愛媛の伝承文化

大本敬久。民俗学・日本文化論。災害史・災害伝承。地域と文化、人間と社会。愛媛、四国を出発点に考えています。

タンポポ 語源の謎

2009年04月23日 | 口頭伝承
タンポポという日本語はとても不思議だ。「popo」と発音するのは、汽車ポッポか去年流行した鼠先輩の歌くらいなもので、これが昔から使われていたというのも面白い。日葡辞書にも「Tanpopo」とあるし、文明本節用集にも「蒲公草 タンホホ」とあるので、少なくとも室町時代には「タンポポ」と呼んでいたことは間違いない。この語源は、タンポポを別名「鼓草」ということから、鼓の音を擬したとされる。柳田國男もそのように説明している。各地の方言を見てみると、静岡ではタタンポコ、タンタンボ、東海から近畿地方にかけてはタンポコ、大分ではタンポッポ、また、岐阜・愛知ではチャンポコなどがある(日本国語大辞典参照)。確かにいずれも鼓の音を擬したような方言ばかりである。江戸時代の和漢三才図会には「蒲公英 和名不知奈、一云太奈、俗云太牟保々」とある。「太奈(タナ)」は「田菜」のことで、それに鼓の音の「ポポ」が付いたのではないか。いくらなんでも「タン」も「ポポ」も両方、鼓の音から来ているとは考えにくい。タナ(田菜)がベースにあって、タンポポへの派生していったのではないか。そのように考えてはいるのだが、いまいち自分の中でも納得ができない。あくまで主観ではあるが、「popo」と日本語の不調和を感じずにはいられない。幼児語でもないし、全国各地の方言でも共通性が見られる「タンポポ」。この語源には、強い影響力を持つ文化的背景があるように思う。たとえば、タンポポは漢語もしくは仏教用語のような外来語であるとか・・・。この語源は詳しく調べたことがないので主観めいていることを書いてみたが、この時期、家の近くに生えているタンポポ見るたびに気になって仕方がない。