【原作漫画は時代を超えた名作なのですよ】
池田理代子さんの『ベルサイユのばら』、今更私が説明する必要もない名作漫画のひとつ。
今年(2022年)はベルばら誕生50周年という記念の年なのだそうで、イベントがたくさんあるみたいですね。
宝塚ファンの中でも
「再演するのでは…?!」
とざわざわしていました。
宝塚版『ベルサイユのばら』は初演から大ヒット。
当時の宝塚を存続危機から救ったと言われていて、またこれをきっかけに宝塚を志しスターとなったタカラジェンヌさんがOG・現役ともにたくさんいらっしゃるから宝塚の遺産でもあるのでしょう。
そんな宝塚版、根強いファンがたくさんいらっしゃる一方で宝塚ファンの中でも
「古い」
「再演嬉しくない」
の声がちらほら…
でもそれは、原作漫画が古いわけでは全く無い。
むしろ原作の大切なところを宝塚版がかき消してしまったからこそ歓迎されていない、と私は感じています。
宝塚ファンさんて命かけてファンやってる人が本当に多いので、原作がある作品だったらちゃんと読み込んでくる人が多い。
演じるタカラジェンヌ(宝塚歌劇団の団員)さんもそう。
原作読み込まない人の方が珍しいんじゃないかな。
原作漫画は古くさいどころか、50年前に誕生した作品とは思えないほど時代を超えて“人間とは”“生きるとは”を描いた作品なのです。
作品の舞台はフランス革命前後だけどね、そこにこめられた気持ちや生き様は時を超えている。
むしろ今の価値観だからこそわかるところがいっぱいある。
主人公のオスカルは男として育てられ男の軍服を纏った麗しい美女だけど、
「女の子として育てられたかった」
なんて描かれていません。
どころか最後には
「私を男として育ててくれてありがとうございます」
と父親に言う。
ここではジェンダー論に通じる深い描写がなされています。
彼女をずーっと想い続ける幼馴染みのアンドレだって“オスカルらしいオスカル”が好きだとぶれずに描かれています。
「女らしくしろ」
とか
「ドレスを着ろ」
なんていわない。
ジェンダーと並んで差別・貧困のテーマも丁寧に描いている。
この記事(→・「そんなの存在しない」にSay Goodbye.)にも書いたけど、庶民の貧しい暮らしを目の当たりにしたオスカルが
「自分の考えてた理想や正義は現実を何も知らずに考えてた絵空事にすぎないんだ」
とショック受ける場面は今読むと時代を超えすぎてて怖い。
『ベルばら』は連載当時から男性人気も高かったそうで(私の父も集めてたらしい)、今10代以下の未来のジェントルメンが読んでも
「コテコテの古典少女漫画かと思ったら重厚な歴史ファンタジーだった」
とショック受けること多数なんだとか。
女だって重厚な歴史もの好きだけどね。
美男美女、切ない恋、幸せな恋、そういうロマンティック要素も人気のひとつだろうけどもっともっと根源的な
「人間の物語」
に魅了される人が多いはず。
で、ですよ。
すでに多くの方が指摘されているけれど、宝塚版『ベルばら』はそこの描写が意図的に少なめなんですよ。
男女の恋、にスポット当てすぎ。
しかも古典的な
「女かくあるべし、男かくあるべし」
が感じ取れてしまうので原作と乖離するし、そこが古臭いと感じられてしまうのだと思う。
池田理代子さんと凰稀かなめさん(元宙組トップスター。オスカルを演じられた)のトークショーでたしか池田さんが
「宝塚の先生はオスカルを妙に女性的に描きたがりますよね」
的なことをおっしゃっていたような。
でもそれ=古典的な価値観で女らしいオスカル、って原作のオスカルと違うでしょう。
原作ファンが(男女関係なく。むしろ男性ファンの多くはオスカルのファン。マリーやロザリーのファンより圧倒的に多い)今も昔も愛するのは
「オスカルらしいオスカル」
じゃないのだろうか。
この漫画が時代を先駆けてるのは池田さんの歴史を知るとわかるんだけど、彼女自身が
「女らしさ」
「女かくあるべし」
とけっこう戦っているんですよね…だからこそのオスカル、ベルばらかと。
※池田理代子(Wikipedia)
学者を志していた女の子が
「女に教育なんかいらん」
と“あの時代の価値観”で大学進学を疎まれ、それでも頑張って入ったけど1年で金銭援助は打ち切られてしまうから漫画を書いてお金を稼いだというのだから…そりゃー古典的価値観礼賛はしないよね。
さて、タイトルのこと。
宝塚版『ベルサイユのばら』はそろそろ、原作遵守のNEOバージョンを作ったらいかがでしょうか。
ファンは、時代は、待ってると思います。
というか待ち焦がれている(笑)。
今までの古典式も根強いファンがいらっしゃるでしょうからクラシックとして大事にして、でもNEOは求められてるよ~。
個人的にはカッコいいミュージカルにしてほしいんですよね。
従来のベルばらは型が決まってて、それを守りすぎるとNEOにはならないと思う。
私の周りではペガサスと御覧なさいが不評…しかし大ファンもいるので、それはクラシック版で守ると。
原作者の池田さんがせっかくオペラ歌手でもあるのだから、監修していただくとか…?
