ようやく読了、朝井まかて著「ボタニカ」!500ページに及ぶ長さに途中何度も投げ出したくなったが、
朝ドラ「らんまん」と連動して何とか最後まで読み終えた。
牧野富太郎の生涯を小説化したものだそうだけれど、小説というよりほぼ伝記本。
著者朝井まかて女史の筆力に圧倒される。彼女の著書は「恋歌」に続いて2冊目。
朝ドラ「らんまん」の槙野万太郎の性格、生き方は本物牧野富太郎と全く同じ。
しかし「あらすじは」かなり違っている。その比較がまた面白く、読み進む原動力ともなった。
朝ドラ「らんまん」は完璧なフィクションだと思う。
<今朝のらんまんより>
最も興味深かったのは、牧野富太郎には恋女房寿衛と一緒になる時、すでに正妻がいたということ。
彼女は「猶」といい、富太郎の従姉に当る女性で、ドラマでは「綾」がその立場になるのかな。
猶は寿衛の存在を認め、困窮する二人に常に救いの手をさしのべる。よくできた女性だ。
当時(明治時代)はお家のために結ばれる結婚は珍しくなかったことかもしれないが。
私がどうしても腑に落ちないのは、牧野博士の経歴にはこの最初の奥方「猶」の名前は
一切出てこない、なぜ?
小説では牧野博士が番頭(ドラマでは竹雄に当るか)に猶との結婚を勧め、二人は一緒になる。
猶も幸せな晩年を迎えるので、よかったと思うけれど、牧野博士の功績にはこの猶の優しさもあったことを、
一言触れてほしいと思うのは私だけだろうか。
<牧野富太郎胸像とスエコザサ 大泉牧野富太郎記念庭園にて>
牧野富太郎博士は稀に見る運のいい男だと思う。
裕福な造り酒屋の生まれ、その私財を惜しみなく注ぎ込み研究に没頭、今でいうKY。
奇人変人、大学との軋轢もものともせず、そのひたむきな植物への愛と不屈の精神は、
多くの理解者を得て、91歳まで生き、偉大な功績を残した。
当時の91歳といえば、今では110歳ぐらいの当たるかもと思う。
自分の思うように生き、ストレスのない人生だったからこそ長生きできたのではないかと。
偉大な植物学者ではあるけれど、彼の生き方にはいろいろ思うところありの読書でした。
これからの朝ドラ「らんまん」が彼の生き方をどのように描いていくのか、また楽しみです。
まとまりのない読後感となりましたが、どうぞご判読ください。