18年にもなりますか

感じた事、出来事、いろんなこと書き綴ってます。

東京国際映画祭 テン・ウィンターズ

2009-10-19 16:58:00 | 映画
 イタリアの若手スタッフと、ロシアによる始めての伊露共同制作映画。

 テン・ウィンターズというタイトルの通り、初めてであった男女二人が10回の冬を迎える間に起こるさまざまな愛憎、嫉妬、恋愛を、冬のヴェネツィアとロシア(たぶんモスクワ)を舞台に描いた、冬らしい、素直になれない男女のラブストーリー。


 10年をだらだら展開するのではなく、緩急をうまく使い分けていて展開にも好感が持てる。映画的には静かに進むので、はらはらドキドキというのでもなく、切なくて胸がキュンとするわけでもないのだけども、舞台となっている冬の景色から伝わってくる空気感と、主人公の二人の男女の間にある人肌の温かさ程度のぬくもりが、この映画独特の雰囲気を作っている。


 初めて出会ってから、男にも女にもそれぞれの人生がありながらも、なぜか接点があり消えずにいて、彼彼女の関係でもないし、友達というほど長く時間を共有したわけでもないし、また知り合い程度というほど冷たくもない関係というのは、人間にとってもしかしたらとても普遍的な関係なのかもしれない。


 自分にもそういう不思議なつながりの人たちがいるので、とても共感できた。もっと若いときに観ていれば、もっと映画に入り込めたかもしれない。20代後半~30代が観ると、とても違った印象になるかもしれない。

 
 監督:ヴァレリオ・ミエーリ
 主演:イザベッラ・ラゴネーゼ、ミケーレ・リオンディーノ


▲上映後のQ&Aの様子


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東京国際映画祭 ACACIA (アカシア)

2009-10-19 16:29:00 | 映画
 アントニオ猪木、林 凌雅主演、辻仁成原作・監督の日本映画。

 取り戻せない過去、やり直せる現在、これからの未来と、家族との間に生まれるさまざまな思いや出来事が残したしこりは、消えないものなのだけども、でも乗り越えることも出来るんだということを伝えてくれる映画。

 1人暮らしの老人たちの住む、平屋のアパートを舞台に、アントニオ猪木が演じる老いた元プロレスラー「大魔神」と、そこに突然現れた、林 凌雅演じ「タクロー」。この二人を中心にストーリーが展開される。

 
 
 原作者が監督した映画は、自分の原作をあまりに大切にするがゆえ、映画的手法によらない作品になる傾向があるが、このACACIAもそういう作品になってしまっていた。



 
 監督の5年ぶりの映画だというが、辻監督の作品は今回が初めてだから成長したのかどうかは一切不明。分かってない事を踏まえたうえで言えば、もっと展開がだらだらしないものに出来たはずだと正直思う。




 アントニオ猪木と石田えりが夫婦なのか、元夫婦なのか分からないが、この二人の間にある、思いにまつわるストーリーと、タクロー君の家族の事情とがうまく絡み合っているのは面白くてよかったので、監督に力量がないわけでないが、そのあたりをもう少し深くしっかりと描いて、それ以外の部分は思い切り削ってしまえばいいと思った。


 彼らに絡まないエピソードを入れるのならもっと、うまく入れて構成して欲しい。

 
 

 監督・脚本・原作:辻 仁成
 主演:アントニオ猪木
 助演:石田えり、林 凌雅他




 
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東京国際映画祭 ボリビア南方の地区にて

2009-10-19 16:01:00 | 映画
 10月17日から始まった、第22回東京国際映画祭、コンペティション部門エントリー作品『ボリビア南方の地区にて』を観た。


 この映画は、いままさにボリビアで起きている、かつての裕福層の没落と、それに代わる新高所得層による大きな変革を、監督独特のカメラワークと、ボリビア人の感性で描かれた映画。


 変革は本当に大きく起きていて、大津波ではないのだけれども、でも明らかに押し寄せてきていることを表現するために、裕福層の家族の日常を彼らの住む「家」を中心に、その変革の到来が静かだった様に、映画でもとても静かに描こうとしている。その為、映像の端々には、徐々に没落の道に向かって進んでいることを示すさりげないエピソードや、家のインテリアなどで表現されている。


 中南米は、かつてスペインにより侵略され支配されてきた歴史があり、この映画の舞台となっているボリビアもそのひとつなのだそうだ。



 そういう歴史的背景と現在の国内事情、ボリビアの文化を踏まえた上で見るとよりいっそう感動できると思う。知らないまま観たから、ちょっと分かり辛かった。テンポのいい映画に慣れているとちょっと間延びするように感じるかもしれない。




 監督・脚本:フアン・カルロス・ヴァルディヴィア

 ボリビアについてはこちらから。



▲上映後のQAで登壇した監督のファン・カルロス・ヴァルディヴィアと、主演女優のニノン・デル・カスティーヨ




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