アンダンテ ~私の歩幅で~

季節のこと、音楽のこと、誕生日シリーズなど

フォルテの方向

2008年04月07日 | 音楽用語
音楽用語 フォルテ (forte) は、イタリア語。
音楽の強弱記号で、「強く」という意味です。

語源は、ラテン語の fortis で、
「たくましい、勇ましい、英雄的な、堅固な」という意味です。

私は、ブラームスのワルツ4番に取り組んでいるとき、
この「フォルテ」について、かなり考えさせられました。

考え始めた頃のことは、「「forte (フォルテ)」の解釈」
にも、少し書きました。

この1ページほどの作品には、
「f」が5箇所、「piu f」が1箇所、「rf」が2箇所、あります。
発想記号は「appassionato」ひとつだけ。

これ全部を、同じ強さのフォルテにしてしまうと、
音楽的には、少々違ってくるように思っています。

それに、弾き手にとっても、聴き手にとっても、
疲れる曲になってしまいますから。

この曲には反復記号もあるので、
余計、難しいところがあります。

この曲の場合。直前の3番から続けて弾いてみると、
反復記号については、見えてくるものがあると
私は感じています。

反復記号と同時に、フォルテについても、
いくつかは、答えが出てくるように思います。

それから、フォルテには、
方向性があるように、感じています。

フォルテの意味は、「強く」です。
「大きく」とは、ややニュアンスが違うと思います。

なので、その強さの向きが、
ヒントになるように思ったりもしています。

外に向けるのか?
内に向けるのか?
広く向けるのか?
深く向けるのか?

どの作品でも、曲の流れの中で、
一番しっくりとするフォルテを、
見つけていきたいと思っています。

難しい音楽用語 (10)

2008年03月10日 | 音楽用語
専門用語は難しい。。
音楽用語についても、同じことが言えると思います。

私が今よりも音楽用語を知らなかった頃は、
本当に勘違いだらけでした。。σ(^◇^;;


たとえば、プレリュード (前奏曲)

プレリュードって、クレームブリュレに似ている???。。σ(^◇^;;

プレリュード (prelude) は、英語です。

言葉の意味は・・・
前置き、前兆、(詩などの)導入部、前奏曲
・・・です。

  pre は、…以前の、あらかじめ、…の前部にある
  lude は、動く、遊び、踊る、試合

語源は、ラテン語の praeludium

もともとは、オルガン奏者が、演奏前に、
指慣らしで弾いたり、楽器の状態を確かめたり、
歌い手の音取りの助けをしたり・・・していました。

このように、準備の目的で、
即興的にオルガンを鳴らしたことが、はじまりらしい。

その後、教会の儀式が始まる前に演奏する曲となりました。
それから、舞曲、組曲、フーガなどと組み合わせて、
楽曲の前に演奏する曲のことを、
前奏曲と呼ぶようになったのだとか。

17世紀には・・・
組曲において、導入的性格の楽曲としたり、
フーガと組み合わせるようになったのだとか。
 → J.S.バッハ 「平均律クラヴィーア曲集」

19世紀には・・・
独立した楽曲として作られるようになりました。
 → ショパン 「24 の前奏曲」
   ドビュッシー 「前奏曲集第1,2巻」

似たような位置づけの楽曲に、序曲 があります。
しかし、前奏曲と序曲とには、決定的な違いがあるのです。

序曲については、また別記事にて。

難しい音楽用語 (9)

2008年03月06日 | 音楽用語
専門用語は難しい。。
音楽用語についても、同じことが言えると思います。

私が今よりも音楽用語を知らなかった頃は、
本当に勘違いだらけでした。。σ(^◇^;;


たとえば、アルマンド

アルマンドって、アーモンドの仲間???。。σ(^◇^;;

アルマンド (allemande) は、フランス語です。

言葉の意味は・・・
ドイツの、ドイツ風舞踏、ドイツ風舞踏曲、振り上げ(体操)、白ソース
・・・です。

中世ドイツにおいて、ゆるやかな2拍子の舞曲が、
農民の間で流行したようです。

そして、その舞曲は、フランスにも伝わりました。
フランスで、この舞曲は、テンポがやや自由になり、
拍子も4拍子になるなどして、浸透していったようです。

しかし、バッハの頃には、ほとんど踊られることがなくなり、
舞曲だけが残ったのだそうです。

アルマンド は、古典組曲の 第1曲 に用いられるようになりました。
バッハの6曲ある「フランス組曲」それぞれの第1曲目が、
素敵なアルマンドですね。

でも、バッハの「イギリス組曲」では、
アルマンドが第2曲目なんですケド…?

