ZAZAから6人目のアピール文です。梅原聡さんは昨年「不起立」で戒告処分を受けた後、今春は式場内から排除されています。大阪府教育委員会も大阪市教育委員会も、「君が代斉唱」に教職員全員が従うという構図をなんとしても作りたいようです。
グループZAZAに加わって
府立高校教員 梅原 聡
私は昨年の春、三年生の学年主任として卒業式に臨みました。「日の丸・君が代」条例が成立した後の卒業式ということで迷いもありましたが、これまで通り、「君が代」で静かに着席しました。来賓の挨拶で維新の会の府議が「ルールを守れない教員がいて、ホントにごめんなさい。」と言っただけで、お祝いの言葉もないまま着席してしまいました。ざわめく会場の中で、こんな議員が大きな顔をしている、そんな時代になってしまったんだと、暗澹たる気持ちになりました。その後、彼はブログに「残念な卒業式」というタイトルで、「公教育の場において、子供たちにこんな不謹慎で偏った思想を持った教師に触れさせて申し訳ない気持ちでいっぱいでした…」などと私やそれを許した校長への批判を書き連ねました。彼は、何のために卒業式に出席したのか、私の思想のどこを偏ったと言っているのか、私と生徒達の三年間の何を知っているというのか… 私の気持ちは憤りでいっぱいでしたが、その後に続いた生徒や保護者などからの彼の言動を批判し謝罪を要求するコメントを読んで、生徒達は私の気持ちをちゃんと受け止めてくれたのだと確信することができました。
このまま黙っていることはできないという思いにかられて、ホットラインの皆さんの援助を受け、処分撤回を求めて人事委員会に不服申し立てをしましたが、この騒動がなければ私は「日の丸・君が代」をめぐる運動に強く関わることはなかったかもしれません。そして、グループZAZAのみなさんと出会うことも。ZAZAのみなさんの活動に接する中で、みなさんの力強い生き方・ねばり強い取り組みに啓発され、教育改革と称して、一連の条例の制定などを推し進めてきた一派が、教育の何たるかを全く考えようともせずに、ただただ、言うことを聞く教員・言うことを聞く生徒を育てようとしていることがよくわかりました。これまで、何となく流れに身を任せてしまっていた自分を大いに反省し、できることを少しずつでもやっていこうという気持ちを強く持てるようになりました。少し前まで、「日の丸」・「君が代」のことを話すときに、「まさか実際に戦争になるとは思わないけれど…」と言っていたのですが、今まさに私たちを取り巻く状況は日本を「戦争をできる国」に作り替えていくことにまっしぐらに突き進んでいます。それをしっかり感じ取ることができたのがなんと遅かったことか…。
私は、処分以降の卒業式や入学式では、卒業生を送り出したり新入生を迎えたりする立場であっても、式場外の役割を命じられ、式場から排除され続けています。私以外の教員に対しても、式場内の役割に当たっている教員には、君が代に対して起立斉唱を行うかどうかを一人一人尋ねるというような思想調査まがいのことが行われる始末で、開式以後は式場への出入りを一切禁ずるという徹底ぶりです。この春の卒業式・入学式ではZAZAのメンバーなどにも協力してもらって、このような事態に対して個人名で抗議のビラを配布し、生徒や保護者からも励ましの言葉や手紙をもらうこともできました。このビラまきに対して校長から「府(教育委員会)や学校(校長)の方針に反するような内容のビラをまくことは、保護者の混乱を招くことになり認められない」というような言い方で圧力をかけられています。それは、おそらく彼らにとって、痛いところがあるからだろうと感じています。これからも日々の活動を積み重ねて、「日の丸」・「君が代」の強制に対する闘いの輪を広げていきたいと思います。