「丹野浩之(たんのこうし)君って、俺らよりひとつ年上の人がやってる
茶園のお茶だけど、仕上げはどちらかと言うと淺蒸しの仕上げに近いので、
形はつんつんしていて、急須の中で葉っぱが開くまでに少し時間がかかるだ。
だけど、お茶の色は濁らずに、パンチの効いたキリッとした口当たりで、
香りも強い。
飲み干してから口の中に甘みが残ってて、冷めてからでもしっかりとした味が
あらいなぁ。丹野さんとこでよかったら、話しをしといてやるぞ。」
さすが各地の茶畑に、防霜ファンを取り付けてる人間の言うことだけある。
そこで摘採されるお茶の特徴を、しっかりと捉えている。正直驚いた。
「助かるやぁ。頼んでいいかねぇ。」
数日後、私は、丹野園に電話をした。
人と人とを結ぶ「静岡やすま園」 <http://www.yasumaen.jp>
静岡やすま園
〒431-0427
湖西市駅南1-3-1
パレマルシェ新所原店内1F
TEL:053-577-5357
FAX:053-577-5355
毎年11月は、森町の一大イベント「遠州 森の祭り」がある。
9月下旬頃から、毎晩のように、夜な夜な35歳までの若い衆が寄り集まり、
祭りの準備をしていく。
ある夜、私は、0場に相談を持ちかけてみた。
「川根茶飲んでみたいだけど。誰か、うまいお茶つくってる人知らん?」
「あのなぁ。ひと口に、川根のお茶って言ったって、三川根町あるだぞ。
仕上げの仕方も淺蒸し・中蒸し・深むしといろいろあるし、どんなお茶
が飲みたいだ?」
「そりゃどうせ飲むだったら、一番うまいお茶だいなぁ。」
連れにしか言えないこの無礼な言葉に、怒りもせず答えてくれるのが友である。
「丹野園のお茶は、うまいぞ。」
「丹野園。有名か?」
後々、この質問がいかに愚かだったかを、私は気付くことになるのである。
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一度は川根茶を飲んでみたい!
そんな時に、救いの手をさしのべてくれる人はいるものだ。
持つべき者は、友である。
私の幼なじみに茶園の防霜ファンを設営・管理・修理をする0場という
同級生がいる。
茶園の防霜ファンとは、冬期に茶園が、寒害・霜害の被害を受けやすいときに、
自然の気流に逆らわないように人工的な大気の流れをつくり、被害を最小限に
食い止めるための茶園の周りに立っている大きな扇風機のことである。
全国的に最も普及している方法で、防霜対策として全国の約80%がこの方式を
とりいれている。
「そうだ。今度、0場に会ったら川根茶の事を、聞いてみよう。」
川根茶 第三章 につづく。
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「ここのお店には、川根茶はないの?」
「申し訳ありません。当店のお茶の産地は、森町になります。」
「そう。森のお茶もおいしいけど、主人は川根のお茶が好きなのよね。
残念だわ。」
そのまま立ち去るお客様の後ろ姿を、ただ私は、見送るだけだった。
「川根茶か・・・。」
川根茶とは、
三大茶産地のひとつ川根町は、私の生まれ故郷森町から、車で春野町を抜けて、
ひと山ふた山超えれば見えてくる。そこで摘採される上質なお茶が川根茶である。
そんなに遠くには位置しない場所だが、高校時代遠足で、大井川鉄道に揺られ
一度足を踏み入れただけ。知り合いなどは、もちろん一人もいない。
しかし、お客様の声とあれば、一度は川根茶を飲んでみたい。どうしよう・・・。
川根茶 第二章 につづく。
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