6月29日に古書展で買った「ゆきえ」という本。
<本のコピーより>
「原日本、隼人の大地を舞台に、命の糧の水を引き、その為に
非業の死を遂げた少女の物語。」
☆高橋ちえこ著「ゆきえ」/高城書房 (1998/03)
☆高橋 ちえこ
鹿児島県鹿児島市出身
著書には「筑紫の日向の宇佐邪馬台国 」 新風舎 (2003/12)
「宇佐邪馬台国?もうひとつのまほろば 」葦書房 (1984/06)
などがある。
https://www.amazon.co.jp/高橋-ちえこ/e/B004L20634/ref=sr_ntt_srch_lnk_26?qid=1518239496&sr=1-26&follow-button-add=B004L20634_author
関連して邪馬台国に関する面白い一覧があった。
http://inoues.net/waj.html
☆☆☆
それにしてもこの高橋ちえこさん、一体どういう人なのかと興味が湧いてきてググってみたけど
あまり詳細は出ていなかった。
この「ゆきえ」という本は、著者の創作ですが、 その元になる少女の伝説は地元に残っているものだとか。
2つの川(北の山田川と西の蒲生川)に挟まれていながらも、川よりも高台にある集落のため水が引けずに稲作も出来ず、厳しい年貢取り立てなども重なり困窮する暮らしに、大人たちは隠れ念仏で神仏にすがるしかない。そんな状況の中、ひとりの少女「ゆきえ」が、川の上流部分から自分たちの集落に水を引くことを思い立ち、集落上げて取り組んだ末に水の恩恵を受ける暮らしを手に入れることが出来るのだが、それがもとで、大人たちの様々な思惑のために非業の死を遂げる、といった話。
鹿児島弁を織り交ぜて書かれているのだけど、巻末には標準語訳も出ているので、その辺りに関しては 比較的わかりやすく読めます。
地元鹿児島の話といっても、私としては日頃関わりを持たない地域(隼人および姶良加治木方面)のことで、最初は少し馴染むのに時間を要しましたが、太古の昔からの習わしとか 舞台になる「中津野」という地名は大分県中津が由来名である、 とか、またそのいきさつなども書かれていて、 思わず引き込まれて読み進めずにいられない本でした。 詳細について検証する能力は全く持ち合わせていませんけどね。
ただ、途中で現代に置き換えたり外国の歴史などを引用して例え話になったりするために、ちょっと戸惑うところもあったり。
物語の舞台が、県内でも位置的にはわりと鹿児島市内から近い 場所なので尚更興味深いのだけど、ちょっと摩訶不思議な印象も 受ける本でした。
最近自分自身の先祖「名越左源太」に関わるサイトを調べたり 手許にある「南島雑話の世界」や史料を読んだりしている中で、 これは江戸時代末期の農家の様子を知ることが出来て、また、 郷土の歴史の違った面を感じ取れたのは今回の収穫でした。
☆☆☆
余談ですが、著者の名は私の母の名と同じ音、 生み出された本は私と同じ名だったので、
「これは買わないわけにはいかないでしょー」と 購入したのでした。ちょっと面白いでしょ?(笑)