さて、これまでの推理が正しいとしてみよう。その場合、任務の重大性からしておそらく最高の射手が選抜され、しかも相当有利な条件下での射撃として計画されたにもかかわらず、3発にわたり頭部をミスしているこの命中精度の低さは、一体どのように理解すればよいのか。
これもまた、限定的威力の実包の使用により弾道特性が低下したとすれば、理にかなった説明が可能となる。弾速が低くなれば、それだけ直進性は下がり、弾道は「おじぎ」をしやすくなるからだ。また、サウンドサプレッサーの使用も射撃精度に影響した可能性がある。
3発の弾着のブレが、主として上下方向に生じているのは(頭上に2発、首の下に1発)、そのことを示していると見られる。
銃撃における減音ないし消音措置の影響は、これらの不可解なミスだけでなく、写真におけるジョンソンらだけに見られる奇妙な反応を最も合理的に説明すると思われる。
これは単なる憶測ではなく、誰の目にも明らかな根拠がある。それは、この事件での複数の銃撃の間に見られる、顕著なパワーの差の存在である。
まず、大統領の頭部、そして知事の背部への二つの銃弾が、相当の威力を示していることは疑いない。
前者のヘッドショットは大統領の頭部を吹き飛ばすほど(映像でそう見えることの問題はまた別に扱う)派手なダメージを与えており、後者の銃弾は、コナリー知事の肋骨を砕き手首の骨をも貫いて大腿深くに突入しているからだ。
これらの射撃には、カルカノ小銃ないし同等のレベルのライフルが用いられていると見て間違いないだろう。
一方、大統領の「後方から上背部へ」及び「前方からの喉元へ」の二ヶ所の銃創は、胸部(前側)にも頚部(後ろ側)にも銃弾の出口が存在しない、非貫通の浅いものであった。
こらら二つの銃創は、ウォーレン報告の主張する「一発説」では貫通銃創の入口と出口だとされているが、それがありえないことは、数々の証拠から確実である(両者の位置関係、パークランドの医師たちの証言、そしてザプルーダー・フィルム224コマ目、等々)。
公式説ではないものとされているこれら二つのの射入口の存在を知って、おそらく誰もが違和感を抱くのが、ブレット・ホールの奇妙な「浅さ」であろう。
映画「JFK」では、検死に当たった軍医が孔に指を差し込み、指が途中までしか入らず怪訝な表情を浮かべる様子が描かれていた。実際、ライフルによる銃撃だった場合に、この「浅さ」はきわめて不可解となる。
体内に突入した銃弾が、途中で弾道を変え体内でストップすることは、可能性としては考えられるものの、現実には難しい。なぜなら、ライフル弾が大きいエネルギー=貫徹力を持っていることに加え、通常のものと比較してカルカノ弾の体内での直進性がとりわけ高いことは、科学的に確認されているからである。
カルカノ弾の貫徹力とその特性に関する科学的検証は、「COLD CASE FILE:JFK」という米国のテレビ番組を参照されたい(日本語版はこちら)。この番組は公式説どおりの「一発説」が科学的に再現可能である、したがって事実だと証明されたと主張している。
(繰り返すが、「再現可能である」と「現実である」とは別の次元の話である。奇妙な論理と言うほかない)
※カルカノ6.5mm弾(上)と、現代的なライフル弾(下)の弾体形状
なお上の委員会証拠物件399号は、オズワルドの第二の銃弾とされるものであり、二人の人体を貫通して弾体を保っていることも含めて「魔法の銃弾」として揶揄される。
その要点は「古いタイプのカルカノ弾はラウンドノーズで底部まで同じ直径の弾体形状をしており、現代の一般的なライフル弾に比して長い円筒形であることから、人体突入後の直進性が高い。したがって二人を真っ直ぐ貫通する一発説は成立しうる」というものであった。
しかし「一発説」が貫通力以前の問題として成立不可能であることは、上記のとおりすでに立証済みである。
要するに、銃弾が体内でストップしたというのは、「近距離から放たれた直進性の高いライフル弾が、にもかかわらず貫通しなかった」ことの説明としては、「確率はゼロではない」というレベルの話でしかない。
