晴れ上がった空のように・・

日常の出来事や読んだ本の紹介

一瞬の光

2010年03月01日 | 
一瞬の光  白石一文 著 2000年刊

白石一文のデヴュー作です

直木賞を受賞してから、彼の著書をリストアップしていて平台で展開。軽い気持ちで読んでみたのですが・・
これが、驚きの感動大作でした。600枚ほどの長編でしたが、夢中で時間を忘れてしまうくらいでむさぼる様に読んでしまった。
読みやすい文体でもあったように思う。
最初のほうは企業の陰謀や策略など結構リアルに描かれていて、面白い!社会派の作品?と思わせるかんじでテンポよく、まるで映画を見ているようでした。

物語は・・
橋田浩介は38歳。容姿端麗、頭脳明晰、スポーツ万能。日本を代表する巨大企業の人事課長に異例の若さで抜擢された超エリート。採用の面接官をしていたのがきっかけで短大生の香折と出会う。その香折は幼児のころから母と精神異常の兄から虐待をうけ、トラウマに苦しんでいた。そんな香折のことが浩介のなかで大きな存在になっていく。
会社のなかでの謀略、信頼していた上司からの裏切りで、浩介はすべてを失っていき、自分の存在価値さえも見失いそうになるのだが・・

浩介さん・・
いや~かっこいいですね。中盤ころからすっかりファンになりました
冷静沈着、常にクールで、人気若手俳優?ににているハンサムさん。それは女にもてて当たり前でしょう。
しかし、そんな彼にも痛い失恋と裏切りで、女性不信というか、希薄な関係しかもてなくなるのです。
この物語の中には、愛することとはどういうことなのか?
自分らしく生きていくには?というテーマが流れているようです。

恋人の藤山瑠衣さん。申し分のないくらいのすばらしい女性として描かれているのですが、ちょっと、古風すぎるくらいの良妻賢母形の才女。性描写はけっこうなまめかしくあったけど、もう少し、丁寧にそのへんは・・と、思ってしまったのは私だけかしら?
結局彼女の愛は浩介に受け入れられなくて、かわいそうでした。が・・彼女くらいの美人で才能があればいくらでも男はできるでしょうに・・

香折は信じられないような不幸な人生を20年送ってきたのだが、浩介に出会ったことで大きく変化していくのです。18歳の年齢の差を越え、家族の愛や、恋情を超えるような「愛」とはどんなものでしょう。ちょっと、理解しがたいです。
まぁ、そこは小説の世界ですからよしとして、
最後の結末は感動的で、切ない気持ちがあふれそうになりました。

もう少し、彼の作品を読んでみたくなりました。




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3 コメント

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一瞬の光 (airplane)
2010-03-02 22:05:18
一瞬の光・・・それはどんな、なんの光なのでしょう?

容姿端麗、頭脳明晰、スポーツ万能。日本を代表する巨大企業の人事課長に異例の若さで抜擢された超エリート・・・理想のサラリーマン。
本の中しかいないのでしょうね

でも、そんな完璧な人でも幸せな生き方はなかなか難しいものなのですね。

人の幸せは人それぞれ、決まったものはないのでしょう。

残り少ない人生、幸せをつかんで生きたいものです。
僕にとって幸せは・・・・

”あの日にドライブ”・・・に通じるものがあるのでしょうか?
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希望かな・・ (yuyupure)
2010-03-03 17:59:29
airplaneさん!
いつも読んで下さってありがとうございます^^
「一瞬の光」?本の中では生きる為の道しるべのような意味で描かれていましたが、私は「希望」だと感じました。暗闇の中、人は一瞬の光を求めて懸命に生きていく・・そんな感じです。あの日にドライブ、とはちょっと異質な物語ですよ。
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希望・・・ (airplane)
2010-03-04 15:39:56
そうですか、生きていくための希望ですか。
yuyupureさんの”一瞬の光”は何でしょう?
僕は・・・
昔は、子供の頃は”飛行機”、今は、”好きな人”との過ごす時間?かな・・・
その”光”得るために頑張る!”光”のおかげで頑張れる!というところでしょうか・・・
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