僕の感性

詩、映画、古書、薀蓄などを感性の赴くまま紹介します。

ホームレス中学生

2007-12-09 15:00:20 | 読書
 今、とても話題になっている「ホームレス中学生」を読みました。9月20日に発行されているので、もう麒麟の田村裕の境遇は、ほとんどの日本国民に知れ渡っている事と思います。
 中学生のとき家を差し押さえられ、気丈にも他の兄弟に気兼ねして、1人で公園生活をはじめるなんて・・・  普通では考えられない事が現実に起こるものなのだなあというのが、最初の印象でした。
 約1ヶ月もの間ホームレス生活を送り、ダンボールを水に濡らして食べたり、青臭い雑草も、おなかを満たすため仕方なく食べていました。
 その後、幸いな事に、友人の家にお世話になり、多くの人のご好意で兄弟全員一つ屋根の下で暮らせるようになりました。私自身も本当に安堵できました。また彼の周囲には多くの心優しい人たちが関わっていることにうれしさを覚えました。
 空腹感に耐えられず、コンビニに入りパン売り場の前にしゃがみこんだシーンでは、パンを盗むという罪悪と理性との葛藤の中で彼は戦い悩みました。しかし亡くなったお母さんの顔が浮かび、犯罪に手を染めることもなく、事なきを得ました。
 家が差し押さえられ、お父さんに「解散!」と高々に宣言され、やむなく公園で暮らし始める・・・そして徐々に生活は好転していく、そんな彼はきっと、困っている人をほっとけない暖かいスーパーヒーローになれるだろうと思っています。同時に今の仕事を通じ、人々に安らぎと笑いを供給できる、決して偉ぶったり自慢したりせず、弱者の痛み、苦しみのわかる人になるだろうと確信しています。
 いい本でした。


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