晴れ上がった空のように・・

日常の出来事や読んだ本の紹介

それを愛とは呼ばず

2015年10月05日 | 
それを愛とは呼ばず   桜木紫乃 著

久々の桜木さんの新刊読みました。
う~ぅん・・これはちょっと難しい。なんとなく暗い雰囲気は彼女らしい作風だけど、意味深な
愛の形は理解するのにちょっと時間がかかりました。

あらすじは・・

「いざわコーポレーション」の社長であり、10歳年上の妻である章子が、64歳の誕生日の夜、交通事故にあった。意識不明のまま眠り続ける妻の他、社内に人脈を持たぬ亮介は、会社から、そして新潟から追われる。新たな職を得た記念に訪れた銀座のグランドキャバレーで、席についた紗希もまた、その日、19歳で上京してから10年目、タレント事務所からクビを宣告されたのだった。寄る辺ない心を抱えながら出会った二人は、微かに互いを意識しながら別れる。ひと夏に6戸の販売目標を与えられた北海道のリゾートマンションで亮介が目にしたのは、廃墟同然の新古物件だった。絶望感にかられる亮介を追って、東京から紗希がやってくるーー。実に1年半ぶり、直木賞受賞後初の長編は、まさに桜木ワールドの真骨頂!・・・・、最高傑作!

とまぁ・・絶賛のあらすじですが、、

まず・・主人公は亮介だとばかり思っていたのが・・違った。
ラストをあかしてしまうと、この本の面白さが半減するのでやめときますが・・そこでやっと紗希だったんだ!とわかるのです。
ずっと女優を夢見て、演技の勉強をして、そのために規則正しい生活をし、男に媚びることも頑なにこばみ10年もがんばって生きてきたのです。
その美貌を持つが故、家族や周囲からも期待されて。しかし、うまくいかない。
切ないくらいの悲しさを身にまといながら美しさが際立つ。恋はしたのかなぁ・・いや、恋人と呼べる男がいたら彼女は救われていたと思う。

屈折した愛情は相手の気持ちを慮るばかりに生まれてきたのかもしれません。
確かに、誰も悪くはないのに幸福感から遠のいてしまうような、せつなさややりきれなさを感じる。
ラストは一気に、狂気をはらんだサスペンスのような終わり方で、ちょっと驚いてしまった。

どんよりとした、暗い雲に覆われた新潟の風景描写が印象的でした。



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