男子フィギュアスケートで、織田選手の採点がコンピュータと人為ミスで変更になり、高橋選手が逆転Vとの報道。連盟の問題を指摘する声も多いが、コンピュータ業界に身を置く立場としては、他人事ではいられない。
YAHOOのニュースによると、規定外の演技をした織田選手のその規定外部分について、利用しているコンピュータでは考慮されておらず、またその上競技委員が見逃したという2重のミスだとされた今回の事件。業界の人としては、最近のコンピュータシステムを構築する”SE”の力の未熟さが招いたものと映る。
人のミスを防ぐためにコンピュータが存在している”はず”なのに、コンピュータそのものが”人”のお世話にならないときちんと動かせないということ自体がそもそも問題。人間はその性向からどうしても10回20回、100回ときちんと動いたシステムについては信頼を置き、規定をどれだけしっかり決めていても、どうしてもチェックが甘くなったり、いわゆる”大丈夫だろう”という判断をするものだ。人のチェックや動きなんていうものはそういう不確かさがあるから、コンピュータのように何十回、何千回同じことをやらしてもきちんと答えを出す機械を利用する。コンピュータはそうあるべきなのだが、果たして最近のコンピュータシステム(ソフト)はそのような理解の上に設計されているのだろうか?
やや専門的になるが、コンピュータシステムの設計は、そもそも先のような”人が繰り返しやっているうちに間違う”ことを防がなければならない。よってそもそも”人はどのように物事を判断して事を進めているのか”を調査しなければならな。これが現状調査といわれるものだ。その上に、コンピュータでやるから、あるいはコンピュータでやるのなら人手では大変だった別の”未実施”の事をやらせたい。という”要望”を同じく調査する。これが要望のヒアリング。
それらをまとめるときに、”未実施”だった事柄から想定できる業務の流れや前後矛盾、また”未実施”だった要望を実現することで、おそらく満たすことができなくなるであろう”現状やっている、できている事柄の拾い上げ”などを行い、やっとコンピュータでやらせる範囲、そのために必要な”人”の動きや”やるべきこと”がまとまる。それを”要件定義”という。ゆえに”要件定義”はコンピュータソフトを作る人が考えるのではなく、コンピュータソフトを作ってもらう”お客様”が決定しなければならない。
さて、今回のコンピュータのミス。織田選手のような”規定外の演技”をした場合の対応がシステム上に組み込まれていなかったことが直接の原因なのだが、これはスケート連盟側だけの”要件定義”のミスと言い切れるのか?
スケート連盟側とシステム開発を受けた側とのやり取りの詳細はまったくわからないが、一般にこのようなケースは普通に考えれば答えは”NO”である。少なくともシステムを作る側のSEが”こういうケースはどんな風にすべきですか?”という全体観と想像力をもってお客様側に質問しなければならなかった。なぜならお互いに”未実施”の部分を含めて設計をするという”難題”を進めるのだから、コンピュータソフトウエアのプロであるSEはそのような視点で質問しなければならない。また、たとえお客様側が”それは考えなくても良い”としたとしても、物を作る作り手としての”プライド”にかけて”万が一こういう事が起こったら”と逆に説得すべきである。
東京証券取引所で起こったみずほ証券の発注ミス事件にしても今回のことにしても、コンピュータソフトの”作り手”の想像力やプライドの低下が気になるところである。
双方の事件ともシステムに不具合があっても、その作成した人自体に被害が及ぶわけではないが、そのシステムの不具合によって、人生が変わる人もいるのだ。当たり前の健全な想像力があれば、自らの設計したシステムがそのようなことに決してならないようにしたいと思うはずである。
”利益優先”だとか”どうせわからないから”だとかといった不誠実な姿勢が社会全体に蔓延してきているのではないかと心配である。特にコンピュータ制御された中で生活している私たちにとっては、コンピュータシステムはもうひとつのライフラインである。コンピュータソフトウエア業界の大きな脱皮の必要性を痛感して止まない。
YAHOOのニュースによると、規定外の演技をした織田選手のその規定外部分について、利用しているコンピュータでは考慮されておらず、またその上競技委員が見逃したという2重のミスだとされた今回の事件。業界の人としては、最近のコンピュータシステムを構築する”SE”の力の未熟さが招いたものと映る。
人のミスを防ぐためにコンピュータが存在している”はず”なのに、コンピュータそのものが”人”のお世話にならないときちんと動かせないということ自体がそもそも問題。人間はその性向からどうしても10回20回、100回ときちんと動いたシステムについては信頼を置き、規定をどれだけしっかり決めていても、どうしてもチェックが甘くなったり、いわゆる”大丈夫だろう”という判断をするものだ。人のチェックや動きなんていうものはそういう不確かさがあるから、コンピュータのように何十回、何千回同じことをやらしてもきちんと答えを出す機械を利用する。コンピュータはそうあるべきなのだが、果たして最近のコンピュータシステム(ソフト)はそのような理解の上に設計されているのだろうか?
やや専門的になるが、コンピュータシステムの設計は、そもそも先のような”人が繰り返しやっているうちに間違う”ことを防がなければならない。よってそもそも”人はどのように物事を判断して事を進めているのか”を調査しなければならな。これが現状調査といわれるものだ。その上に、コンピュータでやるから、あるいはコンピュータでやるのなら人手では大変だった別の”未実施”の事をやらせたい。という”要望”を同じく調査する。これが要望のヒアリング。
それらをまとめるときに、”未実施”だった事柄から想定できる業務の流れや前後矛盾、また”未実施”だった要望を実現することで、おそらく満たすことができなくなるであろう”現状やっている、できている事柄の拾い上げ”などを行い、やっとコンピュータでやらせる範囲、そのために必要な”人”の動きや”やるべきこと”がまとまる。それを”要件定義”という。ゆえに”要件定義”はコンピュータソフトを作る人が考えるのではなく、コンピュータソフトを作ってもらう”お客様”が決定しなければならない。
さて、今回のコンピュータのミス。織田選手のような”規定外の演技”をした場合の対応がシステム上に組み込まれていなかったことが直接の原因なのだが、これはスケート連盟側だけの”要件定義”のミスと言い切れるのか?
スケート連盟側とシステム開発を受けた側とのやり取りの詳細はまったくわからないが、一般にこのようなケースは普通に考えれば答えは”NO”である。少なくともシステムを作る側のSEが”こういうケースはどんな風にすべきですか?”という全体観と想像力をもってお客様側に質問しなければならなかった。なぜならお互いに”未実施”の部分を含めて設計をするという”難題”を進めるのだから、コンピュータソフトウエアのプロであるSEはそのような視点で質問しなければならない。また、たとえお客様側が”それは考えなくても良い”としたとしても、物を作る作り手としての”プライド”にかけて”万が一こういう事が起こったら”と逆に説得すべきである。
東京証券取引所で起こったみずほ証券の発注ミス事件にしても今回のことにしても、コンピュータソフトの”作り手”の想像力やプライドの低下が気になるところである。
双方の事件ともシステムに不具合があっても、その作成した人自体に被害が及ぶわけではないが、そのシステムの不具合によって、人生が変わる人もいるのだ。当たり前の健全な想像力があれば、自らの設計したシステムがそのようなことに決してならないようにしたいと思うはずである。
”利益優先”だとか”どうせわからないから”だとかといった不誠実な姿勢が社会全体に蔓延してきているのではないかと心配である。特にコンピュータ制御された中で生活している私たちにとっては、コンピュータシステムはもうひとつのライフラインである。コンピュータソフトウエア業界の大きな脱皮の必要性を痛感して止まない。