さてさて、ようやく本船に戻った一行は、いよいよ本州の旅へ
『都見物日記』は第二章に入ります
『都見物日記』(二)‥‥ ① (送り仮名など、表記は掲載されたそのままを表示しています)
四・二一 今日天気宜敷 少し風出(イデ)晴上り はだもち着物一枚は寒さになり、八時過に飯、今日もひるね(朝四時より船、出帆)して少しも揺るることもなく走り行き候、ひるめしたべ候が一時也。珍らしき処をひるより絶えず眺め 面白き事、淡路島と申所を眺め候に 流れが大きな処なり。又かたわきは一の谷と申所を見、程なく地かたに着(ツキ)、兵庫港(ミナト)に入候、三時過に薩摩屋へ着、此処もよき宿屋にて候、直(スグ)と 名越家と川上方へ端書(ハガキ)さし出し候也。
夕飯たべると五人連れにて神戸楠公社へ参詣、帰りには女郎屋見に行き、少しは早き故 其時迄は見世にでおらず 只々立派丈み申候 而 早く宿屋へ帰り候 これも面白き事也し。夜入過(ヨノイリスギ)に帰りて 又少し五人にて酒さしみにて飲み方いたし候処、名越氏の知人 鈴木信弥と申人来り 又チンと(※おそらく「ほんの少し、ちょこっと」の意?)吸物一ツさし出(ダシ) 飲み方にて候。其客人帰りしより 皆々もいね 久々にてゆるゆるとやすみ候事也
「飲み方」というのは鹿児島で使われる表現で「飲み会」とか「酒飲み」のことです。19日の金比羅参りの時にも、金額を「どしこ(いくら)」と記していて、こういうちょっとしたところから、イサさんも鹿児島弁を使っていたのだろうな、と思われますね。
最後の「久々にてゆるゆるとやすみ候事也」を読むと、ここに来てようやく一息つけた様子がわかりますね