猫猿日記    + ちゃあこの隣人 +

美味しいもの、きれいなもの、面白いものが大好きなバカ夫婦と、
猿みたいな猫・ちゃあこの日常を綴った日記です

大事なものはいつもココにある ~ 吸ちゃんが教えてくれたこと ~

2015年08月03日 13時23分41秒 | 吸虫顛末。

 

肺癌と疑われていたあの頃、すべてが大きな意味を持っていた。

 

 

実は、ゴンザの横浜マラソン出場や花見の頃は、
ちょうど『肺癌であろう』と言われていた時期なのだが。

そのことを知っていた友人たちは、
各自が、仕事にプライベートにと忙しい中、連日駆けつけてくれ、
一種、異様な活気を持って、私たち夫婦を励ましてくれていた。

ゴンザの同級生である彼らは、ゴンザに対するのと同じように、
常に私に気さくに優しく接してくれているが、
その時も何くれとなく親切にしてくれては、
笑いやユーモアも交え、支えてくれたものだ。

 

「これが最後なのかな」と、友人M君主催の屋形船から見た桜。

 



私の好物を携えて、毎日のように様子を見に来てくれたTさん。

家族ぐるみで「助けられることがあればなんでも言ってくれ」と、
そばにいて励ましてくれたY家。

息子のYTは、マラソン観戦中、
咳き込む私の背中を優しくさすり続けてくれては、
「大丈夫?」と、気遣ってくれた。

その母のYちゃんは、中国出身だが、私を『日本のお姉ちゃん』だと。

Mくんはただでさえ少ない睡眠時間を削って様子を見に来てくれた。

他にも、Kさん、Sちゃん、Nさん、Hさん、Kちゃん、Mちゃん、Cちゃん、Hちゃん。

同級生たちだけではなく、励まして下さったたくさんの人たち。

 

 

私の大好物、シャンパンやチョコを携えて、
毎日のように様子を見に来てくれたTさん。
忙しいのに...本当にありがとう。

 


今回の『肺癌騒ぎ』の中で、
私は、多くの不安や苦しさに晒されもしたが、
同時に多くのことを学んだ。

これまで、自分がどれだけ恵まれた環境にいたか。

健康がどれだけの宝なのか...
どれだけ自分が幸せか。

『人間嫌い』を自称する、偏屈で狭量な私が、
たくさんの人に囲まれ、優しくして頂くのは、
本当に申し訳なく、心苦しい限りだが、
考えれば、だからこそ、この『騒動』は、私の身に降りかかったのかもしれない。

忘れっぽく、傲慢な私に、『その感謝を、いつまでも忘れないように』と。

 

 

横浜マラソンに前後して、お店の五周年も。
一方では深刻なはずなのに、友人たちやお客様のおかげで、
本当に不思議な活気に満ちてもいました。



癌と言われ、蓋ならぬ、胸を開いてみたら、
あらまあびっくり、寄生虫騒動。

吸ちゃんとはもうすぐお別れだけど、
大事なものは、いつもココにある。

この胸に棲む、吸ちゃんが教えてくれた、たくさんのこと。

3つの傷跡と共に、ずっと残る。

みんなみんなありがとう。

...そして吸ちゃん。

退治しなくちゃならなくて、本当にごめんね。

 

吸ちゃん退治、いよいよ始まりました。

 


世の中には、今も病と闘う人がたくさんいて、
その、誰もの家族や友人が、それぞれ、完治と幸せを祈っている。

みんなが、私にしてくれたのと同じように。

明日も、あなたの家族や友人が、笑顔でありますように。

私も、心から祈っています。

ねぇ、吸ちゃん。









続・身に覚えアリ ~ 色んな意味で ~

2015年07月30日 03時16分52秒 | 吸虫顛末。

 

 

 目黒寄生虫館へ来たのは、これで二度目。

 


「私、寄生虫好きなんですよねぇ♪」

そう言ったとき、担当医は、

「そう?じゃあ好きならそのままとっておく?」

と、少々皮肉っぽく、冗談めかして言ったが。

彼は、『寄生虫』の宣告をした際、
おそらく、一般的な女性がとるのであろう、
「いやぁ~!」とか、「キャ~!」とかのリアクションを期待して、
「ほら、綺麗でしょ?」と、イタズラっぽく、拡大写真を見せたのだと思う。

