宇ち中
宇ち多゛中毒のページ




2007/08/29
夏休みの1週間。特に遠出をする予定も立てず、どうしたものかと考えていると、手元には先日Kさんご夫妻、ひよっこSさんと行った東海道線青春18きっぷの旅で活用した青春18きっぷの残りが。ちょうどぽっかりと予定のない水曜日のこの日、この1枚を使ってどこか遠くへ行こうということにしました。宇都宮へ餃子を食べに行こうか、甲府方面へ行こうかなどと思いを巡らせますが、結局、かねてから懸案だった名古屋の大甚本店を目指すことにします。鈍行だけで乗り継ぎが調べられる「スパなび」で時刻表をチェックし、9:08渋谷発の湘南新宿ライナーへ乗り込みます。

ところがこの湘南新宿ライナー、横浜駅の手前で踏切の非常ボタンが押されたということで、安全確認のためしばらく停車してしまい、予定していた9:41横浜発の快速アクティーを逃してしまうことに。



結局9:47発の伊東行きになってしまいました。11:14に熱海で島田行きに乗り、13:12発の浜松行き電車を島田で待つあいだに土砂降りの雨が降り、それでも浜松に着く頃には雨も止みました。浜松までの電車は全てベンチシートなので、さすがにビールを呑む訳にいかずおとなしくしていますが、14:08発の豊橋行きの電車は進行方向へ向かって座る2人シート。急いでビールを買い込んで席を確保します。



浜名湖を眺めながらビールをぐびり。そして14:55に豊橋から大垣行き快速に乗り込み、名古屋へは定刻の15:42に到着。急ぎ足で地下鉄東山線に乗り込みます。



懐かしい東山線。これに乗るのは何年ぶりでしょうか。懐かしい想いに浸る間もなく一駅となりの伏見で下車。はまださん店情報にあった「7番出口」を目指し、早足で階段を駆け上がるとそこにありました。大甚本店。



本当は早めに到着して、どえりゃあ亭で1杯ひっかけようかと思っていたのですが、湘南新宿ライナーが遅れたためかなわず。それでもある意味、リスクヘッジのためのいいバッファだったのでしょう。口開け5分前に着くことができました。しげしげとお店の佇まいを眺めつつ、開店するのを待ちます。そして常連さんが2人ほどお店の中へ入って行かれるのにつづいて、ボクもお店の中へ。入り口に一番近い席に着席します。



おお、これが燗つけ台ですね。社長さん(このあとそう呼ばれているのを聞いて分かりました)が割り箸を机に置いてくれる時に、「こんな入り口近くの席でいいの?奥も空いてますよ」と声をかけられますが、いえいえここでいいですと返します。正面に燗つけの様子、右を向けばお店全体の様子が見渡せる位置なので、いい感じなのです。(でも後で気づいたのですが、もしかしたらここが常連席だったのかもしれません。)

そして、社長さんから「お酒ですか」と聞かれ「はい」と応えつつ、おかずの並んでいる台に行きます。



ガラスケースの上にずらっと並ぶ美味しそうなおかずたち。少々迷いつつ、このなかからサバ酢を選んで席に戻るとお酒も来てました。



こちらではお酒といえば賀茂鶴の樽酒の燗。しかもデフォルトは2合徳利なんですね。感激しつつ、徳利からお酒をとくとくと。きゅーっと一口いただくと、樽の香りと強い日本酒の香りがふわーっと口の中に広がります。まさに至福のひととき。サバ酢も、花びらを描くように綺麗に盛りつけられています。酢の締め具合も絶妙。そして目を上げるとそこには、升酒と燗つけを待つ2合徳利の列が。



女将さんが、注文に合わせて徳利の温度を利きつつ仕事をされてます。そしてボクの隣に座られた常連さんとお話をしてます。女将さん、とても素敵な名古屋弁です。柔らかい感じで、聞いているだけで気持ちがいいですね。



そして、シャネルの眼鏡がトレードマークの社長さんともいい感じの掛け合いが聞こえます。もう一つおかずをいただきに、おかずケースを見に腰を上げ、その中からいかにも美味しそうなおからをいただきます。



このおからがまた熱燗にぴったりの味なんですね。おからで燗酒を堪能しているボクの横を、2階へ上がられる常連さん達も結構いらっしゃいます。2階がお好みな方もいらっしゃるのですね。店員さんが注文を受けたおかずを1階から2階へ忙しそうに運んでいきます。しかしこのお酒、絶賛されている太田和彦さんや、ワイタベさんの感想も先入観としてあるものの、たまらない美味しさです。



大きな樽から、女将さんが徳利に一つ一つ移していきます。樽酒って本当に美味しいなあと思いつつ、もう一つお酒をいただくことにします。もっぱら常連さんと会話されていらっしゃる女将さん。とても上品な名古屋弁で、うっとりしながら聞き入ってしまいますが、そんな女将さんとも少し会話することができました。学生の頃ボクが名古屋に住んでいたことをいうと、いきなり「M大?」と。どうも昔アルバイトをしていらっしゃった方が、ボクの先輩だったようです。その先輩、「バイト代はいらないから呑ませてくれと言ってきてねえ」と女将さん。懐かしそうにお話しされます。その頃ボクもこんな素敵なお店を知っていたら、同じことを言っていただろうなあ、なんて思っちゃいました。



そしてさらに、うなぎの肝をいただきました。これも名古屋らしい濃い味付けで、日本酒にぴったり合う味ですね。そして17:00を過ぎてお店も満席に近くなってきました。途中、女性1人がいらっしゃって「5人で1階に入れますか」と。女将さんが「ちょっとまってね」と奥の様子を確認して戻ってきますが、そのお客さんが女性だけと見るやいなや「2階へどうぞ」と。



その後2階から、結構賑やかな女性グループの声が。なるほど。女将さんのフロアマネジメントの凄さを感じちゃいましたね。感心しつつ日本酒をゆるりといただきます。そしてそろそろ2本目の徳利も空いちゃいました。時刻は17:20頃。それではごちそうさま、とお会計を願いします。1時間20分ほどの滞在で2,000円ちょっと。至福のひとときでした。



念願の大甚本店。ようやく来ることができました。しばらくお店の佇まいを確認しつつ、周辺のビルの間から見える青空も眺めます。気持ちいい酔い心地。そして地下鉄で名古屋駅まで戻り、大名古屋ビルヂングとその向かいに新しく建った高層ビルを眺めたあと、18:10豊橋行き快速電車に乗り込みます。帰りの道中は大甚での感激を噛みしめつつ、電車の乗り継ぎは順調に予定通り。



途中熱海で乗り換えの時には雨が降ってました。熱海での乗り換えでビールを買い込もうと思ったものの、売店はクローズ。自販機のお水を飲みつつ、残りの東海道線。そして品川で山手線に乗り換え、渋谷へは予定通り23:53に到着しました。



問題なく渋谷駅改札を通過。暇はあるけど金は無し。余った青春18きっぷを活用しつつ、大満足の大甚本店初訪を果たしたのでした。

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