今日も、快晴。昨年と比べて今年の年末は寒い。この、中央千葉(??)※の地でも珍しく最低気温、零下の日々が一週間ほど続く。いよいよ師走も押し詰まってくる。
今回は、『海外から見た日本庭園ランキング』紹介の最終版です。
ここで選択する基準と内容を見ていくと、どうですか、このランキングでは、地域的には肝心な鎌倉の庭園がない。山梨県もない。また、滋賀県もないし琵琶湖の奥まった見所のある庭園も看過されているのではないか。
作庭の経緯をつまびらかにすると、明治以降に多くつくられた旧財閥系の庭園、電鉄会社の庭園では、いづれも創業者でオーナー社長の東洋思想、仏教信仰、美術品好きに加えて、石仏・灯篭、盆栽、庭石などの庭園材料収集ではじまり、土地をもとめて出来上がっている。この場合はまぎれもなく、100%、庭園を公開している。
大正・昭和時代に多くつくられた新興宗教団体の所有する庭園もはずしているようだ。あまり一般に周知されているとは思えないが、たいがいは、宗旨にかかわらず自由に公開している庭園がほとんどな筈である。ぜひ渉猟していただきたい。先入観として鬼面驚くように考えるかも知れぬが、実は意外にも作庭法では無茶をせず洗練されきわめてオーソドックスなものである。
築庭年月が古ければ古いほど、新築してからそれ以降になんども手を入れて庭を作り変えて現在に至っている例が多く見かける。それゆえに、当然なことに作庭者不詳になっている。
一般公開している庭園は素人である観光客だけを相手にしていると思われがちであるが、決してそういうことではない。一般の目に付かず非公開の寺社庭園もあり、迎賓館、大邸宅・別荘などの私有庭園というものもある。裾野というか奥行きはもっと広い。どの業界、どの世界でもそうだが、情報がないのは存在しないに等しい、などと馬鹿なふうに考えないでほしい。
ガーデンスタイルを見ていくと、やはり長い庭のいのちを保っているのは、形式は<桂離宮>に代表される数奇屋造りの建築物に添えるかたちの池泉回遊式と、<頼久寺>に見る書院造りの簡素な建物に組み合わせた枯山水の庭が圧倒的に多い。日本人にとっては類型的に感じるが、しかし、それはしばしば外国人から見て憧憬の対象にされている。
昔の庭園は維持しきれなくて地元の自治体に施設を寄付し移譲されているケースが多い。まれに交通アクセスの難しい<摩訶耶寺>のように無料で見ることが可能な庭園もあるが、ほとんどが有料である。
実は自治体にとって、日本庭園を観光収入源としてそれほどいい公共施設ではない。ブラックジョークを言えば、客の回転率が悪すぎる、経営効率が悪い。それならむしろ、博物館、資料館などのミュージアム、美術館の方が陳列展示品の入れ替え頻度の多い運営の方が入館料を見込めるのだ。日本庭園はせいぜい春夏秋冬の年4回の拝観、見学が関の山である。いやそれさえ、趣味人だって、めったに庭を見ることはありえない。観光地としてせいぜい、数年に一度がいいところだろう。
ただし注意しておきたいのだが、日本国内では、全国一斉に毎月曜日は休館、休園になる。博物館、美術館などと同じだ。年中無休の庭園では、正月のみ休みのところもある。
【2007 Shiosai Rankings】
・ 1.足立美術館(島根県安来市)
・ 2.桂離宮(京都府京都市西京区)
・ 3.山本亭(東京都葛飾区)
・ 4.栗林公園(香川県高松市)
・ 5.無鄰菴(京都府京都市左京区)・・・小川治兵衛
6.清流園(京都府京都市中京区)・・・小川治兵衛
7.養浩舘庭園(福井県福井市)
8.石亭(広島県廿日市市)
・ 9.摩訶耶寺(静岡県浜松市)
10.白河院(京都府京都市左京区) ・・・小川治兵衛
・ 11.頼久寺(岡山県高梁市)・・・小堀遠州
12.二条城/二の丸(京都府京都市中京区)
13.八芳園(東京都港区)
14.玉堂美術館(東京都青梅市)
15.平安会館(京都府京都市上京区) ・・・小川治兵衛
[Journal Of Japanese Gardening]
わたしの選んだ庭園ランキングはここです。
日本の庭園ベスト20
