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「君が代」不起立処分大阪府・市人事委員会不服申立ならびに裁判提訴当該15名によるブログです。

東京都教委に抗議を!田中聡史さん「君が代」不起立で減給一カ月処分

2014-03-29 22:42:03 | レイバーネット

卒業式の季節が終わりました。

大阪府教育委員会は、3月25日口元チェック方針を自ら引き下げました。そればかりではなく、いわゆる累積加重処分を断念し、二度目の「不起立」に対しても減給処分を課することができませんでした。

東京都教育委員会だけです。全国で唯一、東京都特別支援学校の田中聡史さんを減給処分に課しました。全国から抗議の声をあげてください。

田中聡史さん「君が代」不起立に都教委、減給1ヶ月処分発令 都教委に抗議の声をお寄せください

 

 3月28日、「君が代」不起立連続6回目の田中聡史さんに対し、都教委は減給1/10 1ヶ月処分(以下、減給1ヶ月という)を発令しました。不起立だけで「戒告を超える重い処分」をすることは原則「違法」と判じた最高裁判決を踏みにじり、昨年都教委は、田中さんに対してのみ、減給1/10 1ヶ月処分を強行し、また、今年も同じに重い処分をしました。許すことはできません。ほかに教員3人(調布市立第三中学校、工芸高校、豊島高校)が戒告処分になりました。

 田中さんのケースで、今回、処分量定をさらに加重するのではと心配していましたが、それがなされなかったことに、まず、ほっとしました。しかし、すぐに入学式がやってきます。

皆様、都教委に「(田中さんと三人の教員への)処分処分を撤回せよ。「君が代」不起立処分をするな」と、抗議の電話やファックスを入れてください。

東京都教育庁(=東京都教育委員会)〒163-8001東京都新宿区西新宿2-8-1

総務部教育情報課(都民の声を聞く担当) :電話 03-5320-6733 FAX 03-5388-1726

人事部職員課服務係(処分を発令する担当) :電話 03-5320-6792


草の根ファシズム台頭のなかで「君が代強制」を考える

2014-03-16 22:24:04 | レイバーネット

昨日(3月15日)、「愛国に走る若者たちと『君が代』不起立」をテーマに、教員の田中聡史さんとジャーナリストの安田浩一さんの対談がありました。佐々木有美さんから案内がありましたので、レイバーネットHPから再掲させていただきました。ぜひ、ご覧ください。

http://www.labornetjp.org/news/2014/0315sasaki

 草の根ファシズム台頭のなかで「君が代強制」を考える

 

愛国に走る若者たちと「君が代」不起立を続ける教員の田中聡史さん。対極に立つ両者の分かれ道はどこにあったのか。3月15日都内で、田中さんとジャーナリスト安田浩一さんの対談があった。コーディネーターはレイバーネットの松原明さん。主催は「河原井さん根津さんらの『君が代』解雇をさせない会」で、参加者は幅広く55名が集まった。会場は終始熱気に包まれた。

安田さん(写真下)は、今右傾化しているのは、若者たちだけではない。大人や、社会生活に不満のない層も、まさにわたしたちの隣人が叫びだしている。こうした草の根ファシズムに呼応するように、マスメディアや行政が上からのファシズムを組織していると語った。

田中さん(写真下)は、自分は在特会の中心メンバーと同世代(40代)。自分と同じように被差別や在日問題を経験した人々が、レイシズムの走っているのを知って衝撃を受けた。自分と彼らの分かれ道はどこにあったのか。1989年のXデー(天皇の死)をきっかけに、天皇の戦争責任や侵略戦争の加害責任を問う本を読んだ。本の影響や社会問題への関心が分かれ道につながっている気がすると話した。

戦後民主主義へのバックラッシュとして出てきた在特会などは、「人権より大切なものがある」というようなシンプルで力強いことばを駆使すると安田さん。スローガンにたよる従来の運動ではたちうちできない。わたしたちは、かれらに届くことばを見つけ出し、対抗言論を作りだす必要があると強調した。

