わが家では炬燵を出した。わたしの書斎用テーブルの足元には電気ストーブを据えてしばらくになる。もうすぐだ、11月7日は立冬だ。
たまたま、書店でせっかくクレジットカードで買うんだからということで、読みたい本をまとめるために書棚をあさっていたら目についた。いつか文春の読書PR誌を見ていたのか聞き覚えがある、よしっ、この本を買う。
“六十一歳の大学生、父野口富士夫の遺した一万枚の日記に挑む” 平井一麥 文春新書
会社を早期退職した平井さんは、61歳、文学を勉強するためにまず大学に入りなおすことからはじめる。
マイナーな小説家であった実父の野口富士夫の遺した日記を読みながら整理していく作業だ。息子である著者自身も老境に至る寸前、そこで肉親の情を梃子に自己確認の作業を縷々つづっていく。
父の心境、純文学という物質的に恵まれない小説家稼業の日々、病弱な家族、またその時代認識、そこでは精一杯、等身大の自分をかぶせて、その来し方・道行きを二重写しにしていく。
世の亭主よ、リタイアしたサラリーマン族よ、こういう試みはぜひした方がいい。周囲を右顧左眄してやることがないからと言って、ソバ打ちを始めたり、陶磁器の焼き物を始めたりするのは愚の骨頂である。そこで、プロを目指すならまだしも。たとえば、残る生涯のために料理教室に通う方がまだましというもの。それよりも、なにかを伝手に自分の人生を振り返ったり、まったく他人の一生を追いかけてみる方がいい。そこで、自分は何者であったのか、知るといい。
所詮、おのれ一人の自己満足であっても、もたらす意味は大きい。そこでは、見向きもしなかった心という魔物を豊かにしていく。セルフストーリーの見直しと語り継ぎ。多分、最終的には身近な人たちを幸せにしている筈だ。
よっぽど、悪い来し方、多数の人間をだました、多大の借金を踏み倒した、実は殺人を犯し時効も難なくクリアした(!)などの、生き方をしてきたのでないならば。
自分自身をごまかさずに、振り返られる生き方をしてきたのならば。
次の本もいずれメモを書きこむ予定。なんだか、出版社の廻し者のようであるが、再々UPだけしておく。
“文藝別冊-総特集-吉本隆明-” 河出書房新社
“論語と算盤” 渋沢栄一 角川ソフィア文庫
“公明党・創価学会の野望” 平野貞夫 講談社+α文庫
“公明党・創価学会の真実” 平野貞夫 講談社+α文庫
“虚像に囚われた政治家 小沢一郎の真実” 平野貞夫 講談社+α文庫
“なにもかも小林秀雄に教わった” 木田元 文春新書
“海馬 池谷祐二/糸井重里” 新潮文庫
たまたま、書店でせっかくクレジットカードで買うんだからということで、読みたい本をまとめるために書棚をあさっていたら目についた。いつか文春の読書PR誌を見ていたのか聞き覚えがある、よしっ、この本を買う。
“六十一歳の大学生、父野口富士夫の遺した一万枚の日記に挑む” 平井一麥 文春新書
会社を早期退職した平井さんは、61歳、文学を勉強するためにまず大学に入りなおすことからはじめる。
マイナーな小説家であった実父の野口富士夫の遺した日記を読みながら整理していく作業だ。息子である著者自身も老境に至る寸前、そこで肉親の情を梃子に自己確認の作業を縷々つづっていく。
父の心境、純文学という物質的に恵まれない小説家稼業の日々、病弱な家族、またその時代認識、そこでは精一杯、等身大の自分をかぶせて、その来し方・道行きを二重写しにしていく。
世の亭主よ、リタイアしたサラリーマン族よ、こういう試みはぜひした方がいい。周囲を右顧左眄してやることがないからと言って、ソバ打ちを始めたり、陶磁器の焼き物を始めたりするのは愚の骨頂である。そこで、プロを目指すならまだしも。たとえば、残る生涯のために料理教室に通う方がまだましというもの。それよりも、なにかを伝手に自分の人生を振り返ったり、まったく他人の一生を追いかけてみる方がいい。そこで、自分は何者であったのか、知るといい。
所詮、おのれ一人の自己満足であっても、もたらす意味は大きい。そこでは、見向きもしなかった心という魔物を豊かにしていく。セルフストーリーの見直しと語り継ぎ。多分、最終的には身近な人たちを幸せにしている筈だ。
よっぽど、悪い来し方、多数の人間をだました、多大の借金を踏み倒した、実は殺人を犯し時効も難なくクリアした(!)などの、生き方をしてきたのでないならば。
自分自身をごまかさずに、振り返られる生き方をしてきたのならば。
次の本もいずれメモを書きこむ予定。なんだか、出版社の廻し者のようであるが、再々UPだけしておく。
“文藝別冊-総特集-吉本隆明-” 河出書房新社
“論語と算盤” 渋沢栄一 角川ソフィア文庫
“公明党・創価学会の野望” 平野貞夫 講談社+α文庫
“公明党・創価学会の真実” 平野貞夫 講談社+α文庫
“虚像に囚われた政治家 小沢一郎の真実” 平野貞夫 講談社+α文庫
“なにもかも小林秀雄に教わった” 木田元 文春新書
“海馬 池谷祐二/糸井重里” 新潮文庫