戦後の庭園作品、ランドスケープデザインの成果品は、“社団法人日本造園学会”あたりがまとめているが、まだまだ、評価が定まっていないように思う。新しい庭園はどうしても、テレビなどのマスメディアで取り上げられたり、旅行会社の旅程表に入れ宣伝でもてはやされるが初めの数回で忘れられてしまう。そもそも建設業界のなかでも、庭園だけは唯一新しさを良いとは言えない工事対象のもの。そして建築物よりも割合、耐用年数(?)が長い。樹木、地被、草花もふくめて、自然の風雪にさらされ年月がたたないとその良さが出てこないのだ。
現代ではその範囲は庭園作品の発表される舞台も、国、地方自治体独自の公共のもの、民間の大規模開発の一角に設けられていたり、質量ともに限られている。
最近のデザインの傾向は、一般的に言って、機能重視、絵画的なものが増えているものと思う。一言で言うと、商業主義にいたずらに流されて、デザイナーの志が希薄になっている。仕事として四六時中、デザインワークに忙殺されて、その源を日常生活の中に五感で感じることを軽視するようでは、いずれ感銘を与えるものにはなりにくいだろう。また、特に、造園業界出身のこのデザイナーなるものは他の庭園を現地で見るなどという、当たり前の経験を等閑視し意外にもしていないと、わたしは聞いている。単に、誤ったプロ意識を持っているのみで不勉強(!)なだけだ。
せっかく自分の暇と身銭を切り見に行くのだ。よく庭園の案内、手引き書として、大学教授は庭園の批評・評価を唯一無二の存在感をもってそれをあらわすが、それは疑わしい。実際に踏査・見学しているかも疑問だし(したがって内容は誰かの受け売りかもしれないし)、わたしには庭のかたちと事実の集積と分析ばかりで、感性とイマジネーションというものが劣っているように見受ける。
本当であれば、一般教養があり実作の経験ある庭職人が選んだ庭園が良いのだが。あえて鑑賞性のみで言うと芸術家が選んだもの。あるいは、折り目正しい人生の観照者(!)が選んだものが。
※ 中央千葉は北千葉、南千葉で地域割りした言い方、勿論、私の造語です。即
刻忘れてください。歴史的には下総、上総、安房の三国名です。
今回は、『海外から見た日本庭園ランキング』紹介の最終版です。
ここで選択する基準と内容を見ていくと、どうですか、このランキングでは、地域的には肝心な鎌倉の庭園がない。山梨県もない。また、滋賀県もないし琵琶湖の奥まった見所のある庭園も看過されているのではないか。
作庭の経緯をつまびらかにすると、明治以降に多くつくられた旧財閥系の庭園、電鉄会社の庭園では、いづれも創業者でオーナー社長の東洋思想、仏教信仰、美術品好きに加えて、石仏・灯篭、盆栽、庭石などの庭園材料収集ではじまり、土地をもとめて出来上がっている。この場合はまぎれもなく、100%、庭園を公開している。
大正・昭和時代に多くつくられた新興宗教団体の所有する庭園もはずしているようだ。あまり一般に周知されているとは思えないが、たいがいは、宗旨にかかわらず自由に公開している庭園がほとんどな筈である。ぜひ渉猟していただきたい。先入観として鬼面驚くように考えるかも知れぬが、実は意外にも作庭法では無茶をせず洗練されきわめてオーソドックスなものである。
築庭年月が古ければ古いほど、新築してからそれ以降になんども手を入れて庭を作り変えて現在に至っている例が多く見かける。それゆえに、当然なことに作庭者不詳になっている。
一般公開している庭園は素人である観光客だけを相手にしていると思われがちであるが、決してそういうことではない。一般の目に付かず非公開の寺社庭園もあり、迎賓館、大邸宅・別荘などの私有庭園というものもある。裾野というか奥行きはもっと広い。どの業界、どの世界でもそうだが、情報がないのは存在しないに等しい、などと馬鹿なふうに考えないでほしい。
ガーデンスタイルを見ていくと、やはり長い庭のいのちを保っているのは、形式は<桂離宮>に代表される数奇屋造りの建築物に添えるかたちの池泉回遊式と、<頼久寺>に見る書院造りの簡素な建物に組み合わせた枯山水の庭が圧倒的に多い。日本人にとっては類型的に感じるが、しかし、それはしばしば外国人から見て憧憬の対象にされている。
