最近、読書への意欲はあるものの、のめり込んで読むほどの本に出合わない。
というよりも、私の読解力、集中力減退で読書をこころから楽しめない、感動できない。
これも一種の老化現象かと思うのだけれど・・・・・・・。
が、この本は違った!さすが浅田次郎、一気に読み終え感動し心揺さぶられた。
<シェエラザード 上下 浅田次郎著 図書館本>
以下内容紹介(上巻裏表紙より)
昭和20年、嵐の台湾沖で、2300人の命と膨大な量の金塊を積んだまま沈んだ弥勒丸。
その引き揚げ話を持ち込まれた者たちが、次々と不審な死を遂げていくー。
一体この船の本当の正体は何なのか。
それを追求するために喪われた恋人たちの、過去を辿る冒険が始まった。
日本人の尊厳を問う感動巨編。
(下巻裏表紙より内容紹介)
弥勒丸引き揚げ話をめぐって船の調査を開始した、かっての恋人たち。
謎の老人は50余年の沈黙を破り、悲劇の真相を語り始めた。
私たち日本人が戦後の平和と繁栄の内に葬り去った真実が、次第に明るみに出る。
物悲しい「シェエラザード」の調べとともに蘇る、戦後半世紀にわたる大叙事詩、最高潮へ。
これは推理小説ではないけれど、そのスリリングさは推理小説以上。
ドキドキしながら読み、あっという間に読了。
過去と現在が交じり合い、徐々に接点ができて繋がっていく。
現在に登場する人物と過去に登場する人物が繋がったとき、鳥肌が立つほどの感動。
謎に満ちたベールが徐々に剥がれていくたびに、悲しい事実が・・・・・。
最後は涙なしには読めなかった。
そして驚いたことに、あとがきで知ったのだが、この弥勒丸にはモデルがあったということ。
あとがきを読み、これは小説ではなく事実であったことに大きな衝撃を受けた。
第二次世界大戦中に起こった「阿波丸」の悲劇を素材にしているそうだ。
戦後生まれの私は知る由もなし、また夫にも聞いてみたが知らなかった。
国際法で攻撃してはならないとされていた豪華客船(当時は軍属)を攻撃した連合軍!
守らねばならない市民、民間人を楯に危険な航路を取らされた弥勒丸(阿波丸)!
連合軍にとっても日本軍にとってもこれは語れない恥部。が、これが戦争か?
決して後味のよい読後感ではなかったけれど、私の読書の中で忘れられない一冊となるであろう。
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今からこちらの本を読もうと思う方は阿波丸事件のことは知らない方がよいかも?