安田さんは、田中さんの闘いが、田中さん個人対学校・東京都になっているように見える。新大久保の嫌韓デモをカウンター運動が阻止したように、「君が代強制」を社会問題化し、多くの人が参加して社会がこれを許さない構図を作りだしてほしいと注文した。

「『君が代』が流れている間、すわっているのは苦痛ではないですか?」と安田さん。田中さんは「不本意に起っていた時期があるので、座るのはむしろすがすがしかった。強制されず、やりたいことをやっているから」と。安田さんは最後に、「しなやかにしたたかに闘ってほしい。社会に届くことばを見つけてほしい」とエールを送った。

3月19日は、田中さんの卒業式だ。「解雇させない会」では、朝7時半から10時くらいまで板橋特別支援学校の門前で支援行動をする。

当日は、公募した「君が代」川柳の発表と講評が乱鬼龍さんからあった。優秀作は以下の3点。

誰のため 口パク探す えらい人  オオヨシキリ

君が代と ブラック企業は お友達  可不可

「国歌斉唱」 走り回るや 副校長  根津公子
                               (報告=佐々木有美)

 


根津公子の都教委傍聴記:エリート育成・「愛国心」刷り込みの教育にさらに乗り出す

2014-02-17 20:06:08 | レイバーネット

そもそも教育委員会会議は広く市民に公開が保障されているはずです。にもかかわらず傍聴者を排除するなど東京都教育委員会は、もう一度、教育委員会制度の原点に立ち戻らなくてはなりません。

しかし、今回の傍聴記、根津さんが最後に、「短時間のあいだに、都教委や国の教育が≪エリート育成及び非エリートの日本人としてのアイデンティティ確立・治安維持としての「愛国心」の刷り込み≫であることを見せつけられた定例会であった。」と記されているように、何の疑問も持たず格差拡大社会を肯定するかのような教育政策に唖然とさせられる思いです。

レイバーネットHPより転載します。

根津公子の都教委傍聴記(2014年2月13日)

エリート育成・「愛国心」刷り込みの教育にさらに乗り出す

 

 非公開議題の人事案件(校長の任命と懲戒処分)を除くと、議題は2件、①「教育庁処務規則の一部を改正する規則の制定について」と②「教職員研修センター処務規則の一部を改正する規則の制定について」のみだった。議事自体は30分もかからず終了したが、そこから見えたことは表題の通り、弱肉強食・新自由主義の教育施策であった。教育委員の誰一人異論を挟まないことに、身の毛のよだつ思いだった。

 ―――*―――*―――  ―――*―――*―――  

 定例会の冒頭、木村委員長は次の文章を読み上げた。
「7月より退場命令を出さざるを得ない事態が生じている。前回1月23日の定例会で、傍聴者の一人は過去2回妨害をして3度目に誓約書を出して傍聴となったにもかかわらず、前回3度目の議事妨害をし、(委員長は)退場命令を出した。極めて遺憾である。今後も議事妨害があれば、必要に応じて法的措置をとることもあると心得てほしい」(要旨)と。

 定例会の最後に事務局は傍聴者に次回定例会の日時を告げている。1月23日の定例会についても、1月9日の定例会で「次回は1月23日、10時から」と告げたにもかかわらず、23日都庁に行くと、「定例会は9時30分から」に変更していた。それについて傍聴者の一人、Fさんが理由を質したところ、木村委員長は謝罪をすべきなのにそれはせず、「議事妨害」とし「退場」命令を出し、さらに先週末、Fさんの自宅に「次回の定例会は傍聴させない」と内容証明郵便を送りつけてきたのだった。

 この決定を、合議を建前とする定例会で行ったのか?!この対応をまずいと意見した教育委員は一人もいなかったのだろうか。

 私はこの件について「比留間教育長、木村教育委員長、各教育委員、教育施策課長」宛に「質問と謝罪要求」書を出し、きょう、2月14日までに回答を要求している(14日としたのは、定例会で全教育委員が一堂に会するから)が、14日現在、回答は届いていない。

