特定秘密保護法案について、公務員に秘密を厳守させるための法案だと思っていらっしゃる方がまだまだいらっしゃるようです。
しかし、「特定秘密」を知り得るのは公権力をもつ行政だけです。国民の知る権利が侵されることは言うまでもありませんが、拡大解釈をすることによっていくらでもごく普通の市民生活がおびやかされることになります。また、それだけにとどまらず、自己防衛手段として、まっとうな市民的政治活動にもかかわらなくなる怖れさえあります。これは真理を知るための教育活動の制約にもつながっていきます。特定秘密保護法に反対する研究者と教職員の会声明を掲載します。
特定秘密保護法に反対します
教育は、真理の追究なくして成り立たない。正しい情報がなければ真理はくもり、ときの権力者に都合のよい情報だけが社会を覆い、子どもたちの未来を損なっていく。憲法には、国家権力の暴走に歯止めをかける役割があるが、国家が何をしようとしているのかがわからなければ、国家権力の暴走を事
前に予見して歯止めをかけることもできなくなる。特定秘密保護法は、憲法の存立にとっても脅威となる。法案によれば、「安全保障上」秘密保持が必要なものを「特定秘密」として指定し、それを漏えいした者と「特定秘密」を取得した者には厳罰が科せられる。しかも、「特定秘密」の対象は、抽象的か
つ広範に及び、拡大解釈される危険性もはらんでおり、防衛省や外務省の所管する情報だけではなく、原発事故への対応や歴史問題への対応など、文部科学省が所管する情報にも拡がってくる。その取り扱い基準の公表も義務づけられてはおらず、「何が秘密かは秘密」の法案である。戦前日本の教育界では、真理の追求が制約され、研究者と教員による戦争への協力が行われた。子どもたちは侵略戦争の先兵として戦場に送り出されていった。こうした過ちを、二度と繰り返してはならない。
私たちは、ここに、特定秘密保護法に強く反対するものである。
2013年12月6日
特定秘密保護法に反対する研究者と教職員の会
池田賢市(中央大学教授)
大森直樹(東京学芸大学准教授)
一木玲子(筑波技術大学准教授)
住友 剛(京都精華大学准教授)
※賛同者募集中:「名前(肩書:無しでも可)」公表の可否を次の
アドレスまで送ってください。reiko-giappone@nifty.com(一木)