一の狙撃位置に関しては、射撃位置を派手に暴露してしまうライフル弾の過剰なエネルギーは単に不要なばかりか、目的達成の阻害要因ですらある。

 さらに、たとえ体幹に首尾よく命中して瀕死の重傷を負わせようと、コナリー知事のように回復し政治的に復活することは絶対に避けなければならない。
 また仮にそうして命を奪ったとしても、死ぬまでの間にターゲットが「政治的遺言」を世間に残すような事態は、首謀者にとっての悪夢に他ならない。
 暗殺の政治的目的からして、実行犯たちが狙うべきは何を措いてもまず大統領の頭部である。

 実際的にも、後方から狙えるのはリムジンのヘッドレスト上に円形の的のように映る頭部か、それを支える首・肩しかない。被弾時のケネディのように、ターゲットが上体を背もたれに預ける姿勢をとっていた場合はなおさらである。
 目的を度外視しても、技術的に当然、頭部必中を期したはずなのである。


※リムジン後方からの様子 以前に紹介したウィリスの写真より。この一瞬後に大統領は最初の背中への銃弾を受ける。

 しかし、ケネディ銃撃で不可解なのは、このような近距離射撃であるにもかかわらず、第一の狙撃位置からの銃弾と思われる三発が、いずれも頭部をミスしていることである。
 詳しく状況を見ていこう。


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