それは、アルマンドの前に、プレリュード(前奏曲)があるためです。
プレリュードについては、また、改めて記事を書きますね。


ちなみに、フランス語では、
ドイツのことを Allemagne (アレマーニュ) と言います。

難しい音楽用語 (8)

2008年02月12日 | 音楽用語
専門用語は難しい。。
音楽用語についても、同じことが言えると思います。

私が今よりも音楽用語を知らなかった頃は、
本当に勘違いだらけでした。。σ(^◇^;;


たとえば、カプリッチョ (カプリチオ,カプリス / 奇想曲,狂想曲)

ラプソディーとカプリッチョって、どう違うの???。。σ(^◇^;;

カプリッチョ (capriccio) はイタリア語で、
フランス語では カプリス (caprice) です。

capriccio には・・・
・・気まぐれ、わがまま、無定見、空想的な思いつき、身ぶるい・・
などの意味があります。

日本語では、奇想曲狂想曲 と呼ばれています。
(最近は、「狂想曲」と訳されることは、ほとんどなさそうです。)

カプリッチョ。

最初は、フーガ形式のひとつでありながら、
あまり形式にとらわれない楽曲だったのだとか。

18世紀に入ってからは、
形式に拘束されることのない、気まぐれな器楽小品の
名称になったようです。

(何らかの形式に当てはまると、カプリッチョにはならないの??)


次に、ラプソディー (狂詩曲) とは?
  英語= "rhapsody"
  ドイツ語="Rhapsodie"
  フランス語="rhapsodie"

rhapsody には・・・
・・熱狂的な表現、情熱的な文書、短い叙情詩、寄せ集め・・・
などの意味があります。

ラプソディー。

自由形式で、叙情的性格や民族的性格の強い、器楽曲。
元々は、古代ギリシャの短い叙事詩で、吟遊詩人の歌、だとか。

ということは・・・
叙情的だったり、民族的な要素が含まれると、ラプソディー?

日本語のキーワードだと・・・
カプリッチョには「想」、ラプソディーには「詩」、のエッセンス?

(まだ、よく、わからない。。汗)

難しい音楽用語 (7)

2008年02月05日 | 音楽用語
専門用語は難しい。。
音楽用語についても、同じことが言えると思います。

私が今よりも音楽用語を知らなかった頃は、
本当に勘違いだらけでした。。σ(^◇^;;


たとえば、平均律

平均率・・ではなくて・・・平均律って???。。σ(^◇^;;

平均律といえば、J.S.バッハの「平均律クラヴィーア曲集」ですね。
私は上手く説明できないので、よろしければ、
ピティナのピアノ曲事典の解説を、ご覧ください。
(以下から、どうぞ♪)

  平均律クラヴィーア曲集 第1巻 24の前奏曲とフーガ
  平均律クラヴィーア曲集 第2巻 24の前奏曲とフーガ


平均律は、英語で equal temperament といいます。

equal は、「等しい」という意味のイコールです。
そして temperament は、「体質、気質、気性、音律」
などの意味があります。

音律は、広辞苑によると・・・
楽音の相対的な音高関係を一定の方法に従って
厳密に規定したもの。オクターブ音階で表されることが多い。
西洋の純正律・中全音律・平均律、中国・日本の十二律など。


音律には、「音の調子」や「音の高さ」という意味もあります。

そして、そして、音階の考案者は・・・
実は、ギリシャの、あの ピタゴラス なのだとか!

紀元前6世紀に考案された、ピタゴラスの音階。
「5度音程だけを組み合わせて、1つの音階を作った」
のだそうです。

このピタゴラスの音階が、
純正調音階、そして、平均律音階の
理論の基礎になったのだそうです。

バッハ以前。
純正調やミーントーンと呼ばれる自然音列(倍音)による
音階が使われていたそうです。

この音階には、和音のにごりがなく、
完全に調和した美しさだったと伝えられています。

ところが、この音階の場合。
鍵盤楽器では転調が困難だったため、
調性を変える度に、調律し直す必要があったのだとか。

ヴァイオリンなどの弦楽器や合唱などでは、
現代でも、純正調が使われているようです。

鍵盤楽器における不自由さを、どうにかしようと、
1オクターブを平均に12等分した 平均律
考え出されたのですね。

平均律を、最初に考案したのは、
フランスのメルセンヌという人。

さらに、それを具体的に理論化したのが、
ドイツのオルガニスト、ヴェルクマイスター。

そして、これらの理論を実践的な音楽作品にしたのが
ヨハン・セバスティアン・バッハ だったのです。

難しいコトは、横に置いといても、
音楽の素晴らしさは、十分に感じることができますね。

難しい音楽用語 (6)

2008年01月13日 | 音楽用語
専門用語は難しい。。
音楽用語についても、同じことが言えると思います。

私が今よりも音楽用語を知らなかった頃は、
本当に勘違いだらけでした。。σ(^◇^;;


