目黒寄生虫館へ来たのは、これで二度目。
「私、寄生虫好きなんですよねぇ♪」
彼は、『寄生虫』の宣告をした際、
おそらく、一般的な女性がとるのであろう、
「いやぁ~!」とか、「キャ~!」とかのリアクションを期待して、
「ほら、綺麗でしょ?」と、イタズラっぽく、拡大写真を見せたのだと思う。
が、実際、目の前の患者は、興味深々で身を乗り出しているとあって、
なかなかに複雑な表情である。
加えて、まさかあの後、その患者が、寄生虫博物館に行って、
標本と記念撮影をしたとは、夢にも思っていないに違いない。
寄生虫がわが身に宿るのに、身に覚えがないワケではない私。
なんでも日本じゃ、一時はこういった病は減少したものの、
近年のグルメブームと共に、再び増えてきているらしいというから、
美味しいもの、珍しいものとあらば、
むしろ道理というものである。
さらに、身に覚えというなら、
折に触れ、寄生虫を見るたび、突ついたり分解したり、実験したりしてきた私に、
彼らの恨みが募っていたとしても不思議ではない。
言い換えれば、もしかすればヤツらが、
「いつかどこかで」と、逆襲の機会を伺っていたのかもしれないと、
なんだか妙な納得までしてしまう...(笑)
かといって、では興味を持たないで済むのかといえば、
そういうワケでもなく。
吸ちゃんについて調べてみれば、出てくる出てくる、
コワイ表記や解説が...
ヤツが私の体内をどう移動したのか。
どんな状態で暮らしているのか。
(やっぱりヤツらはスゲーぜ!詳しくはwiki兄さんに『肺吸虫』で聞いてね)
ひとつわかったことは、かつてこの寄生虫は、
やはり癌と間違えられて、切除されたりしたことがあったということである。
幸い、私はそこまではいかなかったが、
結局、胸膜を採取するまでは、原因は判明しなかったのだから、
『ヤツら』の逆襲も、ある程度は成功したと、
そう受け取ることも出来るのだろう。
担当医によれば、同じような症例には、
やはりこれはよほど珍しいことなのに違いない。
「これくらい大きくて症例のある病院じゃなかったら、
おそらく原因は判明しなかったよ」と。
そういえば、昔はよく知られていた『ギョウ虫』も、
最近の若い医師たちは出会ったことがないために、
なかなか判明しないことがあるのだそうである。
今はなきポキール。
懐かしいね。
まあ、何はともあれ、皆さんも食べ物には気をつけて。
あ、そうそう!
目黒の寄生虫博物館で、職員さんに、
「コイツ、今、私の肺にいるんです」
と言ったら、大層びっくりされて、
「そっ...それはお大事にっ!」と、お見舞いの言葉を頂きましたよ(笑)
『寄生虫館』
面白い場所なので、ご興味のある方はぜひ!