12345・・・無限大  一粒の砂

「一粒の砂」の、たわごと。
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花のなごり

2007年06月26日 08時29分23秒 | Weblog

「三屋清左衛門 残日録」の続き。
以前、次のように書いた。

“ドラマの題は、「花のなごり」である。
手持ちの単行本には、この題が見当たらないのである。
さてさて、いかなるものなりやと、楽しみにしている。 “ 

 ドラマを見て、この話は、手持ちの単行本の、「ならず者」という題の話に酷似していると思った。

ドラマでは、「涌井」のおかみ「みさ」の男(ならず者)出入りがある程度描かれているが、原作ほど大きくは扱われてはいない、どちらかといえば、脇役的な話しであった。

 ドラマの本筋は、清左衛門より二つ三つ若い、“まじめのかたまり”と評判の半田守衛門のこと。

 彼は、江戸屋敷で有能な御納戸頭を勤めていたが、収賄事件を起こしたとして、家禄を五分の一を削られ、役職を免ぜられた上、国勤めに変えられた。

清左衛門は、十年ほど前、この事件の取り調べの一端を担ったのであった。

この度、それは冤罪ではないかとの疑いで、その調査を清左衛門は、このたび、殿より依頼されたのであった。

真相は、下役のTというものが、自己の栄達のため、使い込みの罪を、守衛門にかぶせたという陰謀であった。

こんな経緯で、濡れ衣を着せたのではないかと、清左衛門が悩むのである。
そして濡れ衣であった由、清左衛門はわびたのであった。

守衛門は、十年前、無実の罪に服することをよしとせず、腹かっさばいて、武士の面目を保とうと思ったが、

妻や子の哀れさを思い、一切の武士の誇りを捨て、家族のためあらゆる恥辱に耐える決心をした、と清左衛門に語ったのであった。

守衛門は、国許でも持ち前の実直な勤めを続けたのである、
ところが、孫が重い病にかかり、やむなく城下の商人から賂(まいない)を受け取っていたのである。

 十年前は冤罪であったが、国許での孫の薬代のための収賄は、明らかな犯罪である。

これらの事件を知った清左衛門は、その解決に心を砕くのである。

実直・誠実・勤勉な安サラリーマンの悲哀を描こうと、ドラマの制作者たちは原作を改めたように思えた。

それ故、題を「花のなごり」としたのであろうと思った。
原作をしのぐできと思えるのだが・・・。

小料理屋のおかみ「みさ」と、このことを話したとき、清左衛門は、

「時が戻らんかのー・・・(十年前に戻ればよいのにと・・・という風に受け取った)」と呟くのである。

人の人生、やり直しが出来れば、どれほどよいことであろうか・・・。

 

本日火曜日は、またドラマ放映の日である。楽しみにしている。