たとえば、ノクターン (夜想曲)

静かな夜。もの思いにふけるのに、うってつけの曲?。。σ(^◇^;;

ノクターン・・英語では、noctune です。

静かな夜の気分を表した、叙情的な器楽曲。
特定の形式は、ありません。

ゆったりとしたテンポでの、
旋律と伴奏によるピアノ曲が多いようです。

今から150年ほど前。
イギリスのフィールドが、自作のピアノ曲に、
初めてノクターンという名称をつけたのだそうです。

そして、ノクターンといえば、ショパン。

絵画でも、夜景を描いた作品のことを、
ノクターンと呼ぶのだそうです。

あなたの、お気に入りのノクターンは?

難しい音楽用語 (5)

2007年11月22日 | 音楽用語
専門用語は難しい。。
音楽用語についても、同じことが言えると思います。

私が今よりも音楽用語を知らなかった頃は、
本当に勘違いだらけでした。。σ(^◇^;;


たとえば、舞踊音楽

フラメンコも、舞踊音楽に入るの?。。σ(^◇^;;

舞踊音楽・・英語では、ballet music で、
バレエのために作られた音楽なのですね。

バレエは、言葉や歌を用いずに、身体の動作だけで、
主題やストーリーを表現するものです。

バレエの起源はとても古く、古代エジプトの宗教劇や、
古代ギリシャ、古代ローマなどにまで、さかのぼるようです。

直接の起源としては、15世紀頃のイタリアで
貴族たちの余興として行われていた パントマイム とか。

その後、フランス宮廷に取り入れられ、発達、定着したようです。

バレエ (ballet) の語源は、ラテン語の ballo で、「踊る」という意味。

言葉もまた、踊りと共に、イタリア経由でフランスに入り、
フランスで定着したのでしょう。
そのため、バレエ用語にはフランス語が多いのですね。

歌劇の一部として取り入れられることもあるようですが、
バレエとして、観客対象の舞踊へと発達してきました。

そして、舞踊音楽としてのバレエが確立したのは、
19世紀半ば頃のようです。

実は、バラード も、元々は踊りを伴う音楽で、
語源はバレエと同じなのですね。

難しい音楽用語 (4)

2007年06月23日 | 音楽用語
専門用語は難しい。。
音楽用語についても、同じことが言えると思います。

私が今よりも音楽用語を知らなかった頃は、
本当に勘違いだらけでした。。σ(^◇^;;


たとえば、舟歌

最初、私のイメージは、川くだりや、湖のボート。。σ(^◇^;;

狭義には、船頭さんが舟をこぎながら歌う歌や、
そのときの情景を歌った歌のことのようです。

広義には、大量祝い歌まで含まれるようです。

舟歌は、barcarole という言葉でも親しまれていますね。
このバルカロールは、英語です。
イタリア語では、barcarola (バルカローラ) といいます。

バルカロールは、もともと、イタリアのヴェネツィア(ベニス)の
船頭が歌う歌のことでした。
だんだんと意味が広がり、そのような情景の音楽全体を、
舟歌と呼ぶようになったようです。

バルカロールには、器楽曲が多いみたいです。
さざ波や小舟の揺れを表すやや単調なリズムのメロディーが
主旋律を支えたり、表情を豊かにするのですね。



現在、私は、メンデルスゾーンの曲・・
無言歌集から ヴェネツィアの舟歌 を弾いています。

日本では ヴェニスの舟歌 と呼ばれることの方が多い?
楽譜には、「ヴェニスの舟歌」と書いてあります。

メンデルスゾーンは ヴェネツィアの舟歌 と
自ら標題をつけています。
メンデルスゾーン自身がつけた数少ない標題のひとつです。

メンデルスゾーンの作品には、3つの舟歌がありますが、
その中でも一番有名な作品30-6です。

ローベルト・シューマンは、彼が創刊した 『音楽新報』 の中で、
メンデルスゾーンの作品30について、次のように述べています。

たそがれどきにアップライトピアノの前に座って……。
気の向くままに、その曲を弾いていると、
知らないうちに静かなメロディーを歌っている……。
そんな経験をしない人がいるでしょうか。


メンデルスゾーンのピアノ作品を演奏するためには、
それなりの技術が必要でしょう。

しかし、広げた親指と小指では届かないというような、
広いスパンの和音などは、あまり見当たらないようです。
手にやさしい作品が多いのですね。

ヤコブ・ルードヴィッヒ・フェリックス・メンデルスゾーン。
(1809年2月3日~1847年11月4日)
享年38歳。

フェリックス・メンデルスゾーンの姉、ファニー他界の知らせに、
メンデルスゾーンはショックで床に倒れてしまいました。
そのとき、頭部の血管が切れてしまったのだそうです。