 議題の①は、社会教育委員の権能を生涯学習審議会の権能に追加するために、地域教育支援部生涯学習課の分掌事務である「社会教育委員に関する規定」を削除し、東京未来塾の閉塾(昨年3月28日教育庁配布)に伴い、指導部指導計画課の分掌事務である「東京未来塾に関する規定」も削除するというもの。

 議題の②は未来塾閉塾に伴い、教職員研修センター処務規則の研修部教育開発課の事務分掌「東京未来塾に関すること」を削除するというもの。

 議題は、後述する「グローバル人材育成入試」が推薦入試なのかを確認するための質問が、木村委員長から出されたのみで、承認された。

 東京未来塾についてことばとしては知ってはいたものの、実態は知らなかった。今回、議題となり、資料を読んだことで全体像が分かった。

 「参考資料2」をご覧いただきたい。「首都大学東京と高等学校等との連携を通して、日本の将来を担い、改革型リーダーとしての資質を持つ人材育成」のために2004年度から始めた東京未来塾は、「形成16年から24年までに首都大学に312名が進学した」等の成果が上がったが、他方、「大学卒業後を見据え、高校生のうちから海外留学等の体験学習を通して、世界的な視野やより高い教養を身につけさせることが必要」との課題が残った。そこで、東京未来塾を閉塾し、海外留学経験者など、グロ-バル人材の育成に向けて、未来塾の趣旨を生かしながら「次世代リーダー育成道場」へ発展的に統合する。それに伴い、首都大学東京は来年度から「未来塾特別推薦入試」に替えて、「グローバル人材育成入試」を開始する。「国際社会で活躍したいという意欲のある者に受験資格を付与する予定」という。

 インターネットで「次世代リーダー育成道場」を調べてみたら、「都立高生の留学支援が主な役割で、2012年7月設立。2013年9月に第1回研修が行われた」「都立高等学校生徒、都立中学校生徒及び都立中等教育学校生徒 200 人 ただし、A(冬出発)コース 留学(平成 26 年 1 月から約 1 年間)を希望する生徒 100 人 B(夏出発)コース 留学(平成 26 年 8 月から約 1 年間)を希望する生徒 100 人を募集(済)」とある。受講料は60万円(総費用は300万円、20パーセントが自己負担。食費を含む。)

 都立高(中等学校を含む)の一部エリートにはふんだんに公金をかけるということだ。11月の定例会で2014年度の教育予算が提案された際、高校生の留学費用が突出しているのが気になったが、使途はこれだったのだ。一定の教育予算の多くをエリートに使い、「非エリート」の定時制高校や「底辺校」は統廃合し、教育予算を低く抑える。これぞ、新自由主義の教育であり、教育再生実行本部の「成長戦略に資するグロ―バル人材育成部会提言」(2013.4.8)の先を行く。

 ところで、「参考資料2」の図柄とロゴにお気づきであろうか。「2020年オリンピック・パラリンピックを日本で!」とある。内容と関係なくても数多く見せることで人心をコントロールする狙いがあるのだろう。

 さて、議事が終了したところで竹花委員が、「議事にはないが」と断って、次の質問をした。

「オリンピック組織委員会が立ちあがった。教育委員会としても施策を考えたいが、都教委の中にそれに対応する組織があるか」と。それに対し、事務方は、「都と都教委がやるべきことを分ける。子どもたちの意識涵養、ボランティアについては教育委員会がやる」「山口委員が以前提案した、海外から来るオリンピアン、パラリンピアンの学校派遣を、オリンピック推進校300校に対し準備している。年々増やしていく計画だ。」「総務部にオリンピック担当課を来年度設置する」と答えた。インターネットで調べると、今年1月1日付でオリンピック準備のための人事異動がすごい数、行なわれていた。

 「日の丸」の小旗を振り、沿道のゴミ拾いにいそしむオリンピック・ボランティアに参加する中で、子どもたちが「愛国心」を持つのは必然だ。2020年だけでなく、前回の東京オリンピック誘致騒ぎの時から東京のすべての学校の玄関にはオリンピック誘致の旗が立てられてきた。オリンピックを讃える旗は、学校の風景の一部となっている。この先、2020年を迎えるまで、それがエスカレートするのであろう。「愛国心」の刷り込みが不断に行われ、さらに強まることに、どうしたら歯止めをかけることができるであろうか。