NEOベルばら観たいなあ~
そしたら宝塚もますます人気が出るし、また素晴らしい原作漫画も読まれるし、素晴らしいと思うのです
池田理代子さんの『ベルサイユのばら』、今更私が説明する必要もない名作漫画のひとつ。
今年(2022年)はベルばら誕生50周年という記念の年なのだそうで、イベントがたくさんあるみたいですね。
宝塚ファンの中でも
「再演するのでは…?!」
とざわざわしていました。
宝塚版『ベルサイユのばら』は初演から大ヒット。
当時の宝塚を存続危機から救ったと言われていて、またこれをきっかけに宝塚を志しスターとなったタカラジェンヌさんがOG・現役ともにたくさんいらっしゃるから宝塚の遺産でもあるのでしょう。
そんな宝塚版、根強いファンがたくさんいらっしゃる一方で宝塚ファンの中でも
「古い」
「再演嬉しくない」
の声がちらほら…
でもそれは、原作漫画が古いわけでは全く無い。
むしろ原作の大切なところを宝塚版がかき消してしまったからこそ歓迎されていない、と私は感じています。
宝塚ファンさんて命かけてファンやってる人が本当に多いので、原作がある作品だったらちゃんと読み込んでくる人が多い。
演じるタカラジェンヌ(宝塚歌劇団の団員)さんもそう。
原作読み込まない人の方が珍しいんじゃないかな。
原作漫画は古くさいどころか、50年前に誕生した作品とは思えないほど時代を超えて“人間とは”“生きるとは”を描いた作品なのです。
作品の舞台はフランス革命前後だけどね、そこにこめられた気持ちや生き様は時を超えている。
むしろ今の価値観だからこそわかるところがいっぱいある。
主人公のオスカルは男として育てられ男の軍服を纏った麗しい美女だけど、
「女の子として育てられたかった」
なんて描かれていません。
どころか最後には
「私を男として育ててくれてありがとうございます」
と父親に言う。
ここではジェンダー論に通じる深い描写がなされています。
彼女をずーっと想い続ける幼馴染みのアンドレだって“オスカルらしいオスカル”が好きだとぶれずに描かれています。
「女らしくしろ」
とか
「ドレスを着ろ」
なんていわない。
ジェンダーと並んで差別・貧困のテーマも丁寧に描いている。
この記事(→・「そんなの存在しない」にSay Goodbye.)にも書いたけど、庶民の貧しい暮らしを目の当たりにしたオスカルが
「自分の考えてた理想や正義は現実を何も知らずに考えてた絵空事にすぎないんだ」
とショック受ける場面は今読むと時代を超えすぎてて怖い。
『ベルばら』は連載当時から男性人気も高かったそうで(私の父も集めてたらしい)、今10代以下の未来のジェントルメンが読んでも
「コテコテの古典少女漫画かと思ったら重厚な歴史ファンタジーだった」
とショック受けること多数なんだとか。
女だって重厚な歴史もの好きだけどね。
美男美女、切ない恋、幸せな恋、そういうロマンティック要素も人気のひとつだろうけどもっともっと根源的な
「人間の物語」
に魅了される人が多いはず。
で、ですよ。
すでに多くの方が指摘されているけれど、宝塚版『ベルばら』はそこの描写が意図的に少なめなんですよ。
男女の恋、にスポット当てすぎ。
しかも古典的な
「女かくあるべし、男かくあるべし」
が感じ取れてしまうので原作と乖離するし、そこが古臭いと感じられてしまうのだと思う。
池田理代子さんと凰稀かなめさん(元宙組トップスター。オスカルを演じられた)のトークショーでたしか池田さんが
「宝塚の先生はオスカルを妙に女性的に描きたがりますよね」
的なことをおっしゃっていたような。
でもそれ=古典的な価値観で女らしいオスカル、って原作のオスカルと違うでしょう。
原作ファンが(男女関係なく。むしろ男性ファンの多くはオスカルのファン。マリーやロザリーのファンより圧倒的に多い)今も昔も愛するのは
「オスカルらしいオスカル」
じゃないのだろうか。
この漫画が時代を先駆けてるのは池田さんの歴史を知るとわかるんだけど、彼女自身が
「女らしさ」
「女かくあるべし」
とけっこう戦っているんですよね…だからこそのオスカル、ベルばらかと。
※池田理代子(Wikipedia)
学者を志していた女の子が
「女に教育なんかいらん」
と“あの時代の価値観”で大学進学を疎まれ、それでも頑張って入ったけど1年で金銭援助は打ち切られてしまうから漫画を書いてお金を稼いだというのだから…そりゃー古典的価値観礼賛はしないよね。
さて、タイトルのこと。
宝塚版『ベルサイユのばら』はそろそろ、原作遵守のNEOバージョンを作ったらいかがでしょうか。
ファンは、時代は、待ってると思います。
というか待ち焦がれている(笑)。
今までの古典式も根強いファンがいらっしゃるでしょうからクラシックとして大事にして、でもNEOは求められてるよ~。
個人的にはカッコいいミュージカルにしてほしいんですよね。
従来のベルばらは型が決まってて、それを守りすぎるとNEOにはならないと思う。
私の周りではペガサスと御覧なさいが不評…しかし大ファンもいるので、それはクラシック版で守ると。
原作者の池田さんがせっかくオペラ歌手でもあるのだから、監修していただくとか…?
NEOベルばら観たいなあ~
そしたら宝塚もますます人気が出るし、また素晴らしい原作漫画も読まれるし、素晴らしいと思うのです