原発民間事故調査報告書が発表された。
最近、国の機関と東電の癒着による作られた「原発安全神話」がどんどん出てきているが、今回の報告書でいかに国と東電の対応がこの大災害を招いたのかはっきりとわかったと思う。
俺も知っていた「SPEEDI」の存在を国のトップがわからなかったというのはどういうことだろうか? ただ逃げているだけなのか!!「SPEEDI」により正確な情報を得ていれば、無用な被曝をしなくて済んだ人が多くいるだろう。安全な所へ混乱することなく避難することができただろう。長年多くの経費をつぎ込んで開発してきたものを、いざという時に知らなかったではすまされないだろう。
記事を読んでいて怒りが込み上げてきた。
「屋内退避」状態で会社の復旧のために放射能の恐怖にさらされながら作業を続けていたのに、今では「骨折り損のくたびれもうけ」状態で、避難していたより現地で苦労した人の方が賠償の対象にならず損をしているのが現状です。何のために頑張って来たんだろうとやる気がうせますよね。
記事の内容を掲載します。
民間の有識者でつくる「福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)」(委員長、北沢宏一前科学技術振興機構理事長、68)は2月27日、東京電力福島第1原発事故の調査報告書を発表した。報告書は、直接事故対応に乗り出した官邸の現場介入が「災害の拡大防止に役立ったかどうか明らかでなく、無用の混乱と事故がさらに発展するリスクを高めた可能性も否定できない」と批判した。電力事業者、規制当局など「原子力ムラ」が生み出した原発の「安全神話」が、事故の遠因になったとも指摘した。
事故調は、官邸で事故対応にあたった菅直人前首相(65)ら政治家のほか、原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長(63)らから聴取した。東電は聴取に応じなかったという。
報告書は、本来は事業者などが行う事故対応に、官邸が直接乗り出した経緯を分析し、地震・津波と原発事故という複合災害への備えを欠くマニュアル、危機対応に関する政治家の認識不足、首相のリーダーシップのあり方などに問題があったと指摘。「首相ほか官邸中枢は、異様な緊張状態と混乱に陥った」とした。有効活用されなかった放射性物質の拡散予測システム「SPEEDI」については、菅氏ら官邸トップがその存在すら知らなかったことを証言から裏付け、「宝の持ち腐れに終わった」と結論づけた。
事故直後に東電が政府に「全面撤退」を申し入れたとされる問題では、東電の「必要な人員は残すことを予定していた」との主張を「信用するに足る十分な根拠がない」と否定した。
事故の遠因とした原発の「安全神話」は、安全性への疑念を否定するために事業者などが「絶対的な安全性」を強調することで、広く受け入れられたとした。
また、安全規制関係者が複合災害の可能性を低く見積もり過ぎていたとし、保安院の人材の脆弱(ぜいじゃく)さが、事故対応の遅れの直接原因になったとした上で、「東電に対しては、事故の進展の後追いをする形で報告を上げさせる、いわば『御用聞き』以上の役割を果たすことができなかった」と厳しく指弾した。
≪反対運動「安全神話」を醸成≫
民間事故調の報告書は、長年にわたって醸成された原発の「安全神話」が事故の遠因となったとした。規制当局や電力事業者だけでなく、原発立地を受け入れてきた自治体の住民、ひいては国民全体が神話を受け入れたことで、事故の可能性を論じることが難しい状況が生まれたと指摘。イデオロギー的な反対運動が“反作用的”に寄与し、神話を強化する土壌を生んだと分析している。
報告書は、安全神話の背景となった2つの「原子力ムラ」の存在に言及した。原子力行政・産業に加え、財界・政界・マスメディア・学術界を含めた「中央の原子力ムラ」と、積極的に原発との共存を選び続けて自らも安全神話を構築してきた「地方の原子力ムラ」だという。
報告書は、中央のムラは原発導入の最初期、リスクを明示せずに安全性と技術的先進性を強調することで、原発を受け入れる素地を造ったが、反原発運動が盛り上がると、さらに神話を強化する方向に動いたとみる。
その背景を、報告書は「反対派が訴える安全性への疑念を否定するためにも、(ムラは)原発の絶対的な安全性を唱え、事故が起こることを想定することすら許さない環境ができあがった」と説明。「原理原則に基づくイデオロギー的反対派の存在が『安全神話』を強化する土壌を提供した」と指摘した。
一方、一般の国民についても、「原発は複雑で難解な技術的問題として認識され、無知・無関心であることを問題視しなくなった」と、その責任を付言する。
【民間事故調報告書の骨子】
・津波や過酷事故への事前対策が不十分・低線量被曝(ひばく)に関する科学的理解の不十分さが社会的混乱を招いた
・官邸による現場介入で有効だった事例は少なく、無用な混乱やストレスにより状況を悪化させるリスクを高めた
・菅直人前首相の個性が政府全体の危機対応の観点からは混乱や摩擦のもとになった
・政府は国民の不安に答える情報提供者としての信頼を勝ち取れなかった
・SPEEDIは宝の持ち腐れに終わった
・「原子力ムラ」が生み出した原発の「安全神話」が事故の遠因となった
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