 大人は、とりわけ子どもと接する教員は、異なる考え方のあることを子どもたちにしっかり話していきたいものだ。

 短時間のあいだに、都教委や国の教育が≪エリート育成及び非エリートの日本人としてのアイデンティティ確立・治安維持としての「愛国心」の刷り込み≫であることを見せつけられた定例会であった。


根津公子の都教委傍聴記(1/23)

2014-01-27 12:02:09 | レイバーネット

レイバーネット掲載「根津公子の都教委傍聴記」を掲載します。東京都も、そして大阪府もそうですが、教育委員会制度の主旨は、市民に対して開かれた教育行政であるところにあるはずです。

私も大阪府教育委員会制度を傍聴して初めてわかりましたが、いかに教育委員会が市民(傍聴者)に対して権力的なふるまいを行なうかが!私たちはもう一度、教育委員会制度の根本にもどらなければならないのかもしれません、地域住民が教育に参加できる制度としての教育委員会に!

●根津公子の都教委傍聴記 2014/1/23

開会時刻の突然の変更、説明を求めたFさんに退場命令

 

定例会の前に私たちは毎回、出勤する都庁職員に向けて「都庁前通信」とタイトルをつけたチラシを配っている。今朝チラシ配りをしていたら一人の都庁職員が、「今日の定例会は30分繰り上がって9時30分から。傍聴受付は9時から9時20分」と教えてくれた。近頃は定例会の最後に次回の予告がある。前回確か、「23日10時から」と言ったはずだが、と思いながらチラシ配りをいつもより早くに切り上げ、私たちは傍聴受付に急いだ。受付入口には「傍聴受付9時から9時20分」と貼り紙がしてあった。

そこにFさん(元教員)がやってきて、その場の空気は一変した。「なぜ9時30分に変更したのか。9時40分に来た人は入れないのか」「ホームページに変更を目立つように書いて徹底すべきだろう。なぜそれをしない」と抗議し、追及した。私たちだって、まさか予告が変えられるとは思ってもいなかった。教えてもらわなかったら、受付に間に合わなかったかもしれなかったのだ(通常、そして前回予告されたのは、9:20から9:40受付、10:00開会)。

職員たちはFさんの指摘を受け止め(られ)ずに、「(時刻は)主催者が決めること」と居直った。「前回の定例会で「次回は23日10時から」と予告したことを確認すると、職員は「した」と言う。都教委に非あり、は明白ではないか。にもかかわらず、居並んだ職員の誰一人、Fさんの指摘に対して謝罪の一言が言えない。「上司の指示」がなければ言ってはいけない、自分で判断してはいけないと、職員たちは思っているのであろうか。硬直した思考が怖い。

謝罪がされないままに9時30分、入室を指示され、私たち10人の傍聴者は入室した。Fさんは「なぜ突如、時間を変更したのか」と教育委員に向かって言った。木村委員長は「静かに!退場してください!」と、Fさんの質問を「妨害行為」と決めつけた。「退場」との木村委員長の指示で職員がFさんを取り囲み退場させる態勢に入ったそのとき、Fさんは「退場するのは(木村委員長)お前だよ。10年は長すぎる。」「(君が代)裁判で負けたら謝罪するのが当たり前。比留間(教育長)、辞任しろよ」と言うのも忘れなかった。

木村委員長はFさんから質問されるまでもなく、突然の変更について真っ先に謝罪し、説明すべきであったのにそれをせずに、目障りなFさんを排除したのだった。良心の呵責はないのだろうかと、各教育委員の顔を覗いたが、表情に変化はなかった。教育委員と言い、職員と言い、都教委には傍聴を保障する義務があることに意識が行かない。傍聴をさせてやっているのだという高飛車な態度である。