しかもそれが二発続いているのだから、確率はゼロだと断言してよかろう。この事件における、ゼロに限りなく近い確率の出来事が連続する「奇跡」については、オズワルドの「虚構射撃」で散々見てきたとおりである。
これがコナリー知事を瀕死の重傷に陥れ、ケネディの頭蓋骨を破壊したのと同じパワーの弾種だったとは、到底信じることができない。
このうち頚部の被弾が頸骨を損傷させなかったことは、公式の検死で明らかにされている。喉仏の下に触れれば誰でもわかるように、この部位は背部までが体幹で最も薄く、頸椎を外した場合には柔らかい筋肉等があるだけである。前方から入ったライフル弾が貫通しないことはまずあり得ない。
現に、銃創を日常的に扱っているパークランド病院の医師たちは、ケネディの喉元に小さく開いた銃弾の入口を見て、それに対応した出口が見つからなかったことを不審とし、ためらいがちながら、記者会見の場で「後頭部の大穴が出口の可能性もある」との推測を述べたほどであった(過去記事参照)。
彼らが、いかに奇妙な位置関係であっても、喉元の射入口には対応する出口が存在するのが当然だと日常的経験から考えたのは、想像に難くない。
このように、ライフル以外の銃器を用い、減音ないし消音措置が考慮された銃撃は、後方の第一の狙撃位置だけでなく、前方からもあったのだと見られる。
すなわち、喉元にヒットした限定的なパワーの銃弾と、頭部に派手にヒットしたハイパワーの銃弾。いわゆる「グラッシーノール」には、明らかに二人の狙撃手が潜んでいたのだ。
実際、映像を撮影したザプルーダーをはじめノール周辺に位置していた人物たちが、口を揃えて後者の「背後からの一発」の銃声のみを証言していることも、この推測を裏付けている。
さらに、第一の狙撃位置からリムジンのフロントガラスの枠を越えた銃弾は、観衆・テーグの足下の縁石に弾痕を残しているが、それは次のようにごく浅い痕跡であった。
※縁石の弾痕
このわずかな痕跡が、果たして100メートル程度の近距離からのライフル弾による弾痕なのか。また、これによる破片が実際に観衆を傷つけることができるのか。一見して疑問が生じるほどこの痕跡は小さい。
6.5mmカルカノ弾程度の小口径の銃弾でも、100m程度の距離で着弾した場合には強い衝撃が発生する。コンクリートブロックに当たった場合にどうなるかは容易に推測される。
※弾丸の超スローモーション動画(リンク)
冒頭部分、スチールの板を貫徹または抉る銃弾のパワーが視覚的に理解できる。
にもかかわらず、当時確認され、今なお目にすることができるのは、このようなかすかな、「弾痕」というのも頼りないものにすぎない。一方で、この「破片により傷ついた観衆」という動かしがたい裏付けを伴っており、偽装ではなく実際の弾痕であったことは疑いない。
これを説明するには、やはり限定的なパワーの銃弾によるとするほかにない。
さらに、前掲写真におけるリムジン前方のウィンドシールドの枠に残された弾痕も、浅いへこみだけで、クロームメッキの薄い部材を貫通していない。遠方からレンガをも貫通するというライフル弾のパワーからすれば、この程度の破損では済むものではない(ただし、これについてはリムジンに後日の偽装・証拠捏造がなかったとしての話であるが)。
ここでも、銃弾のパワーは限定的だったと見られる。
これらを考え合わせれば、後方の第一の狙撃位置からの少なくとも3発、そして前方のグラッシーノールからの1発の銃弾が拳銃弾程度の威力だったことは、ほぼ確実と思われる。それらが減音のための弱装弾だった可能性は高い。
また、第一の狙撃位置に関して言えば、このように短時間に、ミスしたとはいえ曲がりなりにも照準しながら、最低3発放っているその射撃間隔からして、用いられたのはオズワルドの手動銃と異なる自動火器だったと見られる。
