〈私〉はどこにいるか?

私たちは宇宙にいる――それこそがほんとうの「リアル」のはずである。この世界には意味も秩序も希望もあるのだ。

スウェーデンボルグ『天界と地獄』

2006-06-27 | Weblog
じめじめと蒸し暑いですね。
しかもこのあとおそらく近年の温暖化による長い酷暑の夏が待っていると思うと、
若干気が滅入るというものです。
どうでもいいのですが、冬が好きです。シベリアとかスウェーデン並みの寒さでいいので、はやく冬が来ないかなと思います。

スウェーデンといえば、環境問題からは外れるのですが、以前買ってあったスウェーデンボルグ(スウェーデンボリ)という18世紀の人の『天界と地獄』(邦訳、春秋社)という本を、そういえばと思い引っぱり出してちょっと読んでみました。

というのは、“ウィキペディア”でスウェーデンの歴史を検索していたら、スウェーデンの歴史上の偉人に、ストリンドベリとかリンネ等と並んで、この人の名前が出ていたからです。

たしかに偉人というにふさわしく、きわめてまっとうで先進的・著名な、科学者・哲学者・官僚にして国会(貴族院)に終身の議席をもっていた政治家だったらしく、いわば「時代の人」だったようです。
日本でこれに相当する大型の人物といえば、やはり聖徳太子か空海さんあたりでしょうか? すくなくとも近代にはいませんね。

で、『天界と地獄』なのですが、表題通りの内容で、彼自身が霊視し経験した「あの世」の報告です。原著はもっと詳細極まるものであるとのこと。
これは悪くするとオカルトそのもので、これをどう評価していいのか、何とも言いかねます。

かといって、スウェーデンボルグは現実離れして隠遁してこういう本を書いたのではないようです。
普通の社会生活、どころか「国会には定期的に出席し、さまざまな政治・経済上の問題を扱う建白書をしばしば提出」、国王を友人に持っていた、というような影響力のある人物だったようです。
その落差というか、距離が、ふつうにはちょっと理解しかねるものがあります。

また、訳者によれば、その内容は近年のとりわけE・キューブラー=ロスらによる臨死体験研究の成果とも(その導入部分に関しては)一致するようです。
さらに彼の本はバルザックやストリンドベリ、ボルヘス、ヘレン・ケラーといった著名人、そして同時代のかのカントらにも、深甚な影響を与えたとのことです。

なお我が国でのこの本のはじめての翻訳は、明治43年、鈴木大拙による、とのこと。ううむ、こちらも、興味深いですね。

しかし「積ん読」でいいから、本というのは買っておくものだなと思いました。


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5 コメント

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Unknown (ぐんそう)
2006-07-09 01:44:10
ぶっち君、どうもこんばんは。

いや、自分もまったく知りませんでした。

そうそう、ここでなんで大拙先生なのか、よくわからないんだけど。

一級の禅マスターも、その内容を認めているということなのかな?

それにしても霊界、あの世の話…

正直、わかりませんです。はい。
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Unknown (ぐんそう)
2006-07-09 01:44:10
ぶっち君、どうもこんばんは。

いや、自分もまったく知りませんでした。

そうそう、ここでなんで大拙先生なのか、よくわからないんだけど。

一級の禅マスターも、その内容を認めているということなのかな?

それにしても霊界、あの世の話…

正直、わかりませんです。はい。
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へ~知らなかった (ぶっち)
2006-07-08 01:00:34
軍曹さん、こんばんわ。



知らなかったです。

なんだか、すごいところで話がつながってきますね。

暇が、あったら入手して、とりあえず積読しておこうと思います。



スウェーデンと鈴木大拙ってのは、

ちょっとおもしろいですね。

返信する
Unknown (M1974)
2006-07-06 02:43:14
りょうさん



どうもこんばん。コメントありがとうございます。貴ブログ、楽しみに拝読しております!

とてもお忙しいようですね。



私も主体的に動かねば、と思うのですが、現状まだまだであります。

ということはまだまだがんばれる~、ということで。



さて、たしかにぼくらの子どものころ、流行りましたよね~、そういうの。

なにより、『恐怖の心霊写真集』が、ほんとうに恐怖でした。だからこそ怖いもの見たさで興味津々でしたが。肩のところにヘンな顔、とかヘンなところから腕が、とか、こわかった~

いつの間にか、ぜんぜん怖くなくなってしまったのは、つまらん大人になってしまったということか…



それはそうと、すでに中学生のころによんでおられたのですね!

読んだ限りですが、たしかにスウェーデンボルグという人は、ひじょうにまっとうな、正統的な大人物、という印象です。

なので、それがなぜ「天界と地獄」なのか、わからないです。

ともかく彼はそういう世界を、体験にもとづいて確信を持って書いているのは確かです。



しかしそういう世界=あの世への入口の説明は、信頼できる臨死体験の報告とも一致しているとのこと。

そういうことを語るとあやしくなってしまうのであまり人には言わない方がいいとしても、体験としては「死」というものが安楽でありうるという根拠のある可能性は、現世を生きているぼくらにとっても、大いに意味のあることだと思います。



なお、カントは彼を題材にした『霊視者の夢』という本を書いているそうです(内容は知らないので“知ったかぶり”ですね)。



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こんばんは。 (りょう)
2006-07-04 20:03:21
なんだか久しぶりに投稿します。

こないだのシンポジウムの話し合いは勉強になりましたね。とても刺激的でした。って感心してる場合じゃなくて主体的に動かなければと思うのですが。。。現状なかなか。



さて、スウェーデンボルグ、中学生の頃読んだ覚えがあります。あの頃、超常現象なんかがやたら流行ったじゃないですか。その延長で丹波哲郎なんかをはじめとする死後の世界ブーム。



ともするとスウェーデンボルグも、そうしたキワモノ系としてひと括りにされがちですけど、実は各方面に影響力のある極めて能力の高い人だったんですね。



私もカントが影響を受けていたと聞いて意外でした。



霊視の信憑性はともかく、なんだか面白そうですね。



読んでみようと思います。
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