姉ファニーの死から数ヶ月後。
フェリックス・メンデルスゾーンもまた、脳障害のため他界。

メンデルスゾーンの葬儀には、
友人であるシューマンとモシェレスも参列し、
メンデルスゾーンの棺の担ぎ手にもなったのだとか。。。

難しい音楽用語 (3)

2007年03月08日 | 音楽用語
専門用語は難しい。。
音楽用語についても、同じことが言えると思います。

私が今よりも音楽用語を知らなかった頃は、
本当に勘違いだらけでした。。σ(^◇^;;


たとえば、ミュゼット

最初は、単なるひとつの曲名だと思っていました。。σ(^◇^;;

私が練習したミュゼットは、J.S.バッハの曲、
「ミュゼット ニ長調 BWV. Anh.126」です。
ピアノを習い始めて何ヶ月も経っていない頃、
バイエルと同時進行で練習しました。

この曲を弾いたことのある方、多いのではないでしょうか?

このミュゼット。
もともとは バグパイプ のことだとか。

英語では bagpipe (bag + pipe)。
特にスコットランドのものは、軍楽隊の楽器として
広く知られているそうですね。
そして、フランスのバグパイプの一種がミュゼット。

フランスのミュゼットで伴奏で踊る
ゆるやかな3拍子の舞踏曲を、
ミュゼットと呼ぶようになったのだそうです。

また、牧歌的な舞曲風の楽曲のスタイルでもあり、
ガヴォットやメヌエットのトリオに
a la musette (ミュゼット風に)
としても用いられることがあるようです。

少々脱線しますが・・
作品番号のBWVは、
ach erke erzeichnis の略で、
シュミーダー番号「バッハ作品目録」です。

「バッハ作品目録」は、
1950年にヴォルフガング・シュミーダーによって編纂され、
バッハの全ての作品が分野別に配列されています。

また、バッハのミュゼットの作品番号に記されている Anh は、
本当にバッハの作品かどうかが不明であることを示します。

バッハのこのミュゼットは、
「アンナ・マクダレーナ・バッハの音楽帳 第2巻」
の中の1曲で、この曲集中ミュゼットは1曲のみです。

ミュゼットの他、ロンドとチェンバロ独奏曲が各1曲ずつ、
メヌエット、ポロネーズ、行進曲が、それぞれ複数曲ずつ、
それに曲名のない作品が1曲、
全22曲がこの曲集に収められています。

難しい音楽用語 (2)

2007年02月20日 | 音楽用語
専門用語は難しい。。
音楽用語についても、同じことが言えると思います。

私が今よりも音楽用語を知らなかった頃は、
本当に勘違いだらけでした。。σ(^◇^;;


たとえば、ワルツ

ワルツすべてが、踊るための音楽だと思っていました。。σ(^◇^;;

ワルツというと、ヨハン・シュトラウス2世(=ワルツ王)のワルツ
を思い浮かべる方も少なくないと思います。

お正月恒例の「ウィーンフィル・ニューイヤーコンサート」で、
ヨハン・シュトラウスのワルツが定番のように演奏されることは、
よく知られていますよね。

ヨハン・シュトラウス2世のワルツは、
時代の流れと一致したこともあり、
19世紀のヨーロッパで大流行でした。
この頃は、舞踏を伴う実用的な音楽でした。

ヨハン・シュトラウス2世のワルツは、
多くの作曲家に大きな影響を与えたようです。

ブラームスがサインを求められたとき、ブラームスは・・
「美しき青きドナウ」の数小節を書き、その横に、
  ブラームスの作品でなくて残念
と書き添えたというエピソードがあります。

また、ワーグナーがシュトラウスのワルツを指揮して・・
  自分にこのような軽い音楽を書けないのが残念だ
と語ったともいわれています。

用語辞典を見ると、ワルツとは・・
レントラーから発展した3拍子の舞曲
と書かれています。

また、ウェーバーの「舞踏への勧誘」が、
最初のワルツと認識されているようです。

その後、ワルツは、ショパンなどにより、
芸術音楽に引き上げられていきました。

ショパンのワルツは、音楽そのものを楽しむ作品でしょう。
1曲1曲が独立しており、個々に楽しむことができます。

ブラームスのワルツ集も、音楽を楽しむ作品だと思います。
中には、一般的なワルツのイメージとは一致しない曲もあります。

でも、たとえ音楽のワルツであっても、
ワルツ感を失わないように演奏するのが理想のようですね。

ワルツという名称の起源は、以下の2つの説があるようです。
  ① ドイツ語の Walzen (転がる、回転する)
  ② フランス語の Volta (今から400年ほど前の
                    軽快で活発な踊り)
どちらも語源はラテン語の volvo(転がす)です。