「最近、首周りにすごく寝汗をかくの」
ゴンザが言う。
いつも騒がしい二人が揃って大人しいとき(笑)
なんだかベタベタした汗が、
Tシャツの襟が濡れるほど、就寝中に出ているらしい、と。
.....と。
彼が差し出すTシャツは、
なるほど触ってみれば、首周辺にずっしりと水分を含み、
本人がそれを気にするのも頷ける。
おまけに、「あんまり酷いようなら、お医者さんに行って相談しないとね」
と言った私の言葉に、素直に「うん」とうなずく、三歳児を見れば、
不安は否応なしに増してゆく.....。
二人が大人しく寝ている間、私が何をやってるかというと.....
まだまだ採れるシソに手を焼いてます(笑)
実と葉をわけて、さらに綺麗な葉をよりすぐって、加工。
もう「業者か!?」ってくらい、追われてます(爆)
.....と。
数日が過ぎた頃、また彼が言う。
「酷い寝汗って、自律神経に問題があるとか、
あとは体重が減るなら、悪性リンパ腫とかの可能性もあるんだって....」
私は驚いて、『それなら余計病院へ行ったほうがいいんじゃないの?』
『他に心当たりのある症状はないの?』などと尋ねてみる。
毎日をゴンザと過ごす私は、かえって彼のちょっとした変化を、
見逃してしまっているのかもしれない。
いや、まあ、体重が減っているようには決して見えないけれど、
もともと丈夫な人じゃないし、でも食欲は満点だし.....
秋色が深まってきますね。
.....と、また数日後。
「ひさびさに締めたベルトがゆるい」
と、共に外出中のゴンザがこう言い出す。
私はいよいよ青くなりながら、『そのベルトは以前はぴったりだったの?』とか、
『何かがずれて、ただゆるくなったように感じただけではないの?』とか、
色々聞いてみる。
ひらひら、載っているのは色づく木の葉かな?
『アンリシャルパンティエ』パリコレは淡い色と.....
第一、本人はベルトがゆるいというけれど、
そのベルトに支えられるべきパンツ(ズボンね)は、
どう見てもゆるそうに見えないし.....。
そこで私は疑問をそのまま口にしてみる。
「で?おズボンもやっぱりゆるゆるなの?」
「ううん。ズボンはむしろキツキツ」
濃い秋色。
これ、すんごい美味い~!
カシスのムースとマロンのムース、ショコラの土台が絶妙!
やるな、クリストフ・フェルデール。
......う~ん。
ベルトだけがゆるくなって、服がかえってきつくなる.....
そんなことがありえるのか。
と。
私が悩んでいると、ゴンザはこう切り出す。
「家に帰ったら、体重計ってみるよ。激ヤセしているかもしれないし.....
そしたら病院へ行く」
まっすぐ前を見つめ、物思いにふける男......。
と。
彼の視線の先には、某百貨店開催の、『北海道物産展』会場があった。
とりあえず匂いにやられて買っちまいます。
北海道といえばいかめし~♪
そして数時間後.....。
帰宅したゴンザは緊張した面持ちで、こう切り出す。
「今ならおなかがペコペコだから正確な体重がわかるよね。体重計ってみるよ」
.....と。
それきり彼が黙ったままなので、私は不安になり、
少々キツイ言い方で、結果がどうであったのか、答えをせかす。
「......大変だよ、erimaちゃん。どうしよう.....」
ゴンザの切羽つまった声にいや増す不安。
やっぱり、やっぱり激ヤセなの!?
どうしよう.....
そして、ケーキより甘いんじゃねぇか!?ってぐらいのとうもろこし。
買うとき、「1本だけでいいの?後悔するよ~!」っておばちゃんに言われけど、
ホント、おばちゃん、あとですんごい後悔したよ~!
すんごい美味いの、これ~♪
が、続いて聞こえた声に、私は思いっきりずっこける(←古い言い方だけど)。
「ごっ!?...500グラム増えてる~~~~~~!おなかペコペコなのにぃ~!」
.......激ヤセ疑惑のはずが、結果は0.5キロ増。
いや、これが満腹時なら、2キロ増?(爆)
緊張がとけたのもあり、二人は大笑いする。
「ベルトはやっぱり何かがずれちゃったんだねぇ」
「ああ、激ヤセ激ヤセ(笑)」
やっぱり、私が思った『どう見てもゆるそうに見えないパンツ』は、
逆にきつくなっていたのだ。
私はやっぱり彼をよく見ていた。
百貨店で仕入れたあれこれを、
美味しそうにほおばるゴンザを見ながら私は思う。
『ここからは激ヤセを心配するより、
ダイエットを気にしてあげたほうがいいんじゃないの?』
激ヤセ疑惑で幕を開けた我が家の秋ではあったが、
しかし、とにもかくにくも、悪い病気でないようで、よかったよかった。