不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Un piccolo desiderio

2005-09-01 02:12:00 | 日記・エッセイ・コラム
イタリアが2005年1月から
「公共の場所での喫煙」を厳しく取り締まるようになったのは
レストランでの喫煙ができなくなったというニュースで
日本でも報道されたのでご存知の方は多いと思います。

イタリアの都市部の家は集合住宅であることが多い。
我が家はすごぉく小さい建物なのに
13世帯が複雑に入り組んだ6階建て。
そして、この建物の共有部分である
ポストボックスが配置されている大扉付近や階段は
「公共の場所」と認識される。
認識されるからには、ここも「禁煙地区」なのです。
地階部分のポストボックスの上に
先週半ばに突如掲げられた「告示」。
「階段付近での喫煙を全面的に禁止」。

狭苦しい階段は空気の流れも悪いので
どうしても煙がこもりがちで、
これまでも何回か不快だなぁと思ったことはあったのだけど
吸う人の権利もあるわけだし
階段部分は自宅の一部なのかなぁと思ったりしていた。
今後はこの告示によって
階段での「こもる煙」と「吸殻のポイ捨て」が解消されそう。

この「公共の場所」にかかる費用はたいてい
「コンドミニオ」という共益費で賄うことになっていて
みんながそれぞれの家の広さに応じて
支払うことになっています。

借家であろうと、10年も住んでいるので、
大家さんとの話し合いで
現在は私が共益費を負担しているのですが
支払うのは義務だと思うので、問題ないけれど
納得できないのは、
「共益費」が有効に活用されていないと感じるとき。

週に一回の階段清掃
たまに予告なしにずる休みにして来ないときがあるし
3回に一回くらいは
掃除のあともごみが残っていたりする。

階段の電球
切れたら切れっぱなし。
結局住民が自ら電球交換。

扉の不具合
現在、下の大扉が壊れていてちゃんと閉まらない。
ドアフォンに付随する電動扉明け機能がよく機能しない。

まぁ、管理会社に文句言えばいいのですけど。
誰かがするだろうと思って
みんなが譲り合っているのが現状。
なので一向に状況が改善されない。

先日、我が家のフロアの電球を交換した。

うちのフロアは上階にあるので
他の住民に迷惑をかける頻度は少ない。
たとえば、下の階の階段の電球が切れると
上階の住民は真っ暗闇の中を
自宅のあるフロアまで手探りで上ることになる。危険。
でもこの場合、下の階の住民には大きな問題でないのか
切れたら10日くらい放っておくこともあって大変。

ただし、私は暗闇が嫌いなので
自分のフロアの電球が切れたら即効で交換したい。
我が家があるフロアは3世帯。
左隣はイタリア人の大家さんが
アメリカ人に短期で貸しているので
住民自体がいないことが多いし
いてもアメリカ人の学生は電球なんて交換してくれない。
右隣のイタリア人家族は
病院務めで不規則な時間割なので
こっちもあんまり当てにならない。
なので、9割がた私が電球交換することになる。

電球なんて安いものだし
交換するのに問題は特にないと思う人は
私のような「小さな願い」を抱いたこともないでしょう。

電球交換のたびに心に宿る「小さな願い」。
私がやらなくてもすぐに気づいて交換してくれる
だんな様か、彼氏か少なくとも同居人が欲しい。
もしくは気の利く召使か、お抱え電気工が欲しい。
便利な脚立が欲しい。
そういうことじゃなく。

「あとちょっとだけ背が高くなりたい」

154センチ。
これで不自由はないし、私は満足だけれど、
電球交換のたびにあとちょっとだけ・・・と思う。
脚立のない我が家では
一番座高の高いいすを持ち出して、
しかもその上にクッションを3つ重ねて
それでようやく階段踊り場の電球に私の手が届く。
その状態でのランプシェード外しやら
電球交換の作業は不安定。

小さな願い。
小さいけれど、
もうどうあがいても叶えられそうにない願いでもある。

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