以下、これらのことを前提にして、写真に収められたジョンソンらの「奇妙な反応」について、さらに推理を進めたい。
これもまた、限定的威力の実包の使用により弾道特性が低下したとすれば、理にかなった説明が可能となる。弾速が低くなれば、それだけ直進性は下がり、弾道は「おじぎ」をしやすくなるからだ。また、サウンドサプレッサーの使用も射撃精度に影響した可能性がある。
3発の弾着のブレが、主として上下方向に生じているのは(頭上に2発、首の下に1発)、そのことを示していると見られる。
銃撃における減音ないし消音措置の影響は、これらの不可解なミスだけでなく、写真におけるジョンソンらだけに見られる奇妙な反応を最も合理的に説明すると思われる。
これは単なる憶測ではなく、誰の目にも明らかな根拠がある。それは、この事件での複数の銃撃の間に見られる、顕著なパワーの差の存在である。
まず、大統領の頭部、そして知事の背部への二つの銃弾が、相当の威力を示していることは疑いない。
前者のヘッドショットは大統領の頭部を吹き飛ばすほど(映像でそう見えることの問題はまた別に扱う)派手なダメージを与えており、後者の銃弾は、コナリー知事の肋骨を砕き手首の骨をも貫いて大腿深くに突入しているからだ。
これらの射撃には、カルカノ小銃ないし同等のレベルのライフルが用いられていると見て間違いないだろう。
一方、大統領の「後方から上背部へ」及び「前方からの喉元へ」の二ヶ所の銃創は、胸部(前側)にも頚部(後ろ側)にも銃弾の出口が存在しない、非貫通の浅いものであった。
こらら二つの銃創は、ウォーレン報告の主張する「一発説」では貫通銃創の入口と出口だとされているが、それがありえないことは、数々の証拠から確実である(両者の位置関係、パークランドの医師たちの証言、そしてザプルーダー・フィルム224コマ目、等々)。
公式説ではないものとされているこれら二つのの射入口の存在を知って、おそらく誰もが違和感を抱くのが、ブレット・ホールの奇妙な「浅さ」であろう。
映画「JFK」では、検死に当たった軍医が孔に指を差し込み、指が途中までしか入らず怪訝な表情を浮かべる様子が描かれていた。実際、ライフルによる銃撃だった場合に、この「浅さ」はきわめて不可解となる。
体内に突入した銃弾が、途中で弾道を変え体内でストップすることは、可能性としては考えられるものの、現実には難しい。なぜなら、ライフル弾が大きいエネルギー=貫徹力を持っていることに加え、通常のものと比較してカルカノ弾の体内での直進性がとりわけ高いことは、科学的に確認されているからである。
カルカノ弾の貫徹力とその特性に関する科学的検証は、「COLD CASE FILE:JFK」という米国のテレビ番組を参照されたい(日本語版はこちら)。この番組は公式説どおりの「一発説」が科学的に再現可能である、したがって事実だと証明されたと主張している。
(繰り返すが、「再現可能である」と「現実である」とは別の次元の話である。奇妙な論理と言うほかない)
※カルカノ6.5mm弾(上)と、現代的なライフル弾(下)の弾体形状
なお上の委員会証拠物件399号は、オズワルドの第二の銃弾とされるものであり、二人の人体を貫通して弾体を保っていることも含めて「魔法の銃弾」として揶揄される。
その要点は「古いタイプのカルカノ弾はラウンドノーズで底部まで同じ直径の弾体形状をしており、現代の一般的なライフル弾に比して長い円筒形であることから、人体突入後の直進性が高い。したがって二人を真っ直ぐ貫通する一発説は成立しうる」というものであった。
しかし「一発説」が貫通力以前の問題として成立不可能であることは、上記のとおりすでに立証済みである。
要するに、銃弾が体内でストップしたというのは、「近距離から放たれた直進性の高いライフル弾が、にもかかわらず貫通しなかった」ことの説明としては、「確率はゼロではない」というレベルの話でしかない。