Fさんを追い出した後も傍聴者に対して謝罪の言葉はなかった。「13時から職員の表彰を予定しているから、定例会の開始を30分早めた」と言ったのみ。定例会は教育委員が最優先すべき仕事である。議事が長くなることだってあるかもしれないのに、午後に別の予定を入れるとは言語道断である。開会を30分繰り上げたのは、教育委員が2日登庁しなくていいようにするためだったのかと勘繰りたくもなる。かつて「都教育委員 月額報酬43万円、欠席でも満額支給」(毎日新聞2011.8.25)の報道がされた際、竹花委員は「24時間365日、東京都の教育の改善に職務を果たしている」と定例会で啖呵を切った。ならばなおのこと、終了時刻を設定しての定例会はあり得ないであろう。

Fさんの鋭い指摘・追及があったからこそ、見えた1件であった。
・予告したことを反故にし、勝手に開始時刻を変更したこと
・時刻変更について謝罪をしないばかりか、それを質した傍聴者を退場させたこと について、次回定例会までに質問書を提出しよう。

きょうも開会宣言の後、木村委員長は「議事妨害をしないように」とこと細かく言うのを欠かさなかった。

議題は、議案が①学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例の立案依頼について ②都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例の立案依頼について 報告が③都立高入学者選抜検討委員会報告書について ④平成25年度都教育委員会児童生徒等表彰について ⑤体罰根絶に向けた総合的な対策の策定について ⑥平成26年度教育庁所管事業予算(暫定案)・職員定数(暫定案)について。  このうち、③⑤について簡単に報告する。

③都立高入学者選抜検討委員会報告書について:

 現行の入学者選抜制度は1997年度に策定。「各校の特色ある教育課程に応じた入学者選抜を実現することができた」反面、「制度が複雑化し、受検者、保護者、中学校にとって分かりにくかった」から、平成28年度から入学者選抜制度を変えるとの報告。

 新制度は「選抜で見るべき力」を示し、「推薦」「学力検査」それぞれに基づく「選抜の改善」を示した。「学力検査に基づく選抜の改善に向けた具体策」では、「実技4教科を軽視する風潮改善」のため、現行の調査書点(内申)の算出方法(5教科の素点+4教科の素点合計×1,3)を(5教科の素点+4教科の素点合計×2)に変えるというもの。内申を餌にして生徒のやる気を起こすという、小手先の「改善」に飛びつく発想が恥ずかしい。
 注:学力検査による選抜は、「当日の5教科テストの得点+調査書点(内申)」で行う。

木村委員長は、「筋が通った。わかりやすくなった」と絶賛。竹花委員も「事務局の姿勢がとてもいい」とほめた。どの委員も何言か発言したが、やや盛り上がったのが「男女別定員」についてであった。現行も新しい制度も男女別定員を設けている。

 「男女で分けなければいけないのか。合理性があるのか。得点が取れなくても男子は合格。男子に将来を担う気概がないのではないか。男女別定員を検討してほしい」(竹花)、「ある企業で成績順に採用したら13人の合格者のうち、12人が女子だった」(内館)、「男女別定員に納得して受検しているのか。情報公開をしたときに耐えられるのか。女子には就職でも不利益を受けている意識がある。そこに配慮すべき」(山口)と言えば、「私立の女子校はあるが、男子校はない。男女別定員を採らないと、男子の行き場がなくなってしまう」(男性だったが、誰だったか?)と。「昔は男子校、女子校。いいところがあった」(内館)に対し、「男女合同定員制が時代の流れでいいのでは」(山口)と賛否はわかれた。

 「男女別定員を(再度)検討してほしい」という意見に対し、事務方(学校教育部)は「検討する」とは言わなかった。しかし、それでやり取りは終わってしまった。言いっぱなし、という印象。熱意があれば、徹底的に意見を擦りあわせるはず、と思うのだが。

⑤体罰根絶に向けた総合的な対策の策定について:

 9月の定例会で「体罰関連行為のガイドライン」の報告があり、今回はガイドラインに沿っての教員研修・今後の取り組みが提示された。ガイドラインはどのような行為が「体罰」に当たるか「不適切な行為」か、あるいは「指導の範囲内」「適切な指導」となるのかを示している。その中に、「短時間正座させて説諭する」のは「指導の範囲内」と書かれている。そのことについて竹花委員は、9月の報告の時に気づかなかったことを前置きした上で、「正座は短時間でもよくない。『正座は指導の範囲内』を変えてほしい。教員が一緒に正座すればいいが。」と発言。しかし、指導部は、それを呑まなかった。竹花委員は「正座が指導の範囲内のことがあるのも十分承知している。しかし、訂正してほしい」と重ねて発言した。しかし、やはり、それ以上の論議にはならなかった。

9月の定例会ではガイドラインを一定評価しつつも、「これによって教員が萎縮してしまうのではないかと危惧する。暴言は今までの習慣なので、いっぺんにただすのは難しい。徐々にただしていくことだろう。」(山口委員)など、現状是認の発言が2人からあり、一方、それに反対する意見はなかったので、この意識では体罰はなくならない、と感じていた。そこに、今回の竹花発言。論議を尽くしてもらいたかった。


根津公子の東京都教委(1・9)傍聴記~「はだしのゲン」撤去請願は否決されたのだが…

2014-01-10 14:26:35 | レイバーネット

昨日お知らせしましたように、1月9日東京都教育委員会会議は、「はだしのゲン」閲覧制限請願が議題となっていました。根津公子さんの傍聴記をレイバーネットHPより転載します。

根津公子の都教委傍聴記 第12回(2014.1.9)

「はだしのゲン」に関する請願にまともな論議なく「回答」を決定

 

「はだしのゲン」の「教育現場からの撤去」を求める請願が議案になっていたことから、今日の傍聴希望者は、定員20名のところに26人、6人が傍聴できなかった。私も外れだったが、「傍聴記を書くんだろう」とFさんがご自分の当たり券を譲ってくださった(感謝)。

木村委員長は今日も冒頭、「議事進行を妨害した場合は退場を命じる。法的措置をとる」と言い、さらに、「前回、退場の際に大声を上げたことがあった。これも妨害行為である」と付け加えた。傍聴者を排除する議事運営はますますエスカレートする。

議題は、上記した「請願に対する回答について」の議案と2件の報告(①平成25年度いじめの実態及び対応状況の把握のための調査結果について ②東京都の児童・生徒の体力の状況について)、非公開議案が懲戒処分案件であった。乙武委員は欠席。

今朝(1/9)の新聞報道にある、「はだしのゲン」に関する「請願に対する回答について」。「教育現場からの撤去」を求める請願が3件(いずれも練馬区内の団体)、「自由閲覧の維持」を求める請願が9件(2団体と7個人)出されており、その回答を決定する議案だった。両請願とも「応じることはできません」との回答を決定した。「撤去」を求める請願が採択されなくて、よかったのではあるが――。

会議の流れは、指導部が書面で回答書を提案。それを受けて、竹花委員は「都議会での議論はどうだったのか」「区町村段階、他道府県の状況はどうか」「選定基準をもとに検討したのか。問題はないと判定したのか」と質問し、応答(注1)の後、「図書館には幅広いいろいろな本があっていい。制限しなくていい」と発言。内館委員は、「この文章(回答書)では何を言いたいかわからない」。

内館発言に対し、木村委員長が「校長の権限と責任で決める。都教委が指導助言し、ともに考えていくという(この案)のでいいのではないか」と発言。これで委員たちの間では合意されたということなのか、採決も確認もされないままに、この議案は提案通りに決定された。山口委員の発言はなかった。

「回答」は、・「学校図書館においては、児童・生徒に幅広い知識と教養を身に付けさせるべく、様々な図書館資料が置かれることが必要である。」・「校長は…校務について権限と責任を有しており、図書館資料の選定事務についても同様である。東京都教育委員会は、今後とも区市町村教育委員会とともに、学校図書館の在り方を踏まえつつ、校長による図書館資料の選定が適切に行われるよう取り組んでいく。」とした。

