◆◆藤原さん講演会zoom案内◆◆
講演会のZOOM(ズーム)によるオンライン配信も行います。希望される方は、6月27日(日)までに、下記担当者あてにメールでご連絡下さい。その際、①お名前、②ZOOM参加への案内の送信を希望するメールアドレス(パソコンまたはスマホ)、③ハンドルネーム等で入室の際はそのお名前をお知らせ下さい。定員は70名です。ご連絡頂いた方には、参加費振込みの方法と参加URLをお知らせ致します。オンライン参加申込先:imae@shore.ocn.ne.jp (井前)
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あちこちで引っ張りだこの藤原辰史さん!!
私たちグループZAZAは、しっかり腰を据えて、連続4回の本格的な講演をお願いしています!!
“帝国の脅威に晒されてきた境界領域の諸国が、陰惨な歴史と地球の破局に怯える現代世界と向き合ったうえで、脱資本主義的な生態自治を目指す先駆的指針を、歴史研究の立場から探る”
(2021グループZAZA連続講座「全体の趣旨」より)
🥀藤原辰史さん講演会🥀
ユーラシア東部諸島中立地帯の構想
―食を根拠にした生態自治について
全体の趣旨:
米国と中国という新旧覇権国はざまで、軍事的かつ経済的脅威に日々さらされている地域の、そしてその地域だからこそ生成する思考様式について考える。これらの地域の政治家の多くが考える軍事力の増強という解決ではなく、あるいは、米国や中国との同盟の強化でもない。帝国の脅威に晒されてきた境界領域の諸国が、陰惨な歴史と地球の破局に怯える現代世界と向き合ったうえで、脱資本主義的な生態自治を目指す先駆的指針を、歴史研究の立場から探る。
第1回:沖縄・香港・台湾の連帯について――呉叡人から考える
◆ 7月4日(日)午後2時~
◆ 国労会館3階大会議室
中国は、急速な軍備によって、台湾の軍事的な制圧時に米国との戦争に勝てることを目指している。そんな中、この境地の住人が考えるべきことは、いかに米国を援助して中国を倒すかでも、中国的な監視社会と同一化することでもない。そのはざまにある海洋文化の支配・被支配の歴史を学び直し、小さな地域の小さな文化の縁を結んでいくこと。「黒潮」の流れにアジア独自の思想を見出した呉叡人の『台湾、あるいは孤立無援の島の思想』をテキストに、軍事とは異なる中立の政治の源を探る。
📍書評
評者: 藤原辰史 / 朝⽇新聞掲載:2021年03月20日
『台湾、あるいは孤立無援の島の思想
民主主義とナショナリズムのディレンマを越えて』 [著]呉叡人
もしも米国から買い続ける安い牛肉にも、軍事同盟の強い縛りにも、東京政府の沖縄と東北への上から目線にもうんざりだと思うならば、呉叡人の清冽(せいれつ)な思想が台湾から流れる黒潮のように心に効くだろう。
もしも中国が香港から民主主義を奪った過程にも、軍事大国化による圧力にも恐怖を感じるならば、大国の粗暴を虚しくするような呉叡人の繊細な言葉遣いが心に沁みるだろう。
二〇一四年三月に学生たちが議会を占拠した「ひまわり学生運動」に関心を持つ読者は、その理論的柱がこの政治学者であったことを知っておいたほうがよい。本書所収の彼の政治論文もビラも詩も、満遍なく熱量が込められている。
読後も頭から消え去らない論点を、ここでは二つだけ記しておきたい。
第一に、台湾と琉球の同盟締結の提案である。台湾は日米軍事同盟にも中国の圧力にも加わらず、永世中立を目指し、琉球民族の自決を支持すべきだ、と言う。この覚悟の意味を頭ではなく足のすくみとともに理解できる日本列島の住民はどれほどいるだろうか。今日の香港は明日の台湾。軍事制圧の悪夢にうなされる台湾の知識人が、外交と文化と正義で大国に立ち向かおうとする姿に触れ、思想を表明した者に冷笑を浴びせ、傍観を冷静さと履き違える日本の知識人のぬるさを感じずにはいられない。日本が戦場にならぬ保証はどこにもないのだ。
第二に、台湾の弱さを強さに変える呉叡人の論理構成力である。台湾はずっと日本や清などの帝国のはざまで自立を妨げられてきた。そんな「(パーリア)」だからこそ窮境に追い込まれて学んできた美徳と技術により、不公正な世界と対峙(たいじ)できると彼は言う。
彼の大胆な思想を鍛え上げたのは、読書と街頭である。ルソーもカントもヘーゲルも丸山眞男も大江健三郎も噛(か)み砕く咀嚼(そしゃく)力と街頭のリアリズムが、繊細なまま人に届く言葉を支える。
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Wu Rwei-ren 1962年、台湾生まれ。台湾の中央研究院台湾史研究所副研究員。シカゴ大政治学博士。