しかもそれが二発続いているのだから、確率はゼロだと断言してよかろう。この事件における、ゼロに限りなく近い確率の出来事が連続する「奇跡」については、オズワルドの「虚構射撃」で散々見てきたとおりである。
これがコナリー知事を瀕死の重傷に陥れ、ケネディの頭蓋骨を破壊したのと同じパワーの弾種だったとは、到底信じることができない。
このうち頚部の被弾が頸骨を損傷させなかったことは、公式の検死で明らかにされている。喉仏の下に触れれば誰でもわかるように、この部位は背部までが体幹で最も薄く、頸椎を外した場合には柔らかい筋肉等があるだけである。前方から入ったライフル弾が貫通しないことはまずあり得ない。
現に、銃創を日常的に扱っているパークランド病院の医師たちは、ケネディの喉元に小さく開いた銃弾の入口を見て、それに対応した出口が見つからなかったことを不審とし、ためらいがちながら、記者会見の場で「後頭部の大穴が出口の可能性もある」との推測を述べたほどであった(過去記事参照)。
彼らが、いかに奇妙な位置関係であっても、喉元の射入口には対応する出口が存在するのが当然だと日常的経験から考えたのは、想像に難くない。
このように、ライフル以外の銃器を用い、減音ないし消音措置が考慮された銃撃は、後方の第一の狙撃位置だけでなく、前方からもあったのだと見られる。
すなわち、喉元にヒットした限定的なパワーの銃弾と、頭部に派手にヒットしたハイパワーの銃弾。いわゆる「グラッシーノール」には、明らかに二人の狙撃手が潜んでいたのだ。
実際、映像を撮影したザプルーダーをはじめノール周辺に位置していた人物たちが、口を揃えて後者の「背後からの一発」の銃声のみを証言していることも、この推測を裏付けている。
さらに、第一の狙撃位置からリムジンのフロントガラスの枠を越えた銃弾は、観衆・テーグの足下の縁石に弾痕を残しているが、それは次のようにごく浅い痕跡であった。
※縁石の弾痕
このわずかな痕跡が、果たして100メートル程度の近距離からのライフル弾による弾痕なのか。また、これによる破片が実際に観衆を傷つけることができるのか。一見して疑問が生じるほどこの痕跡は小さい。
6.5mmカルカノ弾程度の小口径の銃弾でも、100m程度の距離で着弾した場合には強い衝撃が発生する。コンクリートブロックに当たった場合にどうなるかは容易に推測される。
※弾丸の超スローモーション動画(リンク)
冒頭部分、スチールの板を貫徹または抉る銃弾のパワーが視覚的に理解できる。
にもかかわらず、当時確認され、今なお目にすることができるのは、このようなかすかな、「弾痕」というのも頼りないものにすぎない。一方で、この「破片により傷ついた観衆」という動かしがたい裏付けを伴っており、偽装ではなく実際の弾痕であったことは疑いない。
これを説明するには、やはり限定的なパワーの銃弾によるとするほかにない。
さらに、前掲写真におけるリムジン前方のウィンドシールドの枠に残された弾痕も、浅いへこみだけで、クロームメッキの薄い部材を貫通していない。遠方からレンガをも貫通するというライフル弾のパワーからすれば、この程度の破損では済むものではない(ただし、これについてはリムジンに後日の偽装・証拠捏造がなかったとしての話であるが)。
ここでも、銃弾のパワーは限定的だったと見られる。
これらを考え合わせれば、後方の第一の狙撃位置からの少なくとも3発、そして前方のグラッシーノールからの1発の銃弾が拳銃弾程度の威力だったことは、ほぼ確実と思われる。それらが減音のための弱装弾だった可能性は高い。
また、第一の狙撃位置に関して言えば、このように短時間に、ミスしたとはいえ曲がりなりにも照準しながら、最低3発放っているその射撃間隔からして、用いられたのはオズワルドの手動銃と異なる自動火器だったと見られる。
以下、これらのことを前提にして、写真に収められたジョンソンらの「奇妙な反応」について、さらに推理を進めたい。
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