鳥まり、参る!

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何才からだって自尊心は取り返せる!

2019年10月10日 | シリアス
【容姿は心と同じくらい自分の尊厳だよ…】

書いたことあるか忘れちゃったんですけど、鳥まりの祖母(とっくの昔に死去)はめちゃくちゃ美しい人だった。

私を含む孫世代が産まれて“おばあちゃん”となっていた頃も綺麗だったけど、少女~お嬢さん時代の祖母の美しさはえげつないほど。

どの写真見てもとっても綺麗なのだ。

フランス人形のようなくっきり大きな瞳とすっきりした鼻と口の可愛いこと。

身内のことホメんじゃねーよという意見もあるでしょうが、いいたいこととつながるので書かせてね。

明治~大正~昭和中期頃までのセレブ美人奥さま・お嬢様方の写真もたくさん見たことありますけど、

「好みがあるだろうけど、うちのおばあちゃんの方が美人だなー」

と思ったくらい。

お察しください案件だが、彼女の美貌は孫世代の誰にも受け継がれなかった。

なんでだよ…隔世遺伝っていうじゃん…あのルックス受け継いでいたのなら私、宝塚かオスカープロモーション入ってたわ。

“えげつない”という言葉は“人情味や同情心に欠けている”という意味だそうですが、その言葉のとおり彼女(祖母)は美に関してなんの思いやりも同情心もなかった。

彼女には私の母を含めたくさんの子どもがいたが、

「こんなに子どもがいるのに、誰も私の美しさを受け継がなかった!!」

と幼い頃から子どもたち本人に吹き込んでいたらしい。

怖すぎ。

(美女あるあるで、祖母が結婚した私の祖父は生まれて死ぬまで一貫してフツメンだった)

そんなこと言われて育った子どもたちはその柔らかな心で

「そうか、自分はブサイクなのか」

と信じて育ってしまい、それは人格形成に影を落とした。

「そんなひどいこと言われて、ムカつかなかったの?」

と法事だか結婚式で聞いてみたことありますけど

「全然。

 そのとおりだよなーって思うだけ。

 お母さんは美人だったからね」

と言っていた。

悲しいね…死別してなお親をかばうんだね…。

【尊厳を取り返すとき】

そんな祖母の子どもたちだったんですけど、数年前(もしかして去年とかか?)に実家にて断捨離だか掃除の手伝いをしている時に、両親の結婚式写真が出てきたことがあった。

若かりしときの母がドレスと着物で写っていて、

「これ結婚式でしょ?

 かわいいねー」

と母に持っていって見せたら、目からウロコがボロボロ取れたみたいな不思議な表情をして母が

「……うん、かわいい…。

 おばあちゃんからいつもいつもブサイクだって言われてたから自分でもそう思い込んでいたけど…。

 お母さん、かわいいね!!!」


と言った。

そして

「どうしてあんなに、醜いって思っていたんだろう…。

 もっと自信もって楽しめばよかった…」


と悲しいような、達観してるような、そんな目をしたのだ。

それ聞いて我が親ながら

「よかったねぇ…」

とウルウルですよ私。

母が幼い頃奪われた自尊心を取り戻した瞬間でした。

そのとき思ったんですよね。

何才でも自尊心は取り返せるんだ、遅いことも早いこともないんだと。

生きてるうちに取り戻して本当に良かったなぁと思いました。

母が取り戻せたのは、自分の人生を彼女なりに頑張ってきたからもしれないし、祖母がいなくなってずいぶん時間がたって心が回復したからかも。

いずれにしても、自分で取り戻したことに変わりはない。

生きてるだけでも充分頑張ってるのだしね。

【一応、分析しておくと】

一応孫として分析しておきますと…。

祖母って戦前~戦中~戦後に人生がかぶっていて、苦労は大変なものでした。

祖母の両親はとても美しい人たちだったけど(初めて写真みたとき驚いてこけそうになった。なぜこの美形遺伝子が一筋も受け継がれないのかと…)時代の荒波にのみこまれて経済的にも精神的にも追い込まれる中で子どもたちへの仕打ちはそりゃーひどいもので、特に一番しっかり者だったという祖母への仕打ちはあまりに彼女がかわいそうで書けないくらい。

また前時代もいいところな頃ですから、祖母は財産の死守・出産・家事・育児・介護と働きつづけた。

娘時代はお給料のほぼ全額を巻き上げられていたという噂もあったとか。

確かめようがないけどね。

「そんな目にあったら、そりゃ心がぶっ壊れるよね」

と思う。

けど…そのしわ寄せを受けた子どもは被害者でしかなく、

「あの人はかわいそうだから、お前たちが我慢して」

とはぜったいに言いたくない。

ただ、子どもに恐ろしい呪いを言葉をはかせるまでに至るまでは彼女も被害者だったのは疑いようがない。

一人一人が時代や社会の大きなうねりの被害者で、それを優しい人・弱い人にぶつけて加害者になっていく。

『名探偵ポワロ』のドラマでデビッド・スーシェさん演じるポワロが

「いい人だが、罪を犯す。

 世の中はそんなことだらけだ」


と語る場面がありましたけど、まさにそれだよね。

ちなみにうちの祖父の場合はあの時代に珍しく母性的な人だったので優しい人だったんですよ。

祖父も子どもたちと一緒に火山のように爆発する祖母にひたすら耐えた。

祖母には祖母の不満があるだろうから夫婦関係は一方的にいい・悪いとは言わないでおこう。

毒親問題は毒親自身が発達障害で生き辛さを抱えていて、その反動が子どもに向かうケースが少なくない、といいますが、祖母の場合は発達障害というより生育環境からの重篤なトラウマが毒になったんだと思う。

(これはあくまで私の勝手な意見でなんの根拠もないけれど、毒親が発達障害型か否かを見極めるポイントは家事能力だと思ってる。

 家事は並行作業と無理難題の連続なので、バランス感覚が問われる。

 料理がとんでもなく下手・片づけられない・金銭管理ができない…はそうとうあやしい。

 と私は勝手に思ってる。

 祖母は乳児かかえながら家事も介護もしっかりやり抜いたらしいので。

 料理も掃除もお裁縫も上手だったし)

【自分が一番癒やせるのは、自分自身】

「お母さん(お父さん)はかわいそうだ」

という気持ちは、ほとんどの毒親育ちが持っているもので罪悪感に苛ませるものでしょう。

その気持ちを無理に手放す必要はないけれど、自分が一番癒やせるのは自分自身だと私は思う。

だから

「お母さん(お父さん)を救ってあげたい」

の前に子どもたちには自分を助けて回復してほしいなと思います。

自分が回復することで新しい世界を見つけたり、誰かの力になったりもできるのだから。

というかやっぱりね、誰かから自尊心を…尊厳を。生命を。魂を奪っちゃいけないんだよ。

それは冒涜。

生にも死にも。

だから取り返そうよ、自尊心。

すっかりマヒされていた人が多いと思うけど、自分をあまりに嫌ったり醜いと思い込むのはぜったいにいいことじゃないと私は感じてる。







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