猿八座 渡部八太夫

古説経・古浄瑠璃の世界

洛中洛外図(舟木本)の世界  国立博物館京都展

2013年11月17日 00時01分05秒 | 調査・研究・紀行

猿八座が、阿弥陀胸割(あみだのむねわり)を初演したのは、昨年、平成24年の話だが、
それが、本当に演じられていたのは四百年前の慶長年間のことである。ビデオも録音も
無い四百年前の説経が、どんな人形操りだったのかを、古活字本以外に知るすべは無い。
しかし、この「胸割」を、四百年前に、絵に描いた人がいたのだった。
岩佐又兵衛という方だ。
洛中洛外図は、e国宝で閲覧ができるので、以前、上越教育大学の川村先生に教えて戴いてから
デスクトップに愛用していたが、とうとう実物を見る機会が訪れたのだ。
今、上野の国立博物館で開催されている特別展京都。各種の洛中洛外図その外の襖絵が
展示されているが、舟木本はやはり圧巻であった。その躍動感は、他の絵では味わえない。
もう足は釘付けであった。幸い、双眼鏡を用意していたので、ややさがった位置から、
じっくりと俯瞰させていただいた。人波を掻き分けて、間近くで見るのもいいけれど、
そもそも鳥瞰図であるこの絵図は、遠目に観察するのも面白く、時間を忘れて、タイムスリップをした。
やはり実物は凄い。きっと、四百年前のこの世界に、自分は居たな。この中のどれかが
自分だなと、探し回った。むう、それらしい、変なおやじが居る居る。
こんなに夢中になれる絵が外にあるだろうか。とにかく面白い。

Photo

e国宝洛中洛外図(舟木本)右双5扇部分:人形浄瑠璃小屋の場面

左が、「むねわりあやつり」右が、「山中ときわあやつり」と書き込んである。
ここは四条河原の部分で、外に「かぶき」とあって、遊女歌舞伎の図があるが、
そこには、演目の記載が無い。つまりこの時代、ストリーを持った芝居は、まだ説経が
中心だったのだろうと窺える。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