が、実際、目の前の患者は、興味深々で身を乗り出しているとあって、
なかなかに複雑な表情である。

加えて、まさかあの後、その患者が、寄生虫博物館に行って、
標本と記念撮影をしたとは、夢にも思っていないに違いない。
 
 
 
吸虫ちゃんと一緒にはいポーズ♪(肺だけに)
 
 

寄生虫がわが身に宿るのに、身に覚えがないワケではない私。

なんでも日本じゃ、一時はこういった病は減少したものの、
近年のグルメブームと共に、再び増えてきているらしいというから、
美味しいもの、珍しいものとあらば、
進んで口にしてきた我々が、リスクに晒されやすいのは、
むしろ道理というものである。

さらに、身に覚えというなら、
折に触れ、寄生虫を見るたび、突ついたり分解したり、実験したりしてきた私に、
彼らの恨みが募っていたとしても不思議ではない。

言い換えれば、もしかすればヤツらが、
「いつかどこかで」と、逆襲の機会を伺っていたのかもしれないと、
なんだか妙な納得までしてしまう...(笑)

かといって、では興味を持たないで済むのかといえば、
そういうワケでもなく。

吸ちゃんについて調べてみれば、出てくる出てくる、
コワイ表記や解説が...

ヤツが私の体内をどう移動したのか。

どんな状態で暮らしているのか。

(やっぱりヤツらはスゲーぜ!詳しくはwiki兄さんに『肺吸虫』で聞いてね)

ひとつわかったことは、かつてこの寄生虫は、
やはり癌と間違えられて、切除されたりしたことがあったということである。

幸い、私はそこまではいかなかったが、
結局、胸膜を採取するまでは、原因は判明しなかったのだから、
『ヤツら』の逆襲も、ある程度は成功したと、
そう受け取ることも出来るのだろう。

担当医によれば、同じような症例には、

「僕もこれまで三人くらいしか、会ったことないよ」

ということだから、
やはりこれはよほど珍しいことなのに違いない。

「これくらい大きくて症例のある病院じゃなかったら、
おそらく原因は判明しなかったよ」と。

そういえば、昔はよく知られていた『ギョウ虫』も、
最近の若い医師たちは出会ったことがないために、
なかなか判明しないことがあるのだそうである。

今はなきポキール。
懐かしいね。

まあ、何はともあれ、皆さんも食べ物には気をつけて。

あ、そうそう!

目黒の寄生虫博物館で、職員さんに、
「コイツ、今、私の肺にいるんです」
と言ったら、大層びっくりされて、
「そっ...それはお大事にっ!」と、お見舞いの言葉を頂きましたよ(笑)

『寄生虫館』

面白い場所なので、ご興味のある方はぜひ!
 
(入場無料ですが、出入り口にある箱に寄付金のほうもぜひ)
 
 
 
 
寄生虫館で買った『寄生虫プリントバッグ』と、
吸ちゃんのことを調べる過程で見つけ、面白そうだとAmazonでポチッた本。
入院中はこれを読もう。










身に覚えアリ? ~ 青天の霹靂・完結編 ~

2015年07月29日 02時48分54秒 | 吸虫顛末。

 

 

ミラノにて、何を食べようか迷うクマ。

 

 

イタリアでの滞在は素晴らしかった。

遊び半分とは言いながらも、
今回はワインや食を含め、大いに勉強になることが組み込まれていたし、
前々から約束していた友人たちとの時間も、最高のものだった。

胸に水が溜まっている、とは言われながらも、
私は体調不良など、一切感じず行動が出来たし、
むしろ『体調』というなら、喘息様の症状を見せ始めたゴンザのほうが、
よっぽど病人に近かった。

ミラノに着いてからは、現地でお世話になった方から、
『日本人の先生もこちらにいるから安心して』と、言ってもらっていたし、
行かないほうがいいと忠告をくれた担当医には、
少々うしろめたさを感じながらも、
私は滞在時間をめいいっぱい、楽しんだ。