そこまでは了解できるのだが、その先が問題だ。・「『はだしのゲン』は…私的な見解を、作者独自の表現により、漫画…作品にしたものであり、客観性やバランスのとれた記述が求められる教科用図書とは異なるものである」・「暴力表現など、その一部に教育上の配慮が必要な表現がある。」とした。

さらには、次のように言う。「あわせて、東京都教育委員会は、引き続き、教育基本法や学習指導要領にのっとり、伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛する態度や、国旗・国歌の意義等について、児童・生徒を正しい理解に導くよう、都立学校や区市町村教育委員会に対して指導・助言を行って」行くと。

今後、この部分を肥大化させないように注視していかねばと思う。 11月に、練馬区教育委員会は「撤去」を求める陳情などを、全員一致で不採択とした際、委員一人ひとりが発言をしたと聞く。これが教育委員としての職責であろう。都教委の委員たちは、ここに学んでほしいものだ。

*注1:11月22日の文教委員会で古賀議員から、「『はだしのゲン』には、天皇批判や国旗国歌批判があるが、どうなのか」と質問があったとのこと。また、練馬区以外に、港区、足立区、大田区、西東京市に「撤去」を求める請願が出されているとのこと。

次に、報告事項②について。

「基礎体力向上」は都教委が重点にしてきた事業である(第一次推進計画:平成22~24年度 第二次推進計画:平成25~27年度)。その東京の子どもたちの体力・運動能力等の調査結果が、全国調査から報告された。調査対象は小学5年生と中学2年生。それによると、ア.小5は5年間で男女とも全国水準まで向上した。しかし、イ.中2は男女とも低水準。特に男子は47位(全国最下位)。ウ.ボール投げが低下した。とのこと。

報告を受け、第一声は竹花委員。「計画を推進し、毎年調査結果をまとめて冊子を作り、労力をかけてこの状態。これでは、指導部長、チームを撤退せねばならんだろう」と軽く皮肉った。福井や秋田は、学力・体力ともに高い結果をあげていることが話題になる。「運動能力の上位者を貼り出し、競争させたらいい」(山口)、「学力上位者を貼り出すのは問題があるかもしれないが、体力・運動能力なら問題ない。東京オリンピックもあるし、がんばってもらおう」(木村)との発言に、ほかの委員も頷き、これが委員の総意という印象を受けた。

教育委員の諸氏には、競争によって苦手意識が増幅されることに考えが及ばないのだろうか。このことは、教育委員の質にかかわる問題だ。

閉会宣言がされた後、竹花委員が「予定された議題以外で」と断って、「都立小中高一貫校についての7日付新聞報道(朝日、毎日、東京 注2)について、経過説明をしてほしい」と発言した。

それに対し指導部長は経過を説明したうえで、「12月に報道から質問があった。言っていないことを報道された。都教委の立場は変わっていない」。続けて竹花委員、「(報道機関に)謝ってもらいたい。訂正記事を出してもらいたい」と。この時点では、報道関係者席は空席となっていた。

以前にも報道に文句を言いたいがために、竹花委員は定例会の議事終了後に同様の発言をしたことがある。今回のことの真相は私たちにはわかり得ないが、応答を聞いていると、一つのシナリオができていたような感じを受けた。

*注2:東京新聞は、「都の小中高一貫校 白紙」「教委『構想、新都知事が判断』」の見出しで、「猪瀬前都知事の肝いりで任期中の開校を目指してきたが、都教委幹部は『辞めた以上、庁内であらためて構想を検討の上、新知事の判断を仰ぎたい』と述べたと報じた。

退室時に傍聴者の一人が、(Fさんの「授業をしていたのに」)裁判で都教委が敗訴したこと、その控訴をやめたことについて、定例会で報告しないのか、都合の悪いことは報告しないのかと、声を上げた。傍聴者の多くが同感するところだった。しかし、木村委員長は冒頭の自身の発言を実行に移し、「退場」と告げ、その人の特定を傍聴者監視役の職員に指示した。都教委に批判を持つ傍聴者を憎む木村委員長の行為は、エスカレートするばかりだ。