昔の庭園は維持しきれなくて地元の自治体に施設を寄付し移譲されているケースが多い。まれに交通アクセスの難しい<摩訶耶寺>のように無料で見ることが可能な庭園もあるが、ほとんどが有料である。
実は自治体にとって、日本庭園を観光収入源としてそれほどいい公共施設ではない。ブラックジョークを言えば、客の回転率が悪すぎる、経営効率が悪い。それならむしろ、博物館、資料館などのミュージアム、美術館の方が陳列展示品の入れ替え頻度の多い運営の方が入館料を見込めるのだ。日本庭園はせいぜい春夏秋冬の年4回の拝観、見学が関の山である。いやそれさえ、趣味人だって、めったに庭を見ることはありえない。観光地としてせいぜい、数年に一度がいいところだろう。
ただし注意しておきたいのだが、日本国内では、全国一斉に毎月曜日は休館、休園になる。博物館、美術館などと同じだ。年中無休の庭園では、正月のみ休みのところもある。
【2007 Shiosai Rankings】
・ 1.足立美術館(島根県安来市)
・ 2.桂離宮(京都府京都市西京区)
・ 3.山本亭(東京都葛飾区)
・ 4.栗林公園(香川県高松市)
・ 5.無鄰菴(京都府京都市左京区)・・・小川治兵衛
6.清流園(京都府京都市中京区)・・・小川治兵衛
7.養浩舘庭園(福井県福井市)
8.石亭(広島県廿日市市)
・ 9.摩訶耶寺(静岡県浜松市)
10.白河院(京都府京都市左京区) ・・・小川治兵衛
・ 11.頼久寺(岡山県高梁市)・・・小堀遠州
12.二条城/二の丸(京都府京都市中京区)
13.八芳園(東京都港区)
14.玉堂美術館(東京都青梅市)
15.平安会館(京都府京都市上京区) ・・・小川治兵衛
[Journal Of Japanese Gardening]
わたしの選んだ庭園ランキングはここです。
日本の庭園ベスト20
戦後の庭園作品、ランドスケープデザインの成果品は、“社団法人日本造園学会”あたりがまとめているが、まだまだ、評価が定まっていないように思う。新しい庭園はどうしても、テレビなどのマスメディアで取り上げられたり、旅行会社の旅程表に入れ宣伝でもてはやされるが初めの数回で忘れられてしまう。そもそも建設業界のなかでも、庭園だけは唯一新しさを良いとは言えない工事対象のもの。そして建築物よりも割合、耐用年数(?)が長い。樹木、地被、草花もふくめて、自然の風雪にさらされ年月がたたないとその良さが出てこないのだ。
現代ではその範囲は庭園作品の発表される舞台も、国、地方自治体独自の公共のもの、民間の大規模開発の一角に設けられていたり、質量ともに限られている。
最近のデザインの傾向は、一般的に言って、機能重視、絵画的なものが増えているものと思う。一言で言うと、商業主義にいたずらに流されて、デザイナーの志が希薄になっている。仕事として四六時中、デザインワークに忙殺されて、その源を日常生活の中に五感で感じることを軽視するようでは、いずれ感銘を与えるものにはなりにくいだろう。また、特に、造園業界出身のこのデザイナーなるものは他の庭園を現地で見るなどという、当たり前の経験を等閑視し意外にもしていないと、わたしは聞いている。単に、誤ったプロ意識を持っているのみで不勉強(!)なだけだ。
せっかく自分の暇と身銭を切り見に行くのだ。よく庭園の案内、手引き書として、大学教授は庭園の批評・評価を唯一無二の存在感をもってそれをあらわすが、それは疑わしい。実際に踏査・見学しているかも疑問だし(したがって内容は誰かの受け売りかもしれないし)、わたしには庭のかたちと事実の集積と分析ばかりで、感性とイマジネーションというものが劣っているように見受ける。
本当であれば、一般教養があり実作の経験ある庭職人が選んだ庭園が良いのだが。あえて鑑賞性のみで言うと芸術家が選んだもの。あるいは、折り目正しい人生の観照者(!)が選んだものが。
※ 中央千葉は北千葉、南千葉で地域割りした言い方、勿論、私の造語です。即
刻忘れてください。歴史的には下総、上総、安房の三国名です。