そうして、終始元気なままで帰国し、
原因究明のための、入院、手術ということになったわけであるが、
『ほぼ、癌ではないだろう』と言われた四月末から、
やはり肺の異常の原因は、ここにきてもわかっていなかった。

ただ、好酸球が高いこと。

IGg4という、自己免疫に関する数値が高いこと。

それだけがヒントで、
だからはっきりさせるためには、胸膜生検というのをやらねばならないと、
そういうことだった。

今思えば、おそらくそれは、ごく僅かに残った肺癌の可能性を、
確実に否定する要素のひとつでもあったのだと思う。

空いたベッドに、すみやかに入院した私は、
そのあまりの元気さに、
すぐ抜き始める予定だった胸水も

「抜かなくていいかもねぇ」

と、医師団に言わしめ、結局、生検手術だけを待つ身となった。

胸膜生検は、胸に三箇所の小さな傷をつけ、
そこからカメラや器具を入れて行う手術だそうである。

いわゆる胸腔鏡手術と呼ばれるもののようだが、
外科の若い、美しい女医の説明がテキパキわかりやすいこともあって、
なんの不安も感じなかった。

全身麻酔下で、
待っていたゴンザによれば一時間ちょっと。

目覚めた際の、傷口のものとはまた違う腕の痛みには大変難儀したが、
(どうも、痛み止めの効かない神経痛らしい)
翌日にはあちこちに刺さった点滴やら何やらの管もはずれ、
翌々日には無事に、最後に残っていた、
胸水を抜くためのドレーンもはずれた。

最近の医療は大したもので、手術後四日目には、もう退院である。

聞けば、抜糸も必要なければ、その後の消毒も通院も必要ないのだそうである。

私は来た時と同じように元気に退院し、
ひたすら、正しく今回の異変の原因が究明されることを待った。

担当医は、カビか、自己免疫疾患の可能性を疑っている様子。

外科医は、長いあいだ肺が潰れていたことで、体内に出来た隙間を、
水が埋めようとしたのではないかと、そう疑っている。

そして...

ひとつひとつ、様々な疾患の可能性が潰されてゆく中で、
ついに先週、原因が判明した。

「原因がわかったよ
 ...寄生虫だね」

「.....へっ!!?」

確かに、肺に巣食う寄生虫の可能性はゼロではないと途中から言われてはいたが、
まさか...まさか!

あらゆる食べ物を口にするのが、いわば仕事のような我々ではあるが、
肺に寄生する虫って...

寄生虫や変な生き物をこのblogで執拗にとりあげる私が、
その宿主になるとは、なんたる皮肉...
いや!運命だろう!

なんでもそいつは、イノシシの生肉や、サワガニに寄生するヤツなんだそうで、
加熱不足のそれらや、洗浄不足のまな板などからも、
人に感染することがあるらしい。

(誤解なきよう一応言っておきますが、うちのまな板はしっかり洗ってます)

ここまでの診察、入院の過程で、確かに医師たちは、
私に、それまでに生肉やジビエや、サワガニを食べなかったか、
数回質問してきたが、それでもおそらく、
『寄生虫が原因』というのは、かなり優先順位の低い嫌疑だったのだと思う。

「原因がわかってよかったねぇ」

「...これからはあまり変なもん食べないでね」

診断名にショックを受けるならまだしも、
「私、寄生虫好きなんですよねぇ♪」と言って担当医を呆れさせた私は、
自身の左肺に巣食う寄生虫が、ウェステルマン肺吸虫というものだと知って、
さっそくそいつに『吸ちゃん』という名前をつけると、
間も無く退治されてしまう運命の彼(彼女?)に敬意を払うべく、
目黒の寄生虫博物館へ向かった。

吸ちゃんは私が再び入院し、投薬治療を受けるまで、
この左胸で、寝食を共にする予定である。

そりゃ、共生出来ればいいけどさ。

脳に行っちゃうと大変だからね。

ちなみに私が疑っている感染源は、
イタリアで食ったイノシシの生サラミに、
台湾風シジミの醤油漬けに、
ケジャンに、それからそれから.....

確かに、少しは反省が必要そうである。

 

コイツが吸ちゃんのお仲間である。

よく見るとカワイイ♪ワケないか。