僕の感性

詩、映画、古書、薀蓄などを感性の赴くまま紹介します。

あの日、僕らの命はトイレットペーパーよりも軽かった

2008-07-09 00:44:30 | Weblog
あの日、僕らの命はトイレットペーパーよりも軽かった
ーカウラ捕虜収容所からの大脱走ー
この作品の不条理な「戦闘訓」に翻弄された戦時中の悲しい現実にうちのめされてしまいました。
「生きて虜囚の辱めを受けず、死して罪禍の汚名を残すこと勿れ」
捕虜になることが不名誉で、生きて日本に帰ることが屈辱で村八分の憂き目に晒されるとは、愚の骨頂ともいえる教えではありませんか。
 ジローさんは最後まで生きて帰らんとし、仲間の憲一を助けようとして、自ら銃弾に倒れました。国に残した奥様との約束(生きて帰ること)を精一杯守ろうと必死でした。
 憲一は日本に帰り、46年後に嘉納二郎伍長の奥さんに手紙を渡しました。
「46年ぶりのラブレターなんて、胸がどきどきするわ」
こういって一人手紙を読む彼女の頬に一筋の涙が流れ、むせび泣く彼女の痛みに胸が熱くなってしまいました。

 歴史の教科書に載らなかった「カウラ事件」。徐々に引き込まれてしまいました。