国道を走行中、軍用車両の車列に出くわした。
なぜか、実弾演習場に近い、奈義町現代美術館を訪れたとき聞いた、大砲の音を思い出した。
1分に1回程度、“ドオオーン”と鳴るのである。
この音は、とても純粋な、ドオオーンという澄んだ音であるのに驚かされた。
まるで、低音用の太鼓を叩いていたような、楽器的な音がするのであった。
地域の住民にとっても、それほど不快な音でないのかもしれないと感じたのであった。
更に、連想として、ピストルの音を思い出した。
数十年前のことである、A国以上に危険な国と評されていた南米の某国でのこと。
国家・州・市の全ての警察が腐敗し、全く信用出来ないため、自前で警備会社を雇って、自己防衛をしなくてはならない状態の貧しい国でのこと。
そんな関係で、ホテル・銀行・企業は、銃を持ったガードマンだらけ。
住民の多くが、銃器を所持していたのであった。
夜、ベッドで小説を読んでいたとき、パンという乾いた音がし、ホテルの前の通りが騒がしくなった。
安全第一と、“知らぬ顔のはんべい”を決め込んで、直ぐ寝てしまった。
翌朝、新聞を見ると、ホテルの近所のキャバレーで、男がピストルで射殺されたと書いてあった。
映画もどきの“ダダーン”という、勇ましい音では決してなかったのであった。
このときの音も、乾いたとても純粋なパンという音であった。
軍用車両から、殺伐としたことを、思い出してしまった。