「男はつらいよ」シリーズ全48作の放映が、ついに終了。
最終回作品は、「寅次郎 紅の花」であった。
この作品では、冒頭に岡山県の美作地方、勝山、津山などが登場した。
締めくくりに、なじみのある地方が登場することは、なんとなく面映ゆく感じた。
寅さんは、現実離れした人、既成の常識や概念を超越した滅茶苦茶な人である。
それでも山田監督は、「滅茶苦茶なるがゆえに、非常時には大活躍ができる人」ともコメントしている。
また「思春期」について、監督が自分の体験として説明していたのは、
「ああなんと素敵な人かと惚れ込んで、すぐに俺のようなものでは到底幸せにできないと諦める」
この間たったの30秒だったそうなのである。
寅さんの心境も、このようなものであると言う。
さらに、映画の制作にあったって、
1. まず映画の構想を組み立て
2. マドンナを決め
3. 原作・脚本を書く
のだそうである。
なにしろ、48作中39人のマドンナが登場するのである。
失恋48連発なのか、39連発なのかはよく判らないが、
寅さんは、とにかく不器用で「永遠の思春期」を過ごしていると言う。
なんと素晴らしいことであろうか、羨ましき限りである。
我々観衆は、喜劇と失恋という悲劇とが織り成す場面から、元気や活力をもらっているのである。
「トップにならなくてもいい、日本人らしく生きたい」と訴えたいと監督は言ったが、
小生は一人旅で、「永遠の思春期」を過ごしたいと念願している。