いよいよ大学が始まった。
しかし雪は常に眠そうである。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/05/15e7d27b347c21523ddb37107f1d29b6.jpg)
実家から大学まで通学に二時間かかるので、夜遅くまで勉強しようものなら、
睡眠時間が確保出来ないのが悩みなのである。
奨学金を得るために毎日勉学に励む雪だが、聡美から現在の全体首席は青田先輩なのだと教えられる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/33/54/26094f7360b88b1733c3844722829b13.jpg)
学年首席は雪なのだが、学科全体の首席は青田先輩なので、雪は全額奨学金を受けることが出来なかった。
悔しいが、努力の結果ならしかたがない。
しかし雪は初め、彼がバカなんじゃないかと思っていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/c4/a075189c5bdeb81399202c180bedd7e5.jpg)
ニコニコと笑いながら飲み会で皆におごったり、簡単にノートを貸したりするからだ。
しかしバカでは首席になれるわけなく、ではその真逆‥恐ろしく頭の切れる男なのかもしれないと思うようになった。
彼に対する不信は依然として解けることなく、胸にモヤモヤとしたものが常に残っていた。
だが聡美からは「あの先輩は大学でも有名な人だから、あんたも良い顔しときなね」とも言われている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1d/1b/322c070b0892a61379d3ac3b52314153.jpg)
大学始まって最初に挨拶したとき、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/a6/1647405a8192ced24d8571f9caeac3f5.jpg)
初めこそ笑って返してくれたものの、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/0d/bad70428d7c6c5a7e1c744c27ae3e3bd.jpg)
すぐに視線を外された。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/5d/7556cad7cc29eb7ca13475681e4033c5.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/7e/74a3dcd7e394f60e819d454696e9fdcb.jpg)
その後会う度に挨拶をし続けたが、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/68/e5/79e8e066bf3949cc0576cd05a0ada184.jpg)
ことごとく無視されるようになった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/12/1351ce2144db3063fdfe47a8d77c578a.jpg)
こうなったらもうあからさまだ。
二度と挨拶なんかするもんかと、雪は彼に背を向けた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
淳の学生生活もまたスタートした。
構内を歩くと、色々な人間から声をかけられる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2b/c9/5fdc2333e1aa186230b26786ea13b486.jpg)
あの空気が読めない新入生。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/28/0d4370f7c26942a11ebd30348df078dd.jpg)
「いつも女遊びどこでしてるんすか~?今度連れてってくださいよ!」
お調子者で騒がしい後輩、横山。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/09/9e56ac567722f08106fc0200fcd510fe.jpg)
健太先輩、女学生たち、顔が判然としない同学科の学生。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/36/03/ee44dfe49376f26fb715e2121131c59a.jpg)
あの馬鹿騒ぎしていた汚らわしい女。
この女は特に、この間大学を歩いている時に聞いてしまったものもある。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/51/4ec8e3f12cb21bb2909c04af67c026e4.jpg)
空き教室で、友人と二人で話していた。
「有名な先輩だってば。あんたも挨拶しっかりして、いい顔見せときなさいよ。親しくなって損はしないんだから」
「んー‥、確かに‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5b/aa/858512f6b86c6cb9c151d69b2d7ff702.jpg)
こんなことは日常茶飯事だが、背を向けるのには十二分な動機だろう。
自分に近寄ってくる人間の一人に、平井和美がいた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/26/a3/fbb41d4e0825e1cc3ef8304d505be148.jpg)
入学時は首席で入ってきて、美人でスマート。やっかいな性格だが、利用できるところがあった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/82/e47187de53f2b3c8a7e911a511a6eac2.jpg)
彼女が側にいると、あの新入生たちや女後輩たちが寄ってこないのだ。
「先輩、新学期が始まった途端色々な人に声をかけられて大変ですね」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2b/8f/405862528c1d592ff60e3b40f6ab45ed.jpg)
そう口にする平井和美は、あの空気の読めない人間たちよりはいくらかマシだった。
二人で歩いていると、前をあの女が歩いていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/94/c763f7def27484e7351c63b8dd3eb282.jpg)
平井とあの女は同期だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/85/b0878e4e0df4020b89f0f25235d7f30c.jpg)
平井が「雪ちゃ~ん、元気?」と声をかけると、あの女は形式的な挨拶を返して、そそくさと去っていった。
後味の悪い顔をした平井が、「先輩、あの子知ってます?」と続ける。
「赤山雪っていって、今回次席だった子なんですけど、先輩が頭いいからって接しにくいみたいですよ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/8d/1c0ceb8e9d4c87d50cf5d15cc340b18d.jpg)
意外だった。
あの子が次席?と淳は小さくなった後ろ姿を見送った。
「でもあまり礼儀を知らないみたいですね。上には上がいるんだから、
たとえ次席でも満足するのが当り前なのに」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/53/a1d96ad517903a3bbbe180ea8210580e.jpg)
平井和美が不満そうに言う。
教室へと歩きながら和美は「先輩金曜日空いていますか」と誘ってきたが、先約があると断った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
二人の新学期の始まりです。
互いに悪印象ですね‥。
しかしこれからもっと悪くなっていきます‥。
しかし雪は常に眠そうである。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/05/15e7d27b347c21523ddb37107f1d29b6.jpg)
実家から大学まで通学に二時間かかるので、夜遅くまで勉強しようものなら、
睡眠時間が確保出来ないのが悩みなのである。
奨学金を得るために毎日勉学に励む雪だが、聡美から現在の全体首席は青田先輩なのだと教えられる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/33/54/26094f7360b88b1733c3844722829b13.jpg)
学年首席は雪なのだが、学科全体の首席は青田先輩なので、雪は全額奨学金を受けることが出来なかった。
悔しいが、努力の結果ならしかたがない。
しかし雪は初め、彼がバカなんじゃないかと思っていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/c4/a075189c5bdeb81399202c180bedd7e5.jpg)
ニコニコと笑いながら飲み会で皆におごったり、簡単にノートを貸したりするからだ。
しかしバカでは首席になれるわけなく、ではその真逆‥恐ろしく頭の切れる男なのかもしれないと思うようになった。
彼に対する不信は依然として解けることなく、胸にモヤモヤとしたものが常に残っていた。
だが聡美からは「あの先輩は大学でも有名な人だから、あんたも良い顔しときなね」とも言われている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1d/1b/322c070b0892a61379d3ac3b52314153.jpg)
大学始まって最初に挨拶したとき、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/a6/1647405a8192ced24d8571f9caeac3f5.jpg)
初めこそ笑って返してくれたものの、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/0d/bad70428d7c6c5a7e1c744c27ae3e3bd.jpg)
すぐに視線を外された。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/5d/7556cad7cc29eb7ca13475681e4033c5.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/7e/74a3dcd7e394f60e819d454696e9fdcb.jpg)
その後会う度に挨拶をし続けたが、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/68/e5/79e8e066bf3949cc0576cd05a0ada184.jpg)
ことごとく無視されるようになった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/12/1351ce2144db3063fdfe47a8d77c578a.jpg)
こうなったらもうあからさまだ。
二度と挨拶なんかするもんかと、雪は彼に背を向けた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
淳の学生生活もまたスタートした。
構内を歩くと、色々な人間から声をかけられる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2b/c9/5fdc2333e1aa186230b26786ea13b486.jpg)
あの空気が読めない新入生。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/28/0d4370f7c26942a11ebd30348df078dd.jpg)
「いつも女遊びどこでしてるんすか~?今度連れてってくださいよ!」
お調子者で騒がしい後輩、横山。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/09/9e56ac567722f08106fc0200fcd510fe.jpg)
健太先輩、女学生たち、顔が判然としない同学科の学生。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/36/03/ee44dfe49376f26fb715e2121131c59a.jpg)
あの馬鹿騒ぎしていた汚らわしい女。
この女は特に、この間大学を歩いている時に聞いてしまったものもある。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/51/4ec8e3f12cb21bb2909c04af67c026e4.jpg)
空き教室で、友人と二人で話していた。
「有名な先輩だってば。あんたも挨拶しっかりして、いい顔見せときなさいよ。親しくなって損はしないんだから」
「んー‥、確かに‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5b/aa/858512f6b86c6cb9c151d69b2d7ff702.jpg)
こんなことは日常茶飯事だが、背を向けるのには十二分な動機だろう。
自分に近寄ってくる人間の一人に、平井和美がいた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/26/a3/fbb41d4e0825e1cc3ef8304d505be148.jpg)
入学時は首席で入ってきて、美人でスマート。やっかいな性格だが、利用できるところがあった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/82/e47187de53f2b3c8a7e911a511a6eac2.jpg)
彼女が側にいると、あの新入生たちや女後輩たちが寄ってこないのだ。
「先輩、新学期が始まった途端色々な人に声をかけられて大変ですね」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2b/8f/405862528c1d592ff60e3b40f6ab45ed.jpg)
そう口にする平井和美は、あの空気の読めない人間たちよりはいくらかマシだった。
二人で歩いていると、前をあの女が歩いていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/94/c763f7def27484e7351c63b8dd3eb282.jpg)
平井とあの女は同期だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/85/b0878e4e0df4020b89f0f25235d7f30c.jpg)
平井が「雪ちゃ~ん、元気?」と声をかけると、あの女は形式的な挨拶を返して、そそくさと去っていった。
後味の悪い顔をした平井が、「先輩、あの子知ってます?」と続ける。
「赤山雪っていって、今回次席だった子なんですけど、先輩が頭いいからって接しにくいみたいですよ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/8d/1c0ceb8e9d4c87d50cf5d15cc340b18d.jpg)
意外だった。
あの子が次席?と淳は小さくなった後ろ姿を見送った。
「でもあまり礼儀を知らないみたいですね。上には上がいるんだから、
たとえ次席でも満足するのが当り前なのに」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/53/a1d96ad517903a3bbbe180ea8210580e.jpg)
平井和美が不満そうに言う。
教室へと歩きながら和美は「先輩金曜日空いていますか」と誘ってきたが、先約があると断った。
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二人の新学期の始まりです。
互いに悪印象ですね‥。
しかしこれからもっと悪くなっていきます‥。
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