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僕の感性

詩、映画、古書、薀蓄などを感性の赴くまま紹介します。

さだまさしの後悔

2008-06-27 13:47:19 | 思い出
さだまさしのおばあちゃんの思い出




いまだに苦い思い出として残っているのは、小学一年生のときの僕の誕生会。

僕を一番可愛がっていた祖母から「マー坊の一番好きなものをプレゼントするよ」と言われていて、これはすごい物をもらえるぞと期待していた。

そしたら色とりどりのご馳走が並んでいるテーブルの上に、山盛りのおにぎりがあった。でもそのおにぎりは、その場の雰囲気にまったくそぐわないんだな。



おばあさんのおにぎりは、さださんの大好物で、お腹がすくと 「おばあちゃん、おにぎり、おにぎり」とせがんでいたのです。

さださんのおばあさんはいつものおにぎりを作って、豪勢な料理の並ぶ中に置きました。

小学一年生の子供が、おばあさんの胸のうちを理解できるわけもなく、彼はおにぎりに手もつけず友達と遊びに出て行ってしまいました。豪勢な料理の皿は平らげられ、手付かずのおにぎりの山だけが残りました。


なんとなく子供心にも気にかかりながら家に帰ると、祖母が薄暗い土間の食堂でそのおにぎりを崩しながらお茶漬けにして食べているんですよ。

それを見た途端、「今から食べるけん」とかなんとか言ったんだけど、「そんなに気をつかわんでもいいから」って、祖母は厭味一つ言わなかった。

僕は子供心にも、自分がいかに祖母に酷なことをしたんだろうと思って、泣きながら二つばかりムシャムシャ食った記憶が今も鮮明に残ってるんです。

「精霊流し」(幻冬舎文庫) 解説から


さだまさしの幼い頃の胸にチクリとくる思い出です。喜ぶ孫の顔を見たくて一身におにぎりを握る。そんな優しさに答えられなかった自分にすごく腹が立って忘れられないのでしょう。









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4 コメント

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お手製 (少年H)
2008-06-27 20:14:53
成人式を迎えた年、自分は浪人生でした。それも二浪目で1月15日は受験直前。浮かれてなどいられなかったのでありました。それでも10数年ぶりの同窓会があるということで、気乗りのしないまま参加届けを出しました。参加の皆さんは、振袖、スーツであろうことは容易に想像できたのですが、浪人生としてはスーツにお金をかけるなんて、こりゃあ出来ないもんです。普段着で行くことに決めていたのですが、母はきっとそれを不憫と思ったのでしょう。お手製のコートを作ってくれていたのです。決して流行の型ではなく、別にいいのに、なんて思いながらも着て行くことにしました。その日、コートをどのように脱いだのかはまったく記憶にありません。先日、それ以来一度も袖を通したことのなかったコートを思い出して、母に尋ねたところ、あれからすぐに、ちっとも着ないからほぐしてしまった。いい生地だったから何かに仕立て直したとのことでした。つくずく、もっと喜んで着ればよかったと、今さら後悔をしております。
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少年Hさんへ (僕の感性)
2008-06-28 00:11:59
コメント有難うございます。
Hさんのお母さんは傷ついていないと思いますよ。
一度だけでも同窓会に着ていったのだから。
それにコートを通して、母を案ずる優しい息子と映ったのではないでしょうか。
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お振袖 (夏記)
2016-03-19 09:15:39
私は、成人式に、お振袖を着ました。母の大事な着物でしたが、私には、新しい物を贈ってくれるつもりだったので、
体調を悪くしたのが申し訳なかったです。ただ、そのお金で、外国に行けたのが嬉しかったですね。私の1番好きな
スペインにも行けました。また、行きたいですが、薬があるので、いつになることやら。カウンセリングを受け始めました。私の心の闇に、カウンセラーがつぶれてしまわないか、心配です。
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夏記さんへ (僕の感性)
2016-03-19 17:39:42
優しいお母さまで心がほっとします。

あなたもお母さまを気遣える素晴らしい方です。

なんにも無理をしないで
気長に治してくださいね。

きっとあなたの周りにもたくさんの
味方がいるはずですから。
安心して、母の胸に抱かれるように
ゆっくり過ごしてください。

辛いときは